33 ムーンシャイニャーセレニャーデ
戦略的撤退だ。
ダンジョンは行っても山までにしよう。
あのジャンヌとかいうやつは美人だけどめんどくさそうなやつだ。嘉玲になんでか申し訳ない気持ちになる。
一週間くらいほとぼりを冷まそう。
ゆっくりする旨を伝えたら、キノコの納品が滞るのに、嘉玲はなぜか嬉しそうだった。
さて、なにしようかなあ、、、高等遊民と化したオレの悩みは悩みが無いことだった。
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オレはいまコンサートに来ている。
シューマンの弦楽四重奏の3番だ。
隣にはやけに着飾った嘉玲がいる。
弦楽四重奏全体の中でも傑作というべきこの作品は、シューマン独自の狂気と、それを穴埋めするかのような慰藉する艶美な音楽を同時に埋め込んでいる作品だ。
嘉玲は静かに泣いている。
人間は不完全な生き物だから、充足のために、音楽は天から降りてきた。
アポロンやミューズの神々は人間の不完全性に起因する存在なのだ。。。
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終わった後、適当に目に付いた韓国料理屋に入る。ナムルが食べ放題の本格的な高級なお店だ。
「事業は順調よ」
嘉玲は優しくそう言った後に、楽しそうに食事をほおばっていた。
サムギョプサルが好みらしい。
とりあえずオレがおごっといた。ある意味嘉玲のほうが金持ちかもしれないが、男の矜持だし、結局嘉玲が嬉しそうなのだから、そうした茶番は男女にとって必要なものに違いなかった。
優しく唇を重ね合わせてから、二人はわかれた。
月が綺麗だ。なんて密造酒日和なんだろう。
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自宅のアパートでゆったりする。
カリカリカリカリ・・・・・・
食後酒としてカルバドスを飲んでいる。
りんごの蒸留酒で、スモーキーなウイスキーより、果実酒として穏やかに楽しめる。ウイスキーは孤独な男の虚無を埋めるためのものだ。レイモンド・チャンドラーの小説を読め。
にゃにゃん・・・・・・
葉巻でも吸おうかなあ、、、。
ダークチョコレートと葉巻とカルバドスとは最高の組み合わせだ。めくるめく夢の世界。
ナーオ、ナーオ・・・・・・
ウイスキーなんか特にそうだか、ストレートが一番味を深く堪能できる。一滴だけ水を垂らしても良い。チェイサーに冷たい水を飲んでおけば良い。
シャー! シャー!
話は変わるが、ウイスキーは徴税官吏の苛酷さから生まれた。隠すためにとりあえずスペインから輸入されたシェリー酒の樽に麦の蒸留酒を詰め込んでおいたのだ。
天使が取り分をとり、そしてウイスキーが産まれた。命の水だ・・・・・・
どがしゃん!!!
窓が割れて、丸っこい汚らしい毛玉が飛び込んできた。
「ニャニャーッ!!!」
猛り狂うニャムルだ。




