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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第30話


 元々ジュエノ王国の軍隊が駐留するために作った要塞ということもありここもラエ要塞と同じ作りになっている。


 中に入って荷物を置くと全員中庭に集まってきた。Bクラス、Cクラスの連中の前にボルケーノ、ホライゾン、そしてノワール・ルージュが立って向かいあう形になるとマリアンヌが説明を始める


「明日の朝にボルケーノとノワール・ルージュはここを出て北にある獣人の拠点に向かう。その間ホライゾンをリーダーにしてこの要塞で待機。1週間から10日ほどで戻ってくる予定。獣人が何名拠点にいるのかは不明だけどノワール・ルージュの2人だから問題ないわ。要塞に駐留する人は各自で荷物を解いて獣人に備えて準備をしておいて」


 マリアンヌの言葉に頷くB、Cクラスの冒険者達。クエスト扱いで報酬が出て、しかも集団で襲ってこないとわかっているせいか彼らの表情に悲壮感はない。


「マリアンヌが今言った通りだ。俺達はこの要塞で待機する。魔獣が単体あるいは数体現れた時は皆で討伐しよう」


 ホライゾンのリーダーのニールの言葉が終わると各自が駐留の準備を始めた。ノワール・ルージュとボルケーノ、そしてホライゾン3パーティ12名は要塞の中にある部屋に入って打ち合わせをする。


「ラエの要塞の時は片道5日ほどで獣人の拠点に着いた。今回もそれくらいだろう。往復で10-12日、戦闘は1日で終わる。ざっくり2週間だな」


 デイブが言うとそんなもんだろうとジャンも言う。


「拠点にいる獣人を倒したら東の拠点と同じ様に燃やしていいな?」


「いいんじゃない?」


「じゃあこの前と同じだ。俺達が村に入って村から火が出たらボルケーノも村に向かってくれ」


 デイブの言葉に頷くボルケーノの5人。


「それにしても2人で拠点1つを潰すという発想は俺達にはないな。ノワール・ルージュならではの発想か」


 打ち合わせが終わるとニールがダンとデイブに顔を向けて言う。


「2人の方が動きやすい。周りが全て敵だってのは意外と戦闘しやすいんだぜ。片っ端から倒していけばいいだけだからな」


「王都で魔人を倒した2人だから言える言葉だな。普通ならBランクとはいえ数百体もいればそれは十分な脅威になる」


 デイブの言葉に戦士のスティルスが言うとそうだよと周囲が同意する。ダンはデイブの近くに座って水を飲みながら皆のやりとりを聞いていた。


「おそらくだけど明日出向いていく拠点も俺達が破壊した東の拠点と同じ程度だろう。雑魚ばかりだと見ている。ただ中央の要塞の攻略時には魔人がそこにいるかもしれないという話をダンとはしている」


「その理由は?」


 マリアンヌが聞いてきた。


「この人間の領土に攻め込んできている以上現地の司令官の様な立場の奴がいるはずだ。おそらくそいつは要塞にいてAクラスの獣人に指示を出す。そしてAクラスの獣人が手下を連れて拠点に移動したりそこから俺たちの要塞や街を狙っているんだと見ている」


「Bクラス以下の獣人1体でも普通のパーティで倒すのは簡単じゃないだろ?普通なら獣人は自分達の方が強いと思えば好き勝手にこっちに乗り込んで暴れると思うんだよ。ところがそうはならずに統制されて集団で襲ってきているということは奴らより上のクラスの獣人あるいは魔人が全体の指揮を取っていると考えているんだ」


 デイブに続いてダンが言った。確かにこの大陸の冒険者にとってはBクラスの獣人1体を安全に倒せるのはAクラスの冒険者達だけだ。それ以外のクラスではあっさりと倒すには簡単ではない。獣人達は今までの戦闘で人間の強さをある程度理解しているはずで、それでも単体じゃなく集団で襲ってくるということは2人の説明通りに高クラスの獣人あるいは魔人が指揮を取って統制していると考えると辻褄が合う。


「集団でこちら側の要塞に攻撃をかけながら人間の対応力や戦力を見てたんだろう。王都にいる魔人2体で軍を弱体化させ、要塞に集団で襲いかかって冒険者の戦闘力を削る、そうしてこちらの戦力を削ったタイミングで一気に大規模な襲撃をかける作戦だったんじゃないかな」


 デイブが獣人の動きを予想して言うとそれは十分にあり得る話だとホライゾンもボルケーノも答える。


「その奴らの目論みは既に破綻している。こっちから乗り込んで行ったら面白くなりそうだ。そしてようやく俺たちも鍛錬ができるってことさ」


 ダンがあっさりと言った。

 

 この2人はこの大陸に来て短期間の間に獣人の目論みを砕いたと思えば今度は逆に乗り込んでいくと言っている。それも鍛錬の場を求めて乗り込んで行くという発想だ。これは俺たちにはできないとニールはダンとデイブの話を聞きながら思っていた。こいつらは負けるということを全然考えていない。すごい奴らだと。


「鍛錬で獣人領に乗り込むのは良いとしてどこまでやるつもりなの?」


 デイブは聞いてきたマリアンヌに顔を向けた。


「俺達が納得するまでさ。納得するというのは鍛錬の相手として十分な魔人が出てくるまでだ。それまでは片っ端から倒しながら奥に進んでいくつもりだよ」


「ダンもそうなの?」


 話を振られたダンはそうだよと頷くと、


「デイブが言った通りだ。別に獣人領を全て殲滅しながらくまなく廻っていくつもりはない。橋を渡ると奥に進んで行き、途中で出会う敵を倒して強い奴がいる場所を聞く。そしてそこに乗り込んで鍛錬をして自分の腕を磨くのが目的だよ」


 2人の話を聞いているボルケーノとホライゾンは言葉も出ない。ただそれが法螺でもなんでもないことは彼らは知っている。桁違いの戦闘能力を持っている2人。他の大陸からこの大陸にやってきたのも強い敵を探してきたんだと言って憚らないしそれだけの実力を2人とも持っている。


「このまま元の大陸に戻ったら一体何をしにこの大陸にやってきたのかわからないからな」


 とダン。


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