人間召喚?
「アルテミス様、お聞きしたいことがあります」
「何でしょう?」
「魔界から人間を助け出す方法はあるのでしょうか?」
「なるほど、すごい状況ですね」
「あるにはありますが、実際無理でしょうね」
「教えてください!」
「分かりました。まずは、準備が必要です」
「人間を召喚することはできません。さらに、天界のものが魔界に干渉することもできません。つまり、魔界へ干渉でき人間を転移させることはできるのは、人間界にいる者だけなのです」
「それで、具体的には?」
「ウゼール地方にある巨大な森に住んでいる龍人族の長を訪ねなさい。その者が知ると言われる転移秘術があるのです」
「転移秘術?」
「本来は、魔界に住むと言われる鬼龍を呼び出すもので、詳しくは分かりませんが召喚とは違い誰でも使えるものではなく、龍人族の長のみが持つ鬼龍玉が必要なのです」
「おそらく、鬼龍玉は鬼龍でなくても魔界にいるものであれば呼び出すことのできる魔道具と思われます。この玉を手に入れることができればあるいは···」
「そんな大切なものくれるわけないですよね?貸してくれるかどうかも怪しい」
「そうですね、だから実際無理と言ったのです。さらに、龍人族は戦闘民族なので長となれば強さは折り紙付き、戦って奪うというのも現実的ではないのです」
「じゃあどうすれば?」
「今は、考えていてもしょうがないわ、まずは長に会ってみましょう」
「そうね···」
ウゼール地方へは、アルテミス様が一瞬で移動させてくれた。
「リーフィア、あの森ね」
「リーフ行くわよ」
「龍人族の長に会わせて貰えるかな」
「どうしたらいいかな····」
そんなことを言いながら森を歩いていると、
「助けて~助けて~」
「どうしたの?」
「助けて、ジャイアントベアに追われてるの!」
そこへどでかい熊が現れた。
「ただの熊ね。ほいっと!」
リーフィアは、小さな玉を投げつけた。すると一瞬で熊は消えてしまった。
「お姉ちゃん、何したの?」
「熊は、遠くへ飛ばしたから安心よ」
そう言って、女の子の頭を優しく撫でた。
「お姉ちゃんすごいのね!」
「大したことないわね」
「ところで、この辺りに龍人族の村はないかしら?」
「私の村です。お礼も兼ねてご案内します」
「わあ、リーフィアよかったね」
「じゃあ、お願いしようかしら」
女の子の手を繋ぐと、ヒョイとホウキの上に飛び乗った。
「結構、大きな村だね」
そこには、高い塀で囲われた砦のような門があった。
「ただいま、リアだよ、開けて!」
「リア様、お帰りなさいませ、そちらの方はどなた様ですか?」
「命の恩人だよ。おじい様に用事があるんだって」
「これは、御無礼を、さあ中へお入りください」
「ありがとうございます」
すると、跳ね橋になっている門がゆっくり降りてきた。
村の中へ案内されると、リアが大声で何かを叫びながら走っていってしまった。
「このまま、龍人族の長に会えるかしら?」
「そう上手くいくかな?」
「リーフィアさん、こっちだよ!」
「は~い」
リアが、遠くで手を振りながら叫んでいる。
急いで駆けつけると、大きな屋敷がそびえていた。
「わあ、立派ね!」
「早速、おじい様のところまで案内お願い出来ますか?」
「分かった!」
お屋敷の奥まで行くと、威厳のある大男がどっしり座っていた。
「お初に、御目にかかります。リーフィアと申します」
「私は、リーフと申します」
「して、このわしになに用かの?」
リーフが、これまでの経緯を上手く説明してくれた。
「ほお、神様か?」
「にわかには、信じられないでしょうが、本当のことなのです」
「で、この鬼龍玉が必要だと?」
「鬼龍玉をどのように使うか知っておるのか?」
「いえ、知りません」
「そんなことも知らんと貸せと?」
「よろしくお願いします」
「ダメじゃな」
ゆっくり首を横に振った。
「おじいさま、お願い!」
「いくら、孫の命の恩人でも無理じゃな」
「せめて、理由をお聞かせください」
「わしも、鬼ではない、意地悪で言っているのではないんじゃよ。問題は、この玉の使い方にあるんじゃ」
「使い方?」
「この玉は、魔界に住む鬼龍を召喚するためのものじゃが、確かに他のものでも召喚することは可能じゃ」
「では、人間でも•••」
「じゃが、召喚するには生け贄が必要なんじゃよ」
「え、生け贄?」
「鬼龍の場合、人間界のドラゴンの生きた卵が必要となる。故に、人間となると」
「人間となると?」
「赤ん坊じゃな!」
「そんな•••」
「いくら大事な者でも赤ん坊を生け贄にするのは無理じゃろ?」
「•••」
「他の方法はないのですか?」
「こればっかりは、この玉の特性じゃからなどうしようもない」
「召喚の際にこの玉が求めるんじゃ。生まれたての命をとな•••」
「さすがに無理のようね」
「そうね•••」
次回 【奇妙な注文】




