人間の神様
リーフィアと暮らすようになって、1ヶ月ほどが経とうとしていた。
「リーフィア、かなり上達したね」
「ハーベルにいわれた通り、絶えず体を少し浮いた状態にしてるよ。お陰で魔力が増えた気がする」
「素晴らしいね」
「師匠がいいのね」
「そろそろ、空を飛ぶ練習でもしようかと思うんだけど」
「いいわね、早くやりましょ!」
俺は、ホウキを用意するとリーフィアに手渡した。
「お掃除でもするの?」
「いや、ホウキに乗るんだよ」
「いやいや、無理でしょ···」
俺がホウキを手に取りほいっと乗って見せた。
「ウソ、乗れた」
すごく驚いているがワクワクしているようにも見える。
「やってみて、リーフィアだったらすぐ乗れるよになるよ。まず、この猫の人形を握って···」
「ああ、乗れた!」
「ほらね。あとはその人形を操作すれば、自由自在さ」
「本当だ、すごい!」
こうして、いろいろなことができるようになっていった。
「リーフィアの料理は本当に美味しいね」
「ありがとう、そんなこと言ってくれるのハーベルだけだけどね」
やっぱり嬉しそうだ。
「ハーベル、魔道具ってどうやって作るの?ハーベルにしかできないのかな?」
「いや、リーフィアならできるよ」
「本当?」
「リーフィアは、スキルで「設定」が使えるはずだよ」
「スキル?」
「魔法とは別に、属性ごとに特定のスキルがあるんだよ。無属性のスキルは「設定」なのさ、これを使えば魔力消費を抑えても効率のいい魔道具が作れるよ」
「そうなんだ、使い方を教えて」
俺は、細かく丁寧に使い方を説明した。
「なるほど、これは便利ね」
リーフィアは、水を得た魚のようにいろんな道具を作り始めた。
「さすがリーフィア、のみ込みが早いね」
こんな感じでゆっくりではあるが、着実に元のリーフィアを取り戻していった。
「ハーベル、ハーベルったら」
「なんだ、リーフ」
「神様のことも忘れないでって言ったでしょ」
「ああ、忘れてた···」
「リーフィアのことも大事だけど、神様にも会いに行ってあげて!」
「しょうがないなあ、リーフィアと一緒ならいいよ!」
「それでもいいからお願い!」
「了解」
俺は、しぶしぶ承諾してリーフィアに相談してみた。
「私も言っていいの?神様に会えるの?」
「ああ、でもあんまり期待しない方がいいよ、正直期待はずれだしな」
「そんな···」
「それと、リーフを紹介しておくよ」
「私は、大精霊のリーフィアと申します。ハーベルは、リーフと呼んでいるわ」
「あら、あら、私と同じ名前?」
「たまたまだけどね」
「ハーベルには、お世話になりっぱなしだけど、神様候補として今の神様に会いに行ってほしいの」
「着いてきてもらえる?」
「もちろん、リーフよろしくね」
リーフが、光のポータルを開いて神様のもとへ出掛けた。
「神様、お久しぶりです」
「ハーベル、お久しぶり、そちらがリーフィアさんですね。よろしく」
「神様、こちらこそよろしくお願いします。神様とお話しできるなんてとても光栄です」
「そんなたいした者じゃないよ···俺たちと同じ人間だしね」
「神様って人間なんですか?」
リーフが、細かく説明してくれた。
「そうなんですね。なんか大変そうですね。でも、ハーベルなら神様にピッタリな気がする」
「そうでしょ、リーフィアからもお願いしてちょうだい」
「まあまあ、リーフィア無理を言ってはいけませんよ」
「よく言うな!」
「ハーベル、機嫌悪そうね」
「ああ、ごめん。俺は、神様なんかになる気は更々ないんだ」
「そうなの?」
「リーフィアと一緒に幸せに暮らせればそれでいい」
「ハーベルらしくないわね」
「え?」
「ハーベルなら、世界中の人たちを救う事ができるのに、自分たちだけが良ければいいなんて···」
リーフィアが、とても悲しそうな顔をしてうつむいてしまった。
「分かったよ···」
「でも、神様を引き受けるのはリーフィアだ。俺も一緒に引き受けるが、実働部隊だ。この条件ならいいだろう」
「そんな···」
「分かりました。ハーベル、それでいいでしょう」
「神様···」
「ハーベルが、引き受けてくれる気になっただけで十分です。異例な条件ですがお願いします」
「え?ハーベル、私が神様なの?」
「ごめん、そういう事になってしまった···」
「私は、ハーベルと一緒ならどこでもいいけどね」
「暮らす場所も何もかも自由です。今までと何も変わりません。神様の力を受け継ぐだけです。何をどうするかはあなた方次第です」
「分かりました」
神様は、リーフィアの頭に両手をかざすと詠唱をはじめた。柔らかな光が身体全体を包み込むと、頭上の一点に集中するように頭の中へ消えていった。
「おしまい?」
「あとは、この「天界の指輪」を、ハーベルつけてあげて」
俺は、指輪を受けとるとリーフィアの右手の薬指に優しくはめてあげた。
「結婚式みたいね」
リーフが、嬉しそうに言った。
すると、ハーベルの右手の薬指にも指輪が現れた。
その瞬間、神様は、横になると優しい顔をして息を引き取った。
次回 【新人神様降臨】




