第8話 謎のショーネン?
クラスの生徒会長……アモンの呼び掛けにより、急遽勇者たちの会議が始まった。
そこには、勇者一行たちに加えて、国王と女王、ガイルさんやヴァンさん、マインさんが集まった。
長い長いテーブルに全員が座り、国王の掛け声を始めに、話が始まる。
「……ゴホン。ところで、何があって我々はここに集められたのだろうか」
「はい。その話についてですが……」
アモンが淡々と夢のことについて話していく。
謎の白い空間、パルラと名乗る人間、ステータスプレート、勇者の力……そして、勇者の武器について。
その全てを、今目の前にいる国王と王妃たちに話した。
「……なるほど。そんなことが……」
「聞いたこともありません。その……パルラさん……でしたっけ?伝承にも書いてあるのを読んだことがありませんし……」
「私もです……ヴァンさんはどうですか?パルラという方について何か知っていることは……」
「私も、長年生きておりますが……そのような話は全く聞いておらぬのじゃ……」
「私も!!!聞いたことがありません!!!」
そんな全員の話を聞いて一つため息を吐いたあと、国王がまた話し出す。
「……そして、その夢は……」
「ここにいる、勇者全員が見ています」
「……なるほど……」
そう。
全員が、まったく同じ夢を見ていたのである。
アモンがイブキやリキなどに話をしたところ、ただ事ではないと感じてこうしてアモンが集会を開いたのだ。
「……本当に、神のようだな……」
「聞いた限りでは、伝承にある神の御業だとしか思えませんね」
「う〜ん……」
「少女や少年にも見える不思議な姿をしていた……という点も一致しておりますな」
(※第2話参照)
「もしかしたら、僕達は神に……?」
「対面したことになるな」
「まじかよっ!?」
「神様って逸話の話じゃなかったの……?」
「まぁ、なんにせよ、これは一度信じてみるしかないだろう」
「……と、言いますと?」
そう言うと、国王はアモンに向かって、「試してみてくれないだろうか」と投げかける。
「分かり……ました」
話を切り出したアモンでも実は半信半疑だったようで、渋々ながら視線を国王から外す。
所詮は夢……だけど、ただの夢ではない……?
掌を前に突き出しながら、アモンは言った。
「『ステータスプレート』」
そう唱えると、目の前に薄い青色のプレートが現れる。
そこには、パルラが言った通り、その人に関する様々な情報が書き記されていた。
「ホントに出た……」
「……それが……ステータスプレートという物なのか?」
「はい……夢で見た、パルラが見せてきた物とほとんど同じです」
「ほほぉ……なかなか興味深いものですなそれは」
「コラ、ヴァン……」
「おっと、これはすまない。マイン様」
「この世界には……元々無いものなのですか?」
そう、イブキが国王に訊く。
アモンのステータスプレートからイブキに視線を移し替え、質問に答えた。
「そうだな……このような物は無いが、似たような物ならある」
「似たような物?」
「あぁ。それを我々はマイプレートと呼んでいる」
そう言って、国王は自分のマイプレートを見せてくれた。
それはまるでスマートフォンのようで、画面にはステータスプレートと同じ内容の情報が書かれていた。
どうやらそれは訓練場のカカシ同様、初代勇者が発明したものらしい。
「内容も一緒……」
「ん?裏のこのマークは……?」
金色の剣に、その左右から生えた大きな翼。
そして剣の柄の先には、王冠のような紋が描かれ、背景には、太陽を思わせる絵が描かれていた。
「ん?これ、どこかで見たことが……」
「それは家紋だ。だから、一般の身分証としてもよく使用される」
「なるほど、身分証……」
「それと同時に、この家紋はこの国の国旗とよく類似している」
そして国王の背後を見る。
そこにはこの国の国旗が飾られてあった。
確かに似てはいるが、翼の色と、剣の数が違った。
勇者たち全員がその国旗に注目していると、ふと国王が口を開く。
「そうだな。勇者用としてマイプレートの制作を願おう。紋章はこちらで考えておくが、いいか?」
「問題無いです。みんなはどう?」
「あ、自分も大丈夫デーす」
「うん、俺も」
点々と賛成の声が上がる。
そうして、全員の賛同を得たことを確認した国王は、ひとつ頷き、別の話に移るよう促す。
「……それで……黄金の光は、お主らは今見えておるのか?」
「いや……」
そう言われ、互いに顔を見合わせる。
その様子からは今はまだ見えておらず、自分自身としても困惑しているように見えた。
と、そんな時、一人の女子が口を開く。
「あのさぁ、『辺りをよく見渡せるところに行け』って言われてなかったっけ?」
「あ、確かに」
「なんで忘れてんだよバカじゃないの……?」
かなり毒舌だが、彼女も勇者一行の仲間である。
名前は織菜 夏泉。
周りからはお母さん的な立ち位置に見られており、かなり面倒見がいい。
「ふむ、見晴らしがいい所と言えばあそこしかないだろう。案内するとしよう」
「私も参ります」
「それは助かる。では、行くとしよう」
どこに連れていかれるのかと思いながら、国王について行くと、そこは城の展望台のようだった。
どうやら国で最も高い場所のようで、全体を見渡すにはちょうどいい場所だろう。
長い長い螺旋階段を渡って来たからか、皆は息を切らしていた。
ちなみにその中で唯一リキだけは、むしろ元気になったのではと思うほどに口を閉じようとはしない。
「うおぉぉぉぉ!!すげぇたっけぇぇぇぇ!!!!」
「りっ……リキ……お前はなんでそんなに元気なんだ……はぁ、はぁ……」
ひとつ、国王が額の汗を拭い、全員が登ってきたことを確認して話を始めた。
「はぁ……皆の者!大丈夫か?」
「はい!」
「むり……しぬぅ……」
「私は……ギリ……大丈夫……」
疲れを一切感じさせないリキ。
その背中には完全に体力が尽きてしまったアモンがおぶられていた。
その様子を見た国王は一瞬、驚いたような表情を浮かべるが、すぐにニコッと笑って「さすがだな」と呟いた。
「へへへっ、あざっすどもっす(笑」
「うむ、それでは勇者一行。光の柱は見えるだろうか?」
そう言われ、全員が展望台の外側に顔を向けた。
ガラスは貼っておらず、広い部屋にしてはずいぶんと風通しの良い造りになっていた。
外に向けて顔を出し、全員で一斉に光の柱を探し出した。
「……どこだ……?」
「うーん……あっ!あったあった!!」
「俺も見つけた!!」
「私も!!」
勇者の武器はそれぞれ別々の場所にあるようで、見つけた位置も場所もどれも違っていた。
森の中であったり、遠くに見える海の方だったり、山の方でもあれば、意外に近くにあったりと。
と、そこで、リキにおぶられていたアモンがとあることに気がつく。
「ん……?なんだ……あれ?」
「え?何が?」
「いや……あの海の向こう側…………流れて……る?それに、土地がまっすぐで……四角?」
「は?語彙力どうした」
確かに、アモンが行っていたことを踏まえて再び見てみると、先が霧に隠れて見えなくなる……と言うより、突如として無くなっているように見えた。
そんな会話をしている2人の元に、会話を聞いたヴァンが歩いてやってくる。
「それりゃあ、ボードランドですからなぁ」
「ポーランド?」
「ボードランド。チェス台やリバーシ台のようにまっすぐでボードのような形をしているから、そう名ずけられたそうじゃ」
「へぇ……」
「ちなみに、丸い形はノーマルランド、と言うらしい。これらは全て、初代勇者様がくださった異世界の知識なのじゃ」
「は、はぁ……」
日本人の知ったかだとしか思えない知識。
だが、もしかしたら自分たちのいた世界とは別のもうひとつの日本から来たのかもしれないと、リキとアモンは思う事にした。
そうして、再び自分の武器がある光の柱を見るため、外側に目をやった時。
一瞬の静寂が部屋全体を包む。
そんな時だ。
「…………ない……」
一人の先生が、そう呟いた。