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ソーサリーエレメント2  作者: 吾妻 八雲


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憩いのひととき

「お客様、少々こちらでお待ちください」

使用人が出てきて機械のような口調でそういった。


「なんか感じ悪いな···」

しばらくするとザックが走って迎えに来た。


「ハーベル兄様、こちらです」

「ザック、はしたない!兄様ではないでしょ!」

「ああ、お気になさらず」

「ハーベル様、こちらへ」


大きな机の端と端に椅子が置いてあり、ずっと向こうまで続いているように思えた。


「ハーベル殿と申したかな、当方のザックが大変な御迷惑をおかけしました。お礼をお支払いしたい。いかほどを御所望か?」


「お礼なんて要りません」

「それでは、こちらの立場というものが···」


「では、1つだけお願いがあります」

「何なりと」

「おれ···いや、私はリーフィア様に大変興味をもちました。お美しく、気品だかい。よろしければ、私とお付き合いをお許しいただけないでしょうか」


「ほー、あのリーフィアが···」

「リーフィアは、内気であまり外出などもしない、つまらない娘です。こちらからお願いしたいくらいです」


「ありがとうございます」

「リーフィア様よろしいですか?」

「はい、よろしくお願いいたします」

「あの、リーフィア様が?」

使用人達も驚いている様子だ。


「早速ですが、ご一緒願いますか?」

「喜んで」

俺は、リーフィアを連れ出すと一緒に歩き始めた。


「リーフィアさん」

「リーフィアとお呼びください」

「では、リーフィア、魔法はお好きですか?」


「魔法ですか?そのようなこと考えたこともありません」

「俺は、魔法が大好きです」


「あ、俺って言っても大丈夫ですか?こっちの方がしゃべりやすくて···」

「私の周りではそのような話し方をされる方おりませんが、何か親しみを感じます。私は気にしませんよ」


「よかった。魔法が大好きな理由は、自由だからです!」

「自由?」


「はい、何でもできる自由があるからですよ」

「おかしなことをおっしゃいますね。魔法なら誰にでも使えるのでは?」


「そうですね。では、こんなのはいかがですか?」

俺は、リーフィアの手を握って空高く飛び上がった。


空中で彼女の体を抱き上げ、回転しながら遠くまで見渡した。


「きゃー、びっくりしました。でも、不思議と怖くありません。昔から、空を飛べたような···」


「じゃあ、行きますよ」

そう言って、一気にスピードにのって飛び回った。


「ハーベル、楽しい!けどもう下ろしていただけますか。恥ずかしいです」

「ああ、ごめんなさい」


「いえ、こんなに笑ったのは生まれて始めてです。

私、ここ15年ほどの記憶が抜け落ちてしまったようで

何も覚えていないのです」

「そうなのですか···」


「でも、ハーベルといると昔を思い出せそうな気がするの」

「それは良かった」


「そういえば、ハーベル、魔法使うとき詠唱してないよね」

「はい、無詠唱でも魔法は使えるのですよ」

「無詠唱でも?」


「そうです、リーフィアにもきっと使えますよ」

「そんなこと···」


「リーフィア、そこのコップに水を入れてみてください」

「ウォーター」

「これぐらい私にもできますよ···」


「じゃあ、次は詠唱せずにコップの中に水がある状態を頭に浮かべてウォーターと言ったつもりになってください」

「ああ、水が入ってるよ!」


「ハーベル、すごい」

「いや、すごいのはあなたですよ。リーフィア」


「あなたも、魔法の才能があるのです。忘れているだけであなたはすごい人なのです」

「どういうこと?」


「ああ、今はまだいいのです。いまはまだ···」

「変なの···」


そう言って、コップの中に何度も水を出して遊んでいた。いまはまだこれでいい。


「ハーベル、もっと何か面白いこと教えて?」

「じゃあ、これなんかどうですか?テルミットという魔道具です」


「変わった魔道具ですね。どうやって使うのですか?」

「それは、自分で探してみましょう」


「ハーベルの意地悪!意地でも探してみせるわ」

これもあなたが作ってくれた魔道具なんですよ。


「ヒントちょうだい」

「そうですね。他の人と話ができます。遠く離れていてもね」

「なるほど、話ができるなら、こうかな?」

そう言って、テルミットを耳に当てた。


「正解です。さすがリーフィア」

「ハーベル、聞こえる?」

「はい、聞こえますよ」

何だか涙が込み上げて来た。

次回 【後悔と歓喜】

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