探し人
「え……?」
「無くなってる……?」
ユズとアザミの2人が訪れた場所は、かつてユリネが店を構えていた建物。
それが今、もぬけの殻となっていた。
2人は慌てて、周囲のプレイヤーに聞き込みをした。
「あ、あのっ!」
「ん? 何だい?」
「あそこで以前、ユリネっていう生産職のプレイヤーが店を開いてたはずなんですけどっ」
「あ? ああ、ユリネさんね。彼女は今、ギルドに加入したって聞いてるよ」
「「ギルドぉ?!」」
衝撃の情報に、2人は一瞬混乱した。
「嘘だ、ありえない……。あの人、『ギルドなんて興味無いしな〜』って言ってたから、てっきり一生フリーだって思ってたのに……」
「どうする……? 他の生産職の人、探す……?」
「2人とも、ユリネさんに用事なのかい?」
「え? ああはい、一応……」
「だったら、第2階層に行くといい。ユリネさんが所属しているギルドはそこにあるから」
「第2階層……! 分かりました、ありがとうございます! 行くよアザミ!」
「あっ……、ユズ、待って……!」
ユリネの居場所を聞き出せたユズは急いで駆け出し、アザミは一拍遅れてユズの後を追った。
◇◇◇
―――第2階層―――
「やっと着いた……」
まだ第2階層解放条件を満たしていなかったユズは、先に宵闇の洞窟を素早くクリアした後、ようやく第2階層へと降りてきた。
「あのダンジョン強過ぎない?! 道中の雑魚もそうだけど、あのボス何なのよ! 硬い上に毒攻撃してくるとか反則よ!」
「しょうがないよ……。このゲームのダンジョンって、パーティープレイ前提みたいなとこあるし……」
「何よそれ! 本当、アンタがいて助かったわ。さすがに私ひとりだけじゃ勝てそうに無かったもの」
「いや……、ユズはもうレベル30超えてるし、多分ひとりでもいけると思うけど……」
「そう? なら、近いうちにひとりでリベンジでもしてみようかしらね。でも、今はそれどころじゃないわ。早くユリネさんを探さなきゃ……!」
「……」
時刻はもう22時。
アザミは正直眠くなってきていたが、ユズの終わりそうにない気配を感じ取り、懸命に眠気を堪えていた。
「しょうがない、ちょっと聞き込みしましょうか」
そう言ってユズは、たまたま近くにいたドレスアーマーの双子のプレイヤーに声をかけた。
「ねえ、あなたたち。ちょっと良いかしら?」
「はい?」
「な、なんでしょうか……?」
(うっ。ちょ、ちょっとカワイイ、かも……)
双子のプレイヤーのビジュアルを至近距離で目の当たりにしたユズは、一瞬だけ動揺した。
「この第2階層に、ユリネっていう生産職のプレイヤーがいると思うんだけど、知らない?」
「あ、ユリネさんですか……?」
「そうそう。知ってるの?」
「あ、はい、知ってます。というか、同じギルドに所属してますので」
「えっ!? 同じギルドメンバーなの!?」
「はい、そうですよ」
(ビンゴ! よっしゃあああっ!)
ユズは心の中で絶叫した。
「じゃ、じゃあ、ユリネさんのところまで案内してもらえないかしら?」
「え、えっと……」
「あの人、30分前にログアウトしましたよ?」
「ガーーーン!」
ユズはガックリと膝をついた。
「……そう」
「あ、あの、何か伝言あるならお伝えしておきましょうか……?」
「いえ……、いいわ。ありがとう2人とも……」
「ユ、ユズ……、しっかり……!」
ユズは2人に礼を告げ、とぼとぼとその場を後にした。
その後、2人は解散。
ユズは意気消沈しながら、アザミはやっと寝れるという安堵感を胸に抱きながら、それぞれログアウトした。
「大丈夫かな、あのお姉さん……」
「どうだろう……」




