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33話 グラッドお父さん

 猫に軽々とおんぶされて運ばれていた。不本意だが、約束してしまった……。どうしたものか……。

そんなことを考えていたら、慌てた様子のアリスと、顔が真っ青なグラッドが走ってきていた。


「ミイナ! 大丈夫か!?」

「ああ、問題ない」

「怪我はしてないか!? どこも痛くはないか!?」

「単なる魔力切れだ。問題ない」

「そうか……よかった……」


 グラッドは息を切らしながら安堵している。


「アリス、なぜ僕を置いていった? お前が宿まで担いで行けば良かっただろうに」

「えっ? ……あっ!? そうでしたわ……わたくしとしたことが……気が動転して……申し訳ありませんわ……」


 見えない耳としっぽが、しゅんと落ち込んだように見えた。

どうやら、置いて行ったのは慌てすぎて冷静さを失い、とにかくグラッドを呼びに行かねば! と閃いて走って行ったらしい。なんていうか、アリスは、しっかりしているようで抜けているんだな。


「……ところで、どなたかをお忘れじゃないですかい?」


 僕をおんぶしている猫が2人に声をかけた。


「猫!? なんでお前……! ミイナに何をする気だ!?」

「危害を加えるつもりなら……ただじゃおきませんことよ……?」


 戦闘モードに入るグラッドとアリス。


「ちょっと待ってくだせぇ。そんな悪いようにはしませんぜ? ダンナとボクァ、契約を交わした仲なんですから。ねぇ? ダンナァ?」

「……まぁ……不本意だがな……」


 猫は、ニマッと笑みを浮かべた。


「契約……? ミイナ、どういうことだ?」

「宿で休んでからにしてくれ……もう面倒だ……」

「あ、ああ、わかった」


☆★☆


 部屋のふかふかとしたベッドに体をうずめる。

 ……やっと……寝れる……。


 ミイナは直ぐに眠りについた。


☆★☆


 翌朝、鳥の声と陽の光で目が覚める。

 もう朝か……まだ寝ていたいのに……

 そう考えながら、布団へ潜り込んで二度寝しようとすると──

 ドンドンドン!と、扉を強く叩く音。


「ミイナ!起きろ!」


 この声は……グラッドか……。


「なんだ……うるさい……もうしばらく寝かせてくれ」

「駄目だ! 早起きは冒険者の大事な仕事のひとつだぞ!」

「早起きしない冒険者の一人や二人いるだろうに……」

「そんな言い訳は許さんぞ!」


 どこのお父さんだ。……仕方ない……。


 重い体を無理やり動かして起き上り、嫌々顔を洗い、口をゆすぎ、不機嫌そうな顔でドアを開けた。

 そんなミイナを見て、グラッドは爽やかな笑顔で言った。


「よし、行くぞ」

「……」

「返事は?」

「ああ……わかった」

「よし」


 グラッドは笑いながら頭を撫でてくる。

 犬扱いするな。

やっとできた……。

少しでも楽しめたら幸いです。

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