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空のおとしもの  作者: stardom64


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第二十五章 幾多の星粒のなかで☆



「はい、こちら天界電話交換手。」

「え?おたくのネコちゃんが…。」


「ええ、朝から…。」

「朝ごはんもたべていない?」


「ええ…?どこにつなごう。動物病院の番号いくつだっけ?」



「はい、こちら天界電話交換手。」


「ええ。」


「天界学校の生徒が2名、朝から行方不明。」

「家にも戻っていない?」


ここは天界のさらに上。

真っ白な神殿のような建物が連なる天界の官公庁街。


ここでは天界の幾多の情報がとびかう。

天界の電話はすべてここへつながっている。


街に異変があれば、三大天使へと報告され、警備兵が派遣される。


ここでは迷子から明日の天気まで様々な情報が飛び交う。

そのほとんどはどうでもよいような内容のモノばかり…。


「よかった。ネコちゃん元気になって帰って来たんですね。」


だが、ごく稀に、ごく稀にだけ、とてつもない情報が迷い込むのだ。


「え?行方不明ですか?」

「天界学校の生徒が…。」


「はい、はい…。」

「学校に来ない?」


「家にもいないと…。」

「学校の方に連絡は…。」


「ええ…。」


☆☆☆


カラン。


レンズの中で形を変える様々なキラキラした図形。

一度、回せば、また違う模様が姿を現す。


「あらっ。」

丸い部屋で窓から長い筒を出し、見つめる茶髪の長い髪の天使。


レンズの中には先ほどと違いぼやけた古い神殿がうつる。


ここではないどこか別の場所、別の土地。

徐々にピントが合わさっていく視界。


よりはっきりと。

そして、より鮮明に。

くっきりと描き出す。


映像は移り変わり、神殿の屋根の穴から内部へと進む。

映っているのはなにやら長椅子に腰掛け、話し込んでいる三人の人影。


いや、天使二人とそして…。


人間がひとり。


「ミカエルー。おはよー。きいーた?今日のニュース、天界で…。」


バーンと豪快に扉を開け、手に何か紙のようなものを持ち、入ってくるのは少しつんとした紫色のふわっとしたボリュームのある髪の天使。


「静かに。もういいとこだったのに―ガブリエル。」

口の前でしっーというポーズをとるミカエルと呼ばれた茶色い髪の優しそうな声の天使。


「ああ、ちょっとピントがずれちゃった?」

先ほどと違い写るのは何もない砂漠の景色。


「これ、ピント合わせるの結構、大変なんだから。」

再び万華鏡のようにくるくると回るきらきらした図形たち。


「いやっ。何、見てるかまでは私、知らないし…。」

ガヴリエルは紫のツインテールを片手でいじりながら、そう答える。


「それより、さ。聞いた?今日のニュース。」

と、手に持った新聞紙をみせるガブリエル。


「天界で…天界学校の生徒が二人見当たらないってヤツ。」


「それなら、ほら、もう見つけたよ?」

ミカエルはガヴリエルに長い筒を手渡し、みせる。


「あんまり、動かさないでね。」


「わぁった。わぁった。もうミカエルは心配性なんだからっ。」

そう言いながら、筒を受け取り、のぞくガブリエル。


「んー。よく見えないわね。」


カラン。

「ちょっと調整するわね。」

そう言ってミカエルは長い筒をいじる。


映し出されるのは先ほどと同じ映像。


「あっ見えた、見えた。」

神殿の中で仲良く談笑する二人の天使と一人の人間の女の子。


「えっ、人間…?。まだいたの?」

どこからか、ラッパを取り出すガブリエル。


「もうまた、すぐそういうことしようとする。」

そういって。ミカエルはガヴリエルのラッパを制する。


「冗談よ、冗談。」

ガヴリエルは出したラッパを服の中にしまい込む。


「それで?なんで、天使が人間といるの?」

何しに行ったの?といった感じで問いかける。


「さぁ私もそこまではわからないけど…運命の出会いとか?」

ミカエルは窓辺の手すりに体重をかけ、そんなことを言う。


「んっなわけないでしょうに。」

ガヴリエルはその辺のイスに座ると、紅茶を飲み始める。


ティーポットはどこから出てきたのだろうか。


角砂糖とミルクはもちろんましましである。

甘ったるいものが好きなのである。


「これ返すわっ。」

そういってミカエルに長い筒を渡すガブリエル。


「うん。」

そして「はぁっ。」とため息一つ。


「どうりで天界を探してもいないわけね…。」


「なんだ?さがしてくれてたの?」

それに微笑みかけるミカエル。


「散歩してただけよっ。」

ちょっとそっぽを向いて、照れる、ガヴリエル。


「ありがとね。」


「ホントに散歩してただけだから…。」

「そー?」


「うん。」


☆☆☆


「それで、あの子たちを連れ戻してくればいいの?全く、手のかかる生徒たちねっ。教師は何してるのかしら。」


一息つくと部屋いっぱいに大きく羽を広げるガブリエル。

部屋の窓に足をかけ、飛び立とうとする。


「待って、ガブリエル。もう少しだけ、見てましょ。」

それを手を伸ばし、止めるミカエル。


「えっ。でも連れ戻した方が早くない?」


「んー。でももうちょっと、様子見ててもいいんじゃない?」

少し笑みを浮かべながら窓の向こうの空を見つめるミカエル。


「それに、あの子たち自身の力で帰ってこなければ、意味がないじゃない?」


「現に私たちもそうだったでしょ?」

少し間を開け、そういうミカエル。


「ま、ミカエルがそういうんなら、私はいいけど。」

窓枠から降り、そういうガブリエル。


「でも、見て、何か起こりそうな予感。」

再び、長い筒を地上へと向け出すミカエル。


「まったくどうなっても知らないわよ?」


「まぁ、2人にもいい経験になるでしょうし、ここで見守るのも私たちの仕事でしょ?」


「まーね。」

それに空で返事をするガヴリエルなのだった。




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