総攻撃
今回は三人称視点になっております。
ご了承ください。
地上のアイラたちはアンペンダープと対峙する。
「作戦開始よ。リントブルムの攻撃をあの化け物に叩きこむために結界を破壊するわ!」
「リスネ、ちょっと待て、アレを見ろ!」
ローランが叫んだ。
アンペンダープから再び飛行型の魔物が多数出現する。
「まいったわね、あんなのと戦っている余力はないわよ」
リスネが渋い顔をする。
すると後方から遠距離攻撃が飛んできた。
飛翔物体にダメージを与える。
「な、なに!?」
リスネたちが振り返ると、そこには一度撤退した蛇人族の軍が再布陣していた。
「あなた方を援護します! どうか、我々を助けてください」
スタンレンが頭を下げる。
「叔父様」とパトラティアが呟いた。
さらにヒューベリアから船長のウエッセが「砲撃の支援準備完了です」とリスネに通信を入れる。
「どうやら飛行型魔物は大丈夫そうね。今度こそ行くわよ!」
全員が走り出す。
「土魔法『砂塵金剛弾』!」
パトラティアは魔法で作った多数の弾丸を結界へ向けて放つ。
結界にはヒビが入る。
しかし、完全に破壊することは出来ない。
「これ、私の最高攻撃力の魔法なのに…………」
パトラティアは悔しそうに言う。
「後は任せてもらおうか」
ライアンは先頭に出た。
そして、結界まで到達する。
「うおぉぉぉぉ!」
ライアンは両手に最大限の魔力を込めて、連続で結界を殴った。
怒涛の連撃がヒビの入った結界を完全に破壊する。
一つ目の結界を突破すると今度はローラン、リスネ、シャルが前に出た。
「今度は私たちの番だな」とローラン。
「そうね」とリスネが返す。
「私から行きますね!」
シャルがリザードウーマンの姿に変身する。
「私はまだ未熟です。でも、少しくらいは戦えます……『波動』!」
「なんじゃと!?」とアイラが驚く。
アイラに比べると威力は落ちるがそれは間違いなく、超強力な魔法『波動』だった。
それを見て、アイラは微笑む。
「人の成長とは面白いの」
「水魔法『大激流』! ……まったく、砂漠で水魔法は疲れるのよ……ローラン、後は任せるわ!」
ローランは新しいランスを展開する。
「雷魔法『大雷激槍』!」
ローランはガンウォールとの闘い以降、自分の魔力が飛躍的に増大したことを自覚し、魔力消費が激しい代わりに強力な魔法攻撃を使えるランスを新しく手に入れた。
ローランの攻撃で二つ目の結界も破壊する。
「あんたも化け物の領域に足を踏み入れていないかしら?」
リスネが言う。
「私なんてまだまださ」とローランは涼しい表情で言った。
ローランたちの脇を香、ディアス、アイラ、フィールレイが駆け抜けていく。
「今度は僕たちの番ですね、香」
「はい、出し惜しみは無しです。最初から奥義で行きますよ」
「もちろんです」とディアスは返し、構えた。
「魔陰流奥義『カクブギョウ』!」
「魔陰双流奥義『スモノノコトワリ』!」
二人の大連撃が三つ目の結界をあっという間に破壊した。
「後は任せましたよ、アイラ!」
「もちろんじゃ!」
「さすがガンウォールさんを討ち取った剣士たちだ。……さて、私も負けてられない。『竜大槍』」
フィールレイは自分の背丈の三倍はある竜槍を作り出す。
「行くぞ!」
それを思いっきり結界に突き立てた。
しかし、結界はヒビが入るだけで破壊されない。
「ここまで来るとさすがに固いな。だったら……『竜槍群落撃』!」
フィールレイは上空に大量の『竜槍』を展開し、それを結界へ突き落とした。
「……私はここまでだ。最後は頼む、アイラ!」
「いつも肝心な時に負けているからの。じゃが、今回は勝たせてもらうぞ。最大限『波動』!」
普通の『波動』を遥かに凌ぐ威力の『波動』が四つ目の結界も破壊する。
「みんな、退避するわよ! ウエッセさん、主砲、お願いします」
リスネはウエッセへ向けて、通信魔法で主砲発射を要請した。
ヒューベリア船内。
「リスネ殿からの合図が来たぞ。準備は良いか?」
ウエッセが砲術師に確認すると
「すでに魔力充填完了しております」
と返答があった。
「よーし、撃て!」
ヒューベリアの先端部分から高出力の魔砲が放たれた。
再び地上。
「何という魔力じゃ。あれは鳥人族の船じゃな。あやつらあんなものを作っておったとはの。しかし、どこにそんな技術が……」
「あの船には私たちの技術が使われているわ」
パトラティアが言う。
「あの魔王の無茶に付き合っていた鳥人族を助ける為に強力な航空船の制作に協力したのよ」
「なんじゃ、そんなこと、知らんかったぞ?」
「ええ、内緒で行っていたもの」
「まったく危険なことを……じゃが、その恩を返す為に鳥人族が戦ってくれておるということか……」
「ハヤテの世界の言葉でこういうのは『情けは人の為ならず』っていうんじゃないかしら?」
「そうじゃな、これで……!?」
アイラは結界が破壊できたと思った。
相当ダメージを負ってのは確かだ。
しかし、結界は未だにその形を保っている。
「何という硬さじゃ。こうなったら、儂たちで……」
再び戦おうとするアイラを香が制止する。
「待ってください。私たちには他にやることがあります」
「なんじゃ、やることとは? それにまだ結界が破壊できておらん」
「大丈夫です。まだ頼れる仲間がいますから」
アイラは香の言っていることが分からなかった。
ハヤテのパーティメンバーは全てここへ居る。
香は大きく息を吸った。
「任せますよ、千代!!」
「千代? それは一体誰じゃ?」
ヒューベリアから何かが結界へ飛んでいく。
砲弾ではない。
「人かの? いや、変な感じじゃ……」
「ちょっと色々あって……大丈夫、千代は強いですから」
千代は結界の前で止まり、
「《全砲身展開》一斉掃射を開始する」
千代が超火力の砲撃を結界へ叩き込む。
「アレは何者じゃ?」
「後で話しますよ。それよりもハヤテたちを援護しましょう!」
千代の攻撃で最後の結界が消滅する。
結界を失ったアンペンダープは逃走の行動を見せた。
「ここまで来て逃がすと思うなよ」
「当然です!」
香とアイラがが走り出す。
その動きにフィールレイ、そしてローラン、ディアスが続いた。
「儂とフィールレイで後ろ足をやる。おぬしたちは前を頼むぞ」
「分かった」と各員が答え、それぞれアンペンダープに襲い掛かった。
アイラは『波動』、フィールレイは『竜大槍』でそれぞれ後ろ足を破壊した。
ローランは二丁の魔法銃を構えた。
「『電磁砲』!」
ローランが放った高速の魔弾はアンペンダープの右前足を貫いた。
「さすがローランさんです。僕も頑張らないと……魔陰流攻法ノ四『オイガミ』!」
ローランとディアスの二人は連携して右前足を破壊する。
そして、香は……
「師匠、力をお借ります」
『ミノワ』を鞘に納めると代わりに『ナグルミ』を抜刀した。
「魔陰二刀流奥義『キンセキノフミ』!」
香はもう一つの奥義を放ち、左足を完全に破壊した。
「いけません……!」
続けて奥義を放った香は反動で動きを止める。
「まったく、相変わらずの無茶っぷりじゃ」
そんな香をアイラが抱きかかえ、アンペンダープから距離を取る。
「ありがとうございます」
「儂らに出来るのはここまでじゃな」
アイラが周りを確認するとフィールレイ、ローラン、ディアスも退いていた。
「みんな、こっちよ!」
リスネが叫ぶ。
先に撤退していたリスネたちは防壁を作っていた。
アイラたちもそこに隠れる。
「後は任せたぞ、ハヤテ、リザ……」
アイラはそう言い、子供の姿になった。
もう魔力がない。
限界だった。




