表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
株式会社SETA異世界派遣部~ゲーム大会で優勝したら異世界に招待された~  作者: BIRD
転生者モチ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/422

第48話:俺の話を聞け

 イオの馬鹿野郎。

 加速魔法の無駄使いしやがって。


 俺は心の中で愚痴りながら、自分の荷物を異空間倉庫(ストレージ)にポイポイ放り込む。

 お互い荷造りしながら話すつもりだったのに。

 イオは俺が学園長と話している数分の間に、学園長室がある本館を出て寮の建物まで移動、部屋の荷物を片付けて出ていってしまった。


 でも、学園には通うのなら、放課後に行けば会えるかもしれない。

 イオが放課後に図書館へ行く日課は、現世(モチ)の記憶で知っている。


 俺は学園長に事情を話して、在学生でなくても学園敷地内への立ち入り許可をもらった。

 母さんにはイオの好物が肉じゃがであることを伝えて、夕飯の1品に加えてもらうと、放課後のイオを目標に絞った。


 挿絵(By みてみん)


 禁書閲覧室には入れないけれど、そこに至る通路は知っている。

 張り込んでいたら、青い髪の子供が行き止まりの壁の中からスッと現れた。


 きた!


 逃げる前に声をかけよう。


「おい! 肉じゃが!」

「へ?」


 やらかした!


 俺は慌て過ぎて、言葉を大幅に省略してしまった。

 本当は「おいイオ、そろそろ帰ってこい。母さんが肉じゃが作って待ってるぞ」って、言うつもりだったのに。


「か、帰ってこい。みんな待ってるから」


 俺はイオがキョトンとして立ち止まっている隙に、言葉を継ぎ足す。

 これでどうにか用件は伝わった筈。

 しかしイオは、また困ったような笑みを浮かべた。


「悪いけど、人違いだよ」

「え?」


 今度は俺がキョトンとした。

 イオは何を言ってるんだ?


「アズは、ここにはいない。君のように復活することは無い」


 6歳児の容姿には不似合いな、諭すように静かな口調でイオは言う。

 責めているわけじゃないのは分かる。

 でも俺は、押し寄せる罪悪感に何も言えなくなった。

 泣いてる場合じゃないのに。

 頬から顎へと伝って落ちる雫を止められない。


「俺のことはもう忘れて、君は家族と幸せに暮せばいいよ」


 そう言って、イオはまた忽然と消えた。

 馬鹿野郎。

 言うだけ言って逃げるんじゃねぇ。

 母さんがせっかく肉じゃが作ってくれたのに、無駄にする気かよ。

 取り残された俺は、悔しいのか悲しいのかよく分からないまま、服の袖で涙を拭って実家へ転移した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ