大会に出る? 出ない?
「フリントさんは、次の大会は参加されないんですか?」
「ん……」
ユートピアにログインし、ギルドハウスでゆっくりしていると、ふとサクラちゃんが尋ねてきた。
大会というとアレか、バトルロワイヤル形式のイベントの事か。そういえば3日後だっけか。
とはいえ、それはもう決まっている。
「出ないよ」
「出ないんですか?」
「うん」
レベルとかステータスとか装備の格差だってあるし、絶対無理だっての。
「あら、フリント君は出ないの?」
「ユリネさん」
「はぁい、お邪魔しに来たわ」
「いやいや、ユリネさんもギルドの一員じゃないですか。いつでも来てくださいよ」
「ふふ、ありがと。んー、今日も可愛いわねフリント君♡」
ユリネさんも相変わらずだな。
びよんどさんと出会った時から思ってたけど、このゲームのプレイヤーって変わり者しかいないのだろうか……。
「それはそうとフリント君、ホントに大会出ないの?」
「出ませんって。そもそも、上位ランカー相手に勝てる訳ないでしょ」
「それがそうとも限らないのよねぇ」
「え?」
どういう事だろうか?
「今回の大会はバトルロワイヤル形式だけど、特殊なルールが最近になって追加されたの」
「特殊、ですか……」
「そ。具体的に言うと、大会中はレベルを50で固定、装備は自由、開始前にステータスポイント100を自由に振り分けられる……とかね」
「へぇ……」
「後、バトルロワイヤルは専用ステージで行われるのだけど、そのマップ上にはお助けアイテムが出現するみたいなの。ステータス上昇系だったり、貫通属性攻撃スキル取得だったりと色々あるらしいわ」
という事は、そのアイテム次第ではトップランカーが相手でも勝算が出てくるって事か。
逆に相手に取られた場合は悲惨な事になりそうだけど。
「どう? フリント君の場合はその衣装があるから、大好きなVIT極振りにすれば上位入賞もイけると思うのだけど?」
確かに、出来そうではある。
けど、結局最後にはPSがものを言うゲームだ。トップランカーたちとは装備品の格差だってあるし、初心者のオレが何処まで食らいつけるか……。
「それに、バトルロワイヤルと言っても全滅させる必要は無いわよ?」
「へ?」
「敵を倒してポイント稼いで、120分逃げ切ればいいの。やられちゃったらポイント半減だけど、生き残っていれば全部ランキングに繁栄されるからね」
「うっそ」
「その様子だと、最後まで確認してないみたいね」
オレは慌ててインフォメーションを開き、イベントの概要欄をチェックした。
「ホントだ……」
5日前にルール修正が行われた事が追記されていた。
大まかに説明すると……。
【バトルロワイヤルイベント、〈スノウフェアリー・ナイト〉ルール】
・バトルロワイヤルは専用ステージで行われ、参加するプレイヤーは時間と共に専用ステージへと転送される。
・制限時間は120分。バトルロワイヤル開始前に5分間、大会用ステータスポイント100を振り分ける時間が与えられる。
・装備の持ち込みは自由。装備のレンタルも有り。
・マップ上に特殊な宝箱が出現し、様々なお役立ちアイテムやステータスブースト効果等が得られる。倒したプレイヤーから奪う事は不可能。
・プレイヤーを撃破すると1ポイント獲得。連続で撃破すると、プレイヤー10人毎にボーナスポイント追加。
・撃破されるとポイント半減。復活は2回まで。復活場所はランダム。
こんな感じである。
個人的に一番興味深いのは、連続撃破ボーナスだ。最初に1人撃破してからさほど時間を空けずに次々と撃破していくと、10人でボーナスポイントが加算される。
まさか連鎖システムがこんなところに組み込まれているとは、驚きだ。
でも、……確かに。
レベルが50に固定され、専用のステータスポイントも振り分けられる。装備品は自由なれど、レンタル装備もあるらしいから、装備が整っていないプレイヤーはそれを選べばトップランカーとの装備の差もある程度解消される。それに、お役立ちアイテム等の存在もある。
総じて、誰でもトップを目指せる仕様になっている。後はプレイヤーの技量次第……って事か。
「出てみたら? ウチのギルドの代表として、腕試しも兼ねてね」
「うーん……」
「フリントさんが出るなら、わたしたち、全力で応援しますよっ!」
「……!(こくこく)」
「……ま、前向きに善処します……」
2人のキラキラとした目で見つめられると敵わないな、本当に……。
出るかどうか、ちょっと考えてみよう。
とりあえず、ネットでトップランカーたちの情報でも調べてみるか……。
ストーリー進行が遅過ぎますね、すみません…。




