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第六章 王太子の誤算
一方。
王宮では問題が起きていた。
「殿下、こちらの書類を」
「……クリスティーナに任せていたものだ」
「もういらっしゃいません」
「そうだったな」
王太子妃教育も。
外交も。
財務管理も。
すべて滞っていた。
そして。
リリアンは想像以上に王太子妃としての仕事ができなかった。
「殿下、今日はお茶会があります」
「分かった」
「何を話せばいいでしょう?」
「……」
「私、難しい話は苦手で」
レオンハルトは何も言えなかった。
以前。
クリスティーナはどんな仕事でも嫌な顔一つせずやっていた。
「……クリスティーナなら」
思わず名前が口から出る。
「え?」
リリアンが聞き返した。
「いや、何でもない」
しかし。
それからレオンハルトは、何かにつけてクリスティーナを思い出すようになった。
食事の席。
書類。
外交。
夜会。
王妃から叱責されたとき。
「お前は婚約者を何だと思っていた」
父王にそう言われた。
「彼女は王太子妃になるため、誰よりも努力していた」
「……」
「それをお前は、たった一人の男爵令嬢の言葉だけで捨てた」
レオンハルトは何も言えなかった。




