北へ。
リキ一人ではこの勝負は勝てはしない。敵は惑星外の鉱石を加工した武器で進行していたからである。因縁深い敵と惑星外の犯罪、そして、持ち込まれた郷里の鉱石・・・リキとルナリアナは敵の目的を阻止できるのか?
強行軍を強いて北に北上したリキとウィマ・アルムが馬の小休止にボロ小屋に辿り着いた。「……ここも壊滅か……」リキの外套を外し折り畳みながらウィマが言葉を発する。「万物の栄枯盛衰…哀しみと共に崩壊の美さえ感じ取れます。」リキは周囲を見渡し宿敵の片鱗とさえ感じ受ける機剣と機爪を見つける。
(………確かに奴の所持していた俺の惑星でしか精製出来ない武器だ。)大方この世界の人間達を殺し機械兵に作り上げたが、彼等に命じた思考回路に不備があったか、どうせ崩壊させるのだからと安易に捨て置いたに違いない。機爪をウィマに手渡した。「リキ様、これは…?」「この先で待つであろう敵が打ち捨てた武器だ。念じれば爪の部分が形状を変化させる。これからの敵との交戦に大いに役に立つ。受け取っておけ。」「………畏まりました。それにしても、照らす角度で色を変えるなど不思議に御座いますね…」見惚れるように多方向に向けて武器を眺めるウィマに苦笑しつつ、座れる椅子に腰を下ろす。
「………それは七矢月陽鉱石と言う石で月の光を内包した石で出来た武器だ。月光七・太陽光三の割り当てで構築された石だ。対して、我が手にある機剣は七矢陽月鉱石。これはその真逆で太陽光七・月光三の割合で光を蓄積した鉱石だ。これの元は七矢鉱石と言う屑鉄以下の石ころだ。」
リキの故郷のどこにでもあるただの石であり、彼の本業でよく目にしたものではあるが、とある機械貴族の手に因って金剛石以上に値がつり上がった。それが、これから相対する宿敵である。(・・・こんな事を思い出すのは消えた故郷への未練か?)心で自嘲する。しかし、これは多分好機・・・罠であるとも感じるがこの鉱石から作られた鎧を纏う宿敵はこの鉱石で出来た武器のみ傷を負わせられる。正に、矛盾である。熟練度と鍛錬に裏打ちされた力量が必須のため、エイレーン・コキューレやハオ・レイドならば問題はない。
機爪はさらに器用性を求められる変幻自在武器のため、この段階ではウィマ・アルム以外には現在使える人間は存在しない。(・・・奴は何故、このタイミングで自軍の機械意識さえ制御できない手下に希少武器を貸し与えた?)騒動が起こればFに命じられた自分か相棒が黙ってはいない。この先はこの惑星の外の重大問題に繋がってくる。(…いや、舞台のこの世界はまだ崩壊という幕引きを遂げていない。ならば、奴はF達が手を出せないその瞬間を狙った?)深く考え込むリキに執事のウィマが心配そうに声をかける。
ーーー「大丈夫ですかな?」その言葉にリキは思考を深めるのは止めた。考えても無駄なのだ。自分はこの軸には居ない相棒の様に頭が良くはない。考える云々よりも力で押し切る方が性に合っているからだ。立ち上り早る身体を理性で抑える。「………とにかく休もう。ウィマも身体を休めておけ。」そう、早期解決は事態の収束の早道であるが、情に足を取られたリキの方がこの勝負、分が悪いと云えた・・・。ーーー
北に向かう彼は消滅させられた惑星の鉱石を使った武器に驚く。Fの依頼でルナリアナを助けに来たはずの彼は、郷里で最期に相見えた宿敵の影に触れて、改めて依頼に疑心を抱く。




