謎の事件
「マクリアさん、気がつきましたか」
「ハーベル、夢じゃなかったのね」
「仲間たちは?」
「すいません。助けられませんでした、なんとかマクリアさんとあと2人だけ連れ出したのですが···」
「そうだったの···」
「今は心配しないでゆっくり休んでください」
俺は、すぐにネルさんの家へ飛び、連れ帰ってきた。
「姉さん···よかった···」
「ネルさん、今はゆっくり寝させてあげて···」
「分かったわ」
「いったい何があったんだろ?」
遺跡は、かなり崩れていて瓦礫に覆われていた。人間の仕業ではないだろう。地震か何か?
「ハーベル殿、自然の力ではあんなふうにはなりません。結界が張ってあるので外部からの力は及びません」
「そっか」
「もしかして、グランシャインを狙った誰かの仕業?」
「そうかもしれない。詳しくはマクリアさんの回復を待とう」
父さん達の治療のおかげでマクリアさん達はみるみる回復していった。
「マクリアさん、お話できますか?」
「ネル、ごめんなさい」
「姉さん、本当によかった」
「何があったの?」
「あーーー」
急に何かを思い出すと、大きな声をあげて塞ぎこんだ。
「姉さん、落ち着いて!」
「よっぽどひどいことがあったようだね···」
「もう少し落ち着くまでゆっくりさせてあげよう」
「ネルさん、この間にもう一度遺跡に行って原因を調べてみるよ」
「ハーベル、お願い」
「マクリアさんをよろしく」
俺は、遺跡へ飛ぶと周りの瓦礫を片付け、亡くなった人たちを遺跡の外へ連れていき墓を建てた。
「くそ、何てことしやがる!」
遺跡の内部へ戻ると
「バルトロス、グランシャインはどこにあるんだ?」
「我のトイレですな、こちらです」
そこには、魔晶石の欠片がたくさん落ちていた。
「魔晶石は、時間が経つとこうなるんだね」
「魔晶石は、魔力の供給がないと少しずつ朽ちていくのよ」
「まあ、100年近く放置されているんだからな···」
「でも、グランシャインはあまり関係なさそうだな」
マクリアさん達が倒れていた辺りを調べていると、奧の方からとても嫌な感じがしてきた。
「あの辺りから闇の魔力が感じられる、まるでサリエルのような···」
「リーフィア、サリエルは倒したんだよね?」
「ハーベル、残念だけど倒したわけではないの···」
「何?」
「神の力によって魔界へ送り返しただけなのよ」
「嘘だろ、あんなに苦労したのにまだ生きてるのか?」
「魔界からこちらの世界へ攻めてきたりしないのか?」
「誰かが召喚したりしない限り、あちらから来ることはできないはずよ」
「そんな···」
「じゃあさっきの気配は、本当にサリエルかもしれないってことか?」
「ないとは言いきれないわね···」
「神様にお願いして魔界から召喚できないようにするとかできないのかよ」
「神様だって、万能じゃないの···」
「だって、神様なんだろう?」
「ハーベル、それなんだけど···」
リーフィアは、神妙な面持ちで語り始めた。
「実は、神様がもう寿命で先が長くないのよ。だから、後継者を見つけないといけないの···」
「後継者?だって神様なんだろう?不老不死とかじゃないのか?」
「そうはうまく行かないのよ」
リーフィアの話によると、神様というのは特別な存在ではあるが、不老不死や万能な力があるわけでなく、転生者の中に希に現れる特殊な能力を持ち、善良な心の持ち主へと受け継がれるもので現在の神様が亡くなる前に後継者が選ばれるそうだ。
「そんな、神様が人間だなんて···」
「じゃあ、サリエルみたいな悪魔が来てもまた対処できるとは限らないのか?」
「そうなのよ、その時の神様の力によるわね」
「そこで、次の神様候補にハーベルが選ばれたってわけなの」
「そんなこと言われても···まだ18だよ?」
「年齢は関係ないわ、条件を満たして、現在の神様が最後に認めて力の譲渡が成立すればなれるの」
「神様の力って?」
「それは、言えないことになっているのよ。神様以外は、大精霊の私たちしか知らないことよ」
「まあ、あまり興味ないけど···」
「なんかとんでもない話になってきたな、まあ、俺は神様なんかになるつもりはないけどな!」
「ハーベル、とりあえず神様に会って、お願い!それからでも遅くないでしょ?」
「分かった。リーフィアと行くって決めたんだ。
話くらいは聞くよ」
「よかった」
「ハーベル殿、どうも地下に何かあるようです」
「よし行ってみよう!」
地下へ降りていくと、小さい頃に感じた、あのすごく嫌な、どす黒い魔素の感覚が肌を刺した。
「くそ、なんでまた···」
そこには、数十人の血まみれの死体と巨大な魔法陣があった。
「人間は、何て愚かなんだ!同じ過ちを繰り返す•••」
次回 【神への拝謁】




