Now
ほぼ初のオリジナル小説です
拙い所もあるかとは思いますが、どうぞお手柔らかに
すこしでも楽しんで頂ければ幸いです
ジリリリリリ
目覚まし時計の壮大な音が部屋に鳴り響く
手探りで時計を叩くと音は止んで静寂が訪れた
布団の心地よい暖かさを感じながら本能のまま睡魔に身を任せる
意識が完全に途切れる寸前に布団を剥がれた
「ちょっと、何寝てるのよ!
新学期そうそう遅刻するつもりなの?」
シーツに絡みつく私をお母さんは容赦無くベッドから引っ張り落とす
落とされたせいで鈍く走る腰の痛みで私は完全に目を覚ました
私は渋々制服に着替え始める
一通り準備をして部屋を出る時、ふと入り口に貼ってあるカレンダーが目に留まった
もう9月か…
今日から2学期も始まるし気を引き締めていかないと…
「紗音、早くしなさい!遅刻するわよ!」
階下の台所でお母さんが叫ぶ
「すぐ行くっ!」
私は返事をしてから急いで部屋を出た
そして勢い良く階段を駆け下りる
“…貴女は……”
…え?
“…貴女は……なの?”
何?
何なの?
急に聴こえてきた“何か”に気を取られて足がもつれる
「きゃっ!」
慌てて手すりに手を伸ばす
だけど私の手は虚しく宙を掴む
視界に天井が映り、手すりが映り
そしてやけにゆっくりと階段が目の前に迫ってくる
ぶつかる、と思った
転げ落ちる、と思った
でも、なんでだろう
何とかして着地しようとも、床に手を着こうとも思わなかった
ただ、痛いだろうなって…
そう思って
きつく目を閉じただけ
でも予想していた衝撃は来なかった
それどころか落ちていたはずの身体が上へ上へとあがっている気がする
状況を確認しようと目を開けようとした所で私の意識は奈落の底へと落ちて行った




