表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/77

リリス

リクは、荒い息を吐きながら地面に手をついた。


(クソッ……リリスの魔法……強すぎる……!)


まともに受ければ、精神も肉体も削られる。 しかも、放った魔法はすべて必中——避けることも防ぐこともできない。


普通なら、ここで諦める。


でも、リクは違った。


「……」


リリスの放つ魔法。 その一撃一撃が、リクの心に微かな違和感を残していた。


(……何かおかしい)


リクは必死に考えた。


なぜ……攻撃を受けるたびに、無性に「怖くなる」のか?


なぜ……体が傷つくよりも先に、心が負けそうになるのか?


(……もしかして)


リクは、直感で掴んだ。


(あの魔法……こっちの“恐怖”を力にしてる……!?)


汗まみれの顔を上げ、カイを見た。


「カイッ!」


「……ああ! わかってる!」


リクが言葉にする前に、カイも感じ取っていた。


リクとカイ。

戦いの中で互いに掴んだ、確信。


「怖がったら負ける……!」


リクは拳を強く握った。


「恐怖に飲まれたら……あいつの思うツボだ!」


カイも鋭く頷く。


「だったら、恐れねぇ!!」



リリスは彼らの異変に気付いた。


「……?」


少年たちの“心の波動”が、静かに変わっていくのを感じたのだ。


これまで浴びせた魔法は、必中であり、肉体だけでなく精神を削る。 だが今、リクとカイから感じるのは——


(恐怖が、薄れている……!?)


リリスは焦った。


彼女の《絶対魅了魔術・ルクスリア》は、対象の「恐怖」を吸収し、それを魔力に変換していた。

恐怖がなければ、スリックダメージも必中効果も急速に失われていく。


「まさか……そんな、そんな……!!」



リクとカイは、叫びながら走った。


「ビビってる場合かよ!!」


「負けるもんかッ!!!」


リリスが放った魔弾を、受けながらも、彼らは怯まない。

それどころか——今までのような絶望的な威力は感じなかった。


リクとカイの猛攻に、リリスは明らかに動揺していた。


「……ッ、ふざけないで……!」


恐怖を糧にしてきた彼女の魔法が、いま、通じなくなっている。

支配と絶対必中の呪いが、二人の“意志”によって徐々に崩されつつあった。


リクは叫ぶ。


「エルナを返せ!!!」


カイも続く。


「これ以上、好き勝手やらせねぇ!!」


リリスの目に、初めて焦りの色が宿った。


しかし――彼女は、次の瞬間、にやりと笑った。


「……仕方ないわね。なら、最終手段」


リリスは、胸元に指を這わせる。


露わになった肌には、黒く不吉な紋章が刻まれていた。


(あれは……!?)


リクとカイは、直感で“危険”を悟った。


リリスが紋章に指を滑らせると、それは淡い光を放ち、闇の波動をまき散らす。


■ 契約スキル発動:《黒の契約ルクス・ノワール

──代償として「魂の一部」を捧げ、禁断の力を解放する。


リリスの身体から、真っ黒な翼が生えた。


同時に、その魔力は一気に跳ね上がる。


(魔力量が、さっきまでの……数十倍!?)


リクが驚愕する。

ただの精神支配の魔術師ではない。

リリスは、極めて危険な“戦闘形態”を隠し持っていた。


リリスの赤い瞳が、冷たく光る。


「これが私の本当の姿よ……怯えていいのよ、坊やたち?」


彼女の声には、甘美な毒が含まれていた。



■ 《黒の契約》の効果

・魔力量大幅上昇

・あらゆるスキル効果に対する耐性付与

・恐怖に関係なく、魔法必中

・さらに、肉体再生能力を獲得


その代償は、「自身の寿命を削ること」——だが、いまのリリスにとってそんなものは問題ではなかった。


「エルナは渡さないわ。絶対に。」


バサァッ!!!


黒翼を広げたリリスが、音速を超える突撃でリクとカイを吹き飛ばす!


(まずい、このままじゃ……!!)


リクたちは、再び絶体絶命の窮地に追い込まれる。


しかし、彼らの目から、決して光は消えなかった。


(立ち向かうしかない……!)


リクとカイは、すぐに立ち上がり、再び武器を構える。


彼らはまだ、戦う意志を捨てていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ