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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第27話


 ノワール・ルージュとボルケーノの7名はその後パールを訪問し今は最前線の最西にあるセロスの街を目指していた。


 多少の起伏はあるものの緑が多い平原や森を進んでいき、途中で出会うBクラスの魔獣は訓練を兼ねてボルケーノが倒していく。


「モレスビーを出たときよりも相当強くなってるよ」


 野営で夕食を取っている時にデイブが言った。


「自分達でも成長しているのがわかるのよ。回復魔法の回数が随分と減っているから」


 ジャスミンが言った言葉に頷く他のメンバー。ダンは1人で野営の周囲を警戒していた。Bクラスならダン1人で十分に警戒できる。彼は警戒しながら食事をしている仲間のやりとりを聞いていた。


「ダンとも話をしていたんだけどさ、今なら武器を強くしても大丈夫だろう」


 そう言ってデイブがアイテムボックスから自分達が使わない片手剣や斧を取り出して地面の上に置いた。ボルケーノのメンバー達はそれを見て一眼で今自分達が使っている武器よりも優れているものだと理解する。


「これはすごいな。前の大陸ではこんなのが出てたのかい?」


 斧を手に取ったブルーが言う。


「ダンジョンの奥の宝箱やボスから出てきたものだよ。その斧も片手剣も俺達は使わないから差し上げるよ」


「ありがとう。でもどうして今のタイミングで武器をあげるって言ってきたの?」


 マリアンヌが1本の片手剣を手に取りながら言う。


「武器は補助だ。いい武器を持つのは良いことだが、武器に頼って戦闘スキルが伸びなくなる。だから俺達はボルケーノの成長具合を見てたんだ。毎日しっかりと鍛錬をしているし戦闘のやり方も上達してきている。つまり個人のスキルがしっかりと上がってきているということだ。その今の状態で良い武器を持てばもっと強くなれる」


 デイブの言葉に前衛職のマリアンヌ、ジャン、ブルーがうなずく。


「ただこの武器を手にすることが鍛錬の終着点じゃない。良い武器を持っても引き続き毎日鍛錬したらさらに強くなるよ」


 デイブはそう言ってから俺とダンの見立てだがと自分達の考え方を説明する。


 スキル(人間の能力)X 武器(道具)=戦闘能力


 かける武器が強くなり、掛けられる側の人間のスキル、能力が上がるとトータルの戦闘能力はアップするという考え方だ。


「なるほど、言われてみればわかる気がする。理にかなってるな。魔法も同じだ。つまり掛けられる側のスキルが上がればトータルの戦闘能力は大きくアップするってことだな」


 聞いていたクラウドが言った。そうなんだよとデイブ。


「俺とダンは冒険者を始めてからずっとこの計算式を頭に入れている。だからかけられる側の個人のスキルを上げるために毎日鍛錬を続けていた。結果向こうの大陸の表現でランクSSSSクラスまで2人でなんとか倒せるまでになったんだと信じている」


 ボルケーノのメンバーが見張りをしているダンに顔を向けるとそうだよとうなずくダン。桁違いの戦闘能力も持って生まれたものではなく日々の鍛錬の賜物だったのだと理解する。


 自分達の目の前にそれを実践してきた2人がいるのだ。間違いはないだろうとマリアンヌ以下メンバーは思った。


「魔法についても同じなの?」


 ジャスミンが聞いてきたので同じだと理解しているというデイブ。


「毎日魔力をコントロールする鍛錬を続けていると魔法の威力が増し、同時に魔法を撃った際に消費される魔力が減少する。これも武器と同じで俺達が冒険者になってからずっとやってきたことだ」


 納得するジャスミン。聞いていたクラウドが、


「ノワール・ルージュと会わなかったら俺たちはただのAクラスで終わっていただろうな。5人でなんとかAクラスの獣人を倒すレベル。Aクラスが2体きたらお手上げ状態のままだっただろう」


「今ならそうだな、Aクラスなら3体ほどのリンクなら対応できるだろう。ジャンの盾のスキルや他のメンバーの攻撃力が上がっている。問題ないだろうな」


「ダンが倒したという魔人クラスは?」


 マリアンヌが聞いてきた。デイブは周囲を警戒しているダンにどうだろうか?と聞いた。


「苦労するけど倒せないことはないだろうな。ただし条件がいくつかつく」


「条件?」


 全員が見張りをしているダンに顔を向けた。


「1つは相手の魔人が前衛ジョブであること。魔法使い系が相手だとまだ無理だろう」


 ダンの言葉に頷くメンバー。


「なるほど。それで他の条件は?」


「慣れだよ。この大陸の人間は皆魔人には勝てないと思い込んでいる。その潜在意識、思い込みがある限り勝てない」


 ダンは周囲を見ながらも時折野営をしている方向に顔を向けて話を続ける。


「魔人には勝てないと頭の中に刷り込まれている意識を取り去らないといざ魔人と対峙した時に身体が動かないだろうな」


 ダンの言葉が終わるとしばらく誰も言葉を発しなかったがジャンが口を開いた。


「その意識ってのを取り去る方法はあるのかい?正直俺もダンが言う通りに魔人には勝てっこないって思っているからな」


「あるよ」


 あっさりと言うダン。あまりにあっさりと言ったのでボルケーノの全員がびっくりした表情になる。


「魔人といえども強くないと思い込むことだ。たとえば魔人を見た時にSクラスだと思うからビビる。Aクラス、あるいはAクラスよりちょっと強い程度だと自分に言い聞かせることだな。要は気持ちの持ちようなんだよ」


 そう言ってダンは自分達の経験から話をする。ダンジョンでワイバーンを倒した後のボス部屋はまたワイバーンだった。途中のワイバーンよりも一回り大きいだけで何だボスはワイバーンだったのかと倒して魔石をギルドに持ち込んだらそれはワイバーンじゃなくてドラゴンだったというとボルケーノ全員がびっくりする。


「ドラゴンだったのか?」


「よく倒せたな」


 ジャンとブルーが次々に言うとダンがダメだしをする。


「その考え方がダメだと言ってる。ドラゴン=勝てない相手と決めつけてるだろう?だから勝てないんだよ。俺達はワイバーンよりちょっと強めの相手だと思って戦闘をした。つまりは戦う相手のランクなんかを気にしてたら勝てないってことだよ。目の前の敵そいつのクラスがどうであれとにかく自分は目の前の敵を倒すんだ。普段からそう言う気持ちで鍛錬をしておけば格上が出てきても焦らない。ランクなんて後付けだよ」



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