第Ⅰ幕 殺戮の天使、来襲
今日は中学校の卒業式だった。
「三月の風は春の匂いと別れを運んでくる」
だが、現在、この世界は、
堕天使『ルシファー』の植民地になっていた。
しかし、そんなことは、
「十五歳の僕にとっては関係ないことだ」
それは、今から40年前の出来事なんだが、
19XX年。ルシファーが地上に降臨したらしい。
この時、ルシファーと人類との間に、
七日間の全面戦争が勃発した。この戦禍で、
「人類の総人口は20億人にまで減少する」
結果、人類は敗北して、
世界はルシファーの植民地となった。
だが、植民地として支配されることで、
「世界からは『飢餓』『疫病』『戦争』がなくなる」
だから、今の僕たちの暮らしは安定していて、
「植民地ではあるが、不幸だとは思っていない」
そして、卒業式の帰り道、同級生の明乃が、
「高校になったら、別々の学校だね」
と、少し寂しそうな表情を見せた。
僕と明乃は恋人同士ではないが、幼馴染であり、
長年の友人であった。その明乃が、
「これから先、どうなるのかしら?」
ポツリと言葉を漏らす。
「中南米の国が攻撃を受けたらしいわ」
それは昨日、ニュースで報じられたことだ。
「遠い国のことを気にしてもな」
「でも、沢山の人が死んだのよ」
その国は植民地支配を拒絶して、
ルシファーとの戦争状態に突入したのだが、
首都を攻撃され、多くの犠牲者がでたらしい。
「僕たちが考えても、どうにもならないだろう」
気のない返事を返して、僕は空を見上げた。
春の空は静かで平和そのものだ。だが、その時、
ギュギューッ。
1台の黒いワンボックスカーが急停車して、
「あの少年だ、捕獲しろ!」
迷彩服の男たちが飛び出してくる。
「何だよ、止めろ、離せッ」
僕は抵抗したが、彼らに捕らえられて、
ワンボックスカーへと押し込まれた。
この時、歩道に残された明乃が、
「きゃあーッ、誰か助けて、友達が!」
叫び声をあげたが、
ワンボックスカーは急発進する。
「止めろ、何なんだ!」
僕は車内で暴れたが、
「おとなしくろ」
と、顔面にスプレーをかけられ、
「うあッ」
そのまま意識を失った。
「・・・・・・・・・・・」
どれぐらいの時間、眠っていたのたろうか?
目を覚めますと、そこは研究室のようで、
「ここは、どこなんだ?」
パソコンや機材がズラリと並び、
僕の寝るベットは、
ガラスの壁で仕切られていた。
「君は『黙示録の戦士』なんだよ」
と、見知らぬ中年男性が言葉を発する。
その横にあるテレビ画面には、
ニュース番組が放送されていて、
僕の住む街が生中継されているようだ。
「これは『殺戮の天使』です」
と、女性アナウンサーが報じ、
街の上空には『白い羽を持つ美しい女性』が、
浮かんでいた。この映像を見ながら中年男性は、
「殺戮の天使はルシファーの下僕だ」
その殺戮の天使が、街を攻撃するのだと語る。
「なぜ、この街が狙われるんだよ」
「ルシファーの抵抗勢力だからだ」
中年男性が、そう答えた、次の瞬間、
ピカアーンッ、
殺戮の天使が閃光を発したと、同時に、
ドゴオオオォォォォーン!
地上で大爆発が起こる。
「な、なんてことに」
この時、僕の住む街が一瞬で炎に包まれた。




