第Ⅹ幕 戦艦アララト
絵田園都市に行った翌日、急遽、僕たちは、
戦艦アララトに乗艦することになった。
現在の反乱軍の勢力は、
「全地球規模に拡大しているようだ」
そして、この日、リリスが、
「私の船室に、お茶を飲みに来ない?」
と、僕を誘った。
「えっ、いいのかい?」
この誘いに僕は、少し戸惑う。
僕とリリスは『黙示録の羅刹』として、
戦友ではあるが、
「女子の船室に男子の僕が‥‥」
上がり込んで良いものだろうか?
だが、リリスは、
「艦長さんから、高級な紅茶を頂いたのよ」
そう言いながら、
「さあ、早く行きましょう」
彼女は僕の手を引く。
相変わらず、積極的な女の子だ。
しかも彼女は絶世の美少女でもある。
「あの日から世界が変わってしまったね」
船室でリリスは、紅茶を淹れながら、
そう言ったが、この部屋には、
女の子らしく大きな鏡があり、さらに、
良い匂いが飽和していて、僕は落ち着きなく、
「そうだね」
と、空返事だけを返す。
「せっかくの春休みなのに、こんなことになって」
「でも、なぜ僕たちは『黙示録の羅刹』なんだ?」
「解らないわ。それでも超能力は使えるのだから」
しかし、その時だ。
「緊急警報、敵が本艦に接近中、緊急警報」
艦内に緊急放送が流れた。
僕とリリスは、淹れた紅茶も飲まずに、
船室から飛び出し、戦闘司令室へと走る。
「総員、直ちに第一戦闘配置に付け、繰り返す‥」
緊急放送は流れ続け、
僕とリリスが司令室に到着すると、
リリスが開口一番、
「どういう状況ですか?」
と、アブラハム一三九に質問した。
「空から敵が接近している」
モニターには偵察機からの映像が映し出され、
そこには海の上空を飛行する、
美しい女性の天使の姿があった。
「第二の『殺戮の天使』だ」
司令官の一三九は、そう言うと、
こう言葉を続ける。
「君たち二人も戦闘に出てくれ」
その命令で、僕とリリスは甲板に出た。
第二の殺戮の天使は、
すでに、かなり近くまで飛来していて、
戦艦アララトからは、
バジュ、バジュ、バジュ、バジュゴーン。
対空砲が連射されたが、
ヒラリ、ヒラリ、
と、殺戮の天使は、舞うように飛び、
攻撃から逃れる。
「私たちが行くしかないわね」
リリスは、そう言うと、
ババッと空へと飛び立った。
「あっ、待ってくれ」
僕もリリスの後を追って、甲板から飛翔する。
眼下は波打つ大海原。
第二の『殺戮の天使』との空中戦が始まった。




