17 閑話 -ガルスside
「ふふっ」
「えらく楽しそうだな」
アレス様の様子を思い出して笑っていると、ザイードが不機嫌な顔になる。
「えぇ、そうね。彼にあんな一面があるなんて知らなかったもの」
「リディア、戻るぞ」
「まぁ、どこに戻るのかしら?」
「それは、、、」
「身重の妻を実家に送り返そうとする人の所に戻ってもね」
「その方が安心だろう?」
数日前から出産が終わるまで、ウエストリアに戻ってはどうかとザイードが言い出している。
「なんだか最近体形も変わって来たし、男の人ってこういう時、他の女性に目が行くものなんですってね」
「リディア、分かっているだろう?」
「なぁに?」
「そなた以外に欲しいものなどない事くらい知っているだろう?」
「知っていても伝えて欲しいものなのよ、それに体形が変わってきたのは本当なんだもの」
ザイードが抱きしめ愛おしいと言うように髪を撫ぜながら言葉を贈ってくれる。
「愛しているよ、リディア」
「ふふっ、私も愛しているわ、ザイード。 ではウエストリアに戻ってはどうかなんて言わないで下さいね」
「大丈夫なのか? そなたの護衛が出産の時も大変だったと」
「薬師の方には来て貰いますけど、、、貴方に気を回す余裕はないかもしれないわね」
「それは大丈夫だが」
「本当に?」
「いや、、、気を付ける」
「私が大きな声を出しても、苦しんでいても、呼ばれるまで部屋で待っていてくれますか?」
「それは本当に大丈夫なんだな?」
「えぇ、貴方の心配をする方が大変です」
「、、、分かった。約束しよう」
「ありがとう、ザイード。 いけない、ちょっとアレス様にも伝言をお願いしないと」
ヒューイ様に言葉を伝えていると、それを聞いていたザイードが申し訳なさそうに聞いてくる。
「それは本当に必要なのか?」
「カリーナにも少し時間が必要よ」
「そう言うものなのか?」
「ザイードも待ってくれたでしょう?」
「あの時はリディアの体調も悪かったからだが、、、アレスはそろそろ限界だと思うぞ?」
「ふふっ、後二か月くらいかしら?」
「ん?」
「あの幼馴染の人は、私と同じことを考えるのではないかしら?」
「少し友人に同情するな」
案の定、ダナー殿は彼らがドロテアの祭りまで、サウストリアに留まるようにしたとヒューイ様が教えてくれた。
「それでも待ってくれるわ」
「祭りで彼の相手をする奴に同情するよ」
確かにその後開かれたドロテアの剣術試合は、ここ数年で一番の盛り上がりになったと聞いた。
それはアレス・フォン・ノーストリアの名前を更に高める事になったし、それと同時にダナー・ティジィスの名を引き上げる結果にもなった。




