表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/506

『ソディア』

 リザたちは攻撃をするが、手応えはあまりなさそうだ。


 それに残った半数以上の兵士がやられてしまった。

 このままだといくらリザたちだって、魔力が尽きるのは時間の問題だ。


「だけど一旦退こうにもその隙が無い……」


 手詰まりになっていた時だった。

 遺跡の方から何か光がこちらへ向かってくる。

 俺たちの前で止まった。


 その光は人の形になっていく。


「蛇人?」


『アレが起動してしまったのですね』


 現れた蛇人には見覚えがあった。

 あのボードゲームのクリア後に現れた女性だ。

(※178部分『秘宝の正体』参照)


「もしかして、曽祖母様ですか?」


 パトラティアが言う。


 女性は頷いた。

 俺は会話が成立していることに驚く。

 パトラティアの曽祖母様はすでに死んでいるはずだ。


 だったら、なぜこうやって話せる。


『あなたは私の存在に驚いていますね。別に死者が蘇ったわけではありません。私はパトラティア三世の残した思念体です。パトラティア三世、私の主人格はいくつかの条件を満たした時に思念体が目覚めるようにしていたんです』


 だとしたら、俺がボードゲームをクリアした時に現れた彼女とはまた別の思念体ということか。

 今回、アンペンダープの復活を条件に目覚めた思念体だとしたら……

 

「何かアンペンダープに対する対抗策があるんですか?」


 俺の問いに彼女は『あります』と言った。


 彼女は視線をパトラティアへ向ける。


『あなたは命を懸ける覚悟はありますか?』


 その言葉には不吉な気配があった。

 それでもパトラティアは「はい」と即答する。


『でしたら、あなたに力を与えましょう』


 そう告げて、彼女は消滅する。

 後には白い短剣が残った。


 パトラティアはそれを拾い上げ、深呼吸する。


「待つんだ」


 俺はパトラティアが何をしようとしているか分かった。


「化け物に対抗するために君も化け物になるっていうのかい!?」


 自分の胸に黒い短剣を突き立てたボルデックのことが浮かぶ。


「ただの化け物になるだけのものを曽祖母様が渡すとは思えないのよ」


「だとしても、危険だ」


 パトラティアの曽祖母さんは「命を懸ける覚悟はありますか?」と聞いていた。

 言葉通りならパトラティアに命の危険があるということだ。


「心配してくれてありがとう。でも私は曽祖母様を信じたいの。それにあなたたちが命を懸けているのに私が見ているだけなんて嫌よ!」


 俺が止める間もなく、パトラティアは白い短剣を胸に突き立てた。

 すると白い短剣はパトラティアの体へ吸い込まれていく。

 彼女は化け物にならなかった。


「大丈夫なのかい?」


「ええ、大丈夫、それにこれが何か理解したわ」


 パトラティアは指を噛んだ。

 そして、指から出た血が地面に落ちる。


「…………みんな離れて!」


 パトラティアが血を落とした場所が盛り上がっていく。

 それはやがて巨大な人型になった。


「なんだあれは?」と言った俺に対して、リザが、

「造形魔法の一種には違いないけど、とんでもない大きさだ」

と説明してくれた。


 大きさはアンペンダープと変わらない。


「白い巨神兵?」


「アレの名前は『ソディア』っていうみたいよ。さっきに白い短剣を取り込んだ時に曽祖母様の記憶が流れてきたわ。『ソディア』は私の魔力を糧に発動しているわ」


 パトラティアを見ると彼女自身が化け物になることはなかった。


 しかし、凄い汗だ。


「大丈夫なのかい?」


「ええ……でも、とんでもない魔力を消費していく……しかも、これは強制的に魔力を吸い取られているみたいね……一気に決着を付けるわ……!」


 白い巨神兵『ソディア』が動き出す。


 アンペンダープと対峙した。


 大きさは同じだが、結界はどうするつもりだ?


 俺はそんな心配をしたが、白い巨神兵は結界を突破する。


「どういうことだ?」


「多分、あの結界は魔力に反応している。魔力が無ければ、結界は反応しないんだ。あの巨神兵は心臓部に魔力を感じるけど、それ以外は砂漠の土で出来ている」


 リザが言う。


「もし魔導兵器が復活した時の対抗策を曽祖母様は考えていたんですね」


 結界を突破し、白い巨神兵の右の拳がアンペンダープの脇腹を直撃した。

 その瞬間、大気が震動し、砂漠の砂が巻き上がる。


「凄い威力だ……」


 だが、アンペンダープは倒れない。


『ナメルナヨ…………!』


 アンペンダープが反撃の為に左の拳で殴ろうとする。

 それをソディアは掴み、力任せに腕を引き千切る。


 引き千切られた腕が砂になる。


 よし、行けるぞ!

 と思った矢先、引き千切られた腕が再生する。


 今度はアンペンダープがソディアを蹴る。

 ソディア左足が破損してしまった。


 だが、今度はソディアの方も再生する。


「これじゃ、キリがない」とリザが言うが、不利なのはこっちだ。


 ソディアの起動にはパトラティアの魔力が必要だ。

 彼女の魔力は無限じゃない。


 激しい激突、破壊と再生を繰り返していたら、魔力は尽きる。

 こんな消耗戦を続けていたら、負ける。


「ソディア、あいつの胸を抉って!」


 パトラティアが叫んだ。


「どういうことだ?」


 俺の疑問に対して、リザが、

「あの巨神兵の心臓部分に強い魔力感じる。パトラティアはそれを取るつもりなんだ」

と言った。


 二体の巨神兵は取っ組み合った。


「ソッチヲ……ハカイスル……!」


 お互いの手が心臓部へ突き刺さり、核を取り合う。


「負けない!」


「ムダダ…………!」



 パトラティアの思いは届かなかった。



 先に手を引っこ抜いたのはアンペンダープだ。

 その瞬間、ソディアが砂へ帰っていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ