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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第51話

 ダンとデイブが魔人領から無事に戻って来たこと、さらに魔人のボスと相互不可侵の約束を交わしたと言うことは要塞から伝令が各都市に飛んで伝えられる。もちろんジュエノ王国の王都にも伝えられた。それを聞いた王国の女王陛下並びに大臣や軍のお偉い方たちは歓喜する。


 そのジュエノの王都への訪問、報告にはポールという要塞を守っている部隊のNO.2の軍人ともう1人のジェスという2人の軍人が同行することになった。軍の人間がいた方が王都で動きやすいというのが理由だ。ダンとデイブも断る理由がないので4人で移動することにする。


 ダンとデイブの2人は要塞で2日ほど過ごしてから自分達のベースであるモレスビーの街を目指して歩いていく。ホワイトタイガーによるとこの要塞はAクラスが交代で駐在しており自分達の次にはセロス所属のホライゾンの連中がくることになっているということだ。


 2日間たっぷりと休養し、夜は仲間らと酒を飲んだノワール・ルージュの2人。出発の日の朝、ホワイトタイガーと軍の見送りを受けるとポールとジェスを加えた4人は緑多い草原の道をのんびりと歩いて移動し要塞を出て12日後にラエの要塞経由でモレスビーの街に到着した。


 ノワール・ルージュが戻ってきたという報は彼らが要塞に戻ってきた直後に各都市にB,Cクラスの冒険者が伝令として送り出されたのでモレスビーの冒険者ギルドは彼らの到着を待っていた。


「やっぱりお前さん達2人は規格外だな」


 ギルドに入るとギルマスのコーエンがそう言いながら近づいてきた。その後ろにはボルケーノのメンバー達が立っている。マリアンヌ以下パーティメンバー全員が2人を出迎えた。


「流石に俺たちにとっても予想外の展開だったけどね」


 とデイブ。


 詳しく聞かせてくれと言うコーエンが酒場に移動するとボルケーノのメンバー、あとはギルドの職員やB、Cクラスの冒険者達も集まってきて酒場が大勢の人間で埋まる。2人の軍人はこの街の軍の詰所に顔をだしていてここにはいない。


 ギルマスと向かい合う様にテーブルに座ったノワール・ルージュ。例によってデイブが川を渡ってからの様子を話ししていく。川の向こう側の様子は今まで全く情報がなかった場所だ。2人の話を職員が記録していく。テーブルの上に地図を広げて説明していくデイブ。


「なるほど。向こう側も獣人地区と魔人地区の実質2つの領土に分かれているのか」


「魔人は領土内は自由に動ける。獣人は魔人から分けてもらった場所に住んでいてこの川より北には勝手にはいけない」


 地図を見ながらの説明に納得するギルマス。魔人領に入ってからの話になるとギルマスはもちろんボルケーノら冒険者が身を乗り出して話を聞いてくる。

 

 ランクSSクラスがいくら出てきても雑魚だと言い切る2人。周囲はもう慣れてはいるがそれでも複数の魔人を相手にし倒しまくったという話を聞くと声にならない声があちこちで上がった。


 途中で魔人の要塞を攻略しながら奥に進んだと言うと酒場からマジかよという声が出る。そして魔人領の最奥にある要塞まで行った時の話になると、


「なんだと?魔人領の最奥にある要塞で魔人のボスと模擬戦をした?」


 デイブの言葉を聞いて素っ頓狂な声を出して椅子からのけぞるギルマスのコーエン。

 デイブがその時の様子を詳しく話していくと酒場に集まっていた視線が静かに座っているダンに注がれる。


「5Sクラスのボスと5分かよ」


「ダンの片手剣が弾き飛ばされる事があるんだな」


 口々に言う冒険者達。


「俺もそうだがダンも魔人のトップクラスと模擬戦をしてスキルが上がったよ。やっぱり雑魚相手にいくらやっても腕は上がらないな」


「ダン、怖くはなかったの?」


 黙って2人の話を聞いていたマリアンヌが言った。ダンは顔を上げて彼女を見ると首を横に振り、


「怖くはなかった。それよりもワクワクしたよ。対峙しただけで相手が相当出来るって雰囲気がビンビンと伝わってきたからな。こっちも最初から本気モードでないと勝てないと思った。この大陸に来て初めて本気モードになったよ」


 ダンの言葉を聞いてまたびっくりする周囲。ダンがそれまで本気モードにならなくても桁違いの強さを見せていたからだ。


「前の大陸で最後に渦巻きの近くにいた門番としてゴーレムが2体、その前に森で龍のNMがいたんだけどそいつらよりも首領は強かった。あのゴーレムと龍のNMの時は俺はデイブと2人で本気モードで倒したけど首領はそれ以上だった。その首領と五分の戦いができた。俺は満足してる」


「つまり魔人の首領や副首領相手の模擬戦でにダンと俺はまたスキルが上がったってことだ」


 デイブが補足して言った。そしてダンが首領に相互不可侵の話を持ちかけ、魔人からその言質を取ったという話をすると酒場が大きな歓声に包まれる。


「それだよ。つまり魔人の首領がダンのことを同格か自分より格上だって認めたってことだな」


 ボルケーノのジャンが言うと同格だって認めたんだろうなと答えるダン。


「お前さん達はこの大陸に来た時から桁外れに強かったが今回魔人領に出向いてさらに強くなって帰ってきたってことだな」


 ギルマスのコーエンが言い、続けて


「王都でも今の話をするんだろう。しっかりと説明してくれ。女王陛下を始め国民が安心するだろう」


 その言葉に頷く2人。


 その後はギルドの酒場で大宴会となる。皆ダンとデイブの近くに集まってきてはグラスを合わせ2人の話を聞いては歓声をあげる。


「それで王都に行って報告したあとはどうするんだ?」


 周囲が盛り上がっている中ジャンが聞いてきた。近くに座っているボルケーノのメンバーも2人に顔を向ける。


「魔人の首領に聞いたんだが黒い渦がある火山は魔人領では見たことも聞いたこともないと言っていた。おそらく国境となっている大河の上流じゃないかと。俺達もそう思っているから落ち着いたら国境の川沿いに山の中に入っていくつもりだよ。とりあえずはここモレスビーに戻ってくるつもりだ。この大陸だとこの街が俺達のベースだからな」


「それでその西の山に行ってそこに渦があったら飛び込むのかい?」


 デイブが言った後でジャンが聞いてきた。マリアンヌらは黙ってやりとりを聞いている。


「おそらくな。ただまだそこにあるかどうかも分からないんだけどな」


 ダンが答えた。


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