奇妙な注文
「ちなみに、鬼龍玉はどのように作られるのですか?」
「希に魔界から現れる鬼龍の魂を具現化したものと聞いておる」
「魂の具現化?」
「詳しいことはわしにも分からん、代々伝わっている物じゃから、作った者はもうこの世にはおらんからな」
「そうですか、ありがとうございます」
「その線でもう一度調べてみます」
リーフィアたちは、お礼を告げて早速天界へ戻った。
「アルテミス様、どうでしょう?」
「魂の具現化ですか•••」
「以前、ハーベルから聞いたのですが、魂には形や色があるそうです。ネクロマンサーには、それが見えるそうなのです」
「そうなのですか、私も知りませんでした。ハーベルならそれができるかもしれませんね」
「肝心のハーベルがいませんし•••」
「クラリッサならどうかしら?」
「お願いしてみる価値はあるかも」
リーフィアたちは、クラリッサを探してみることにした。
「ガルマ、これはどうですか?」
「おお、いい出来映えだな。すっかり一人前だな」
「これも、ガルマたちのお陰だよ」
工房に入って数ヵ月が経とうという頃、暮らしにも慣れてすっかり魔界に溶け込んでいた。
「本当に、人間界となにも違わない。魔界だから悪いわけでも、悪魔だから悪いわけでもないんだ」
そんなことを考えていた。
「おい、ハベル!新しい注文入ったぞ!」
「は~い、何ですか?」
「それが、変わった注文でな困ってるんだよ」
「どんな注文なんですか?」
「鬼龍玉を作って欲しいそうだ」
「鬼龍玉?」
「鬼龍玉っていうのは、鬼龍っていうドラゴンを召喚するのに使う魔道具なんだ」
「そんなものがあるんですか?」
「これを使えば、魔界だろうと人間界だろうと召喚できるらしい」
「人間界からでもですか?」
「俺だって人間界に行ったことがあるわけでもないから、詳しくは知らないけどな」
「人間界から召喚•••」
「で、何が困ってるんですか?」
「今は、作れるヤツがいないのよ!」
「そんなに難しい魔道具なんですか?」
「鬼龍の魂を具現化しないといけないんだけど、そんなのできるヤツほいほいいないのよ」
「魂を具現化?」
俺は、魂の形が見える。魔界でも同じで魂は見えている。
もちろん、今付き合っている奴らは、みんな丸い形をしている。つまり、悪いヤツはいないってことだ。
魂の具現化は、考えたことがなかった。もしそれができれば、召喚することも可能かもしれない。
人間界から使えば人間である俺も召喚してもらえるかも知れない。
でも、肝心の鬼龍玉を人間界へどうやって送ればいいのか?
「おい、ハベル!何ボーッとしてるんだ!」
「あ、ちょっと考え事を•••ガルマ、どうやったら人間界へ鬼龍玉を送れるんだ?」
「ああ、簡単だよ。実は、魔道具なんかはすぐに送れるんだよ」
「そうなのか?」
「転送箱っていうのがあって、そこに入れれば簡単に送れるんだ。そんなことも知らねえのか」
「すまん、田舎もんだから」
「気にすんな、謝ることはねえよ」
でもこれは使えるかも知れない。
鬼龍玉をどうにかリーフィアに送ることができれば召喚してもらえるかも知れない。
「でも、あれだよな、召喚するのにいちいち卵が必要なんだろ?」
「そうなのか?」
「ああ、何でも鬼龍玉が生まれたての命を生け贄に要求してくるらしいぜ」
「なんかはあんまり意味ないよな?」
「ドラゴンを呼び出すのにドラゴンの卵がいるなんて」
「ただ、鬼龍玉で召喚した魔物は絶対服従させられるらしいから、それが目的なんだろうな」
「なるほど」
「ってことは、他の魔物も召喚できるのか?」
「もちろん、召喚したいものの卵か赤ん坊を生け贄にすればな」
赤ん坊って、それじゃ意味ないだろ。
何かいい方法はないかな?
「ハベル、作れそうか?」
「すぐには無理だけど、ちょっと研究させてもらっていいか?」
「分かった、1ヶ月余裕もらったからがんばってみてくれよ。その間は、他の仕事は俺たちに任せてくれ」
「ありがとう」
これで少し余裕ができたし、自由に行動ができる。何とかその間に突破口を見つけなければ!
次回 【ダークエルフの里】




