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土の神殿での戦い

成獣との死闘を終え、重傷を負いながらも迷宮を脱出したカイたちは、奥深くに存在する真の神殿――土の神殿・本殿への道を発見する。


「この先に……何かが呼んでる」

エルナが耳を澄ます。重たい土の鼓動が、地下の奥深くから響いていた。



― 土の神殿・外郭部 ―


重たい扉を開けた瞬間、カイたちは思わず足を止めた。中は深い土の香りと、濃密な魔力に満ちていた。


「なんだ、この空気……魔力が、まとわりつく……」

エルナが顔をしかめながらも、空間の異様さを感じ取る。


床一面には緑の苔が広がり、壁面には太い根が這っている。神殿でありながら、生きているような息遣いがあった。


その時――


「来るぞッ!」

ノクスの叫びと同時に、地面から魔力に満ちた太い木の根が何本も突き上がってきた。


ドガァン!


一本がエルナを襲う。咄嗟に後方へ跳び、矢を放つも、根は矢を受けても怯まず、蠢くように動き続ける。


「無機物じゃない……これ、意思がある!」


「まるでこの神殿自体が、侵入者を拒んでるみたいだな……!」

カイは剣を抜き、迫る根を【プロミネンス】の斬撃で焼き払うが、斬られた先からまた根が再生してくる。


「再生してやがる! いくら斬ってもキリがねぇ!」


ノクスが影から影へ移動し、背後に現れた根を斬り落とすが、それもまた新たな芽のように再生し始める。


「この魔力、どこかに本体があるはずだ……!」


するとエルナが目を細め、天井を見上げた。そこには、太く脈打つ巨大な「根の核」が絡まるように張り巡らされていた。


「そこよ! あの核を狙うわ!」


エルナは【エルナ・エクリプス】を発動し、魔力の光を纏った矢を放つ。矢は軌道を歪めながら宙を裂き、天井の核へと突き刺さる。


ビシュウゥッッ!


爆発的な魔力の放出と共に、根の動きが一瞬止まり、辺りに静寂が戻る。


「やったか……?」


だがその直後、壁面の模様が光り始め、声が響く。


「試練はまだ始まったばかり。

真の“地の意思”へ至るには、汝らが何者か、語らねばならぬ……」

神殿そのものが、意志を持って彼らに試練を課していた。


「やはり、これはただの遺跡じゃない……この“根”は、俺たちに毒を付与する……!」


根に触れた瞬間、カイたちの体に毒が回る


「……行こう。これは俺たち自身との戦いだ」


そう言ってカイは、一歩、神殿の深部へと踏み出すのだった。


「これが“対価”……! 力を求めて戦った報いだっていうの……!?」


だが、絶望の中でも、彼らの眼は死んでいなかった。


「まだ……終わりじゃねぇ」


カイが歯を食いしばって立ち上がる。


「力を削られたって……技は、生きてる」


「影も……まだ残ってる」


「魔力が尽きても……私は、まだ撃てる!」


3人は、お互いに残された力を見極め、補い合うようにして次の戦いの構えをとる。


その先に立ちはだかる、“審判の樹”。



「まだ……終わらないのッ!」


エルナが叫んだ。


審判の樹が咆哮を上げた次の瞬間、再び地鳴りが響いた。地面が割れ、壁が裂け、さらに巨大で無数の根が四方八方から襲いかかってくる!


しかも今度の根は、先ほどよりも硬質化し、魔力の気配も一段と強くなっていた。カイたちが力を失っていることを見越したかのような動き――明らかに追い詰めに来ている。


「数が違う……っ、今度は質も上がってる……!」


ノクスが影を駆使して躱そうとするが、身体の反応が遅れる。すでに吸い取られた敏捷性が足を引っ張っていた。


「くっ……!」

カイも剣を振るうが、斬撃の威力が明らかに落ちていた。

「プロミネンス……届かねぇ……っ」


その間にも、根は蛇のようにうねりながら彼らを締め上げ、抉り、押し潰そうとする。


「せめて……援護する……!」


エルナは体を支えながらも【ルミナ・エクリプス】を発動する。だが、魔力は薄く、矢はすぐに光を失った。


「エルナ、魔力が……!」


「でも、撃つしかないの……!」


咄嗟にノクスが影を伸ばし、エルナの足場を整える。


「撃て、エルナ。お前が一番届く位置にいる」


「……っ!」


エルナは震える手で矢を重ねる。魔力の残りを、絞り出すように。


「ルミナ・エクリプス……ミラージュ・クラフト!」


複製された矢が幾重にも連なり、放たれる。光の束が根の群れを焼き、切り裂いた。


その光の隙間を縫うように――カイが突っ込む。


「全力で行くぞ……!」


身体能力が削られていても、まだ足は動く。心は折れていない。


「プロミネンス――零式!」


カイの剣が、根の中心へ炎の刃を描いた。


燃え広がる根の群れ。その奥で、再び魔法陣が輝き出す。


「まだ足りぬ。まだ試練は終わらぬ」

「……あれは……!」


新たな、第三の波が迫る予兆だった。


しかし、3人の顔に、もう怯えはなかった。


「来るなら来い。こっちも、限界は越えてるんだ」








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