15 ミリオネア(15)
精霊の国は不思議な所だった。
しばらく眠っていたのか、目が覚めると食事を食べる様に勧められる。
ふわふわと浮かぶ精霊達は、カリーナの側に近づいたり離れたりしながら、不思議な国を案内してくれる。
「あの、ヒューイ様は?」
この国に連れて来てくれた人はどこにいるのだろうと聞いてみると、今度は精霊達が大きな木の前まで連れて来てくれた。
「やぁ、カリーナ。少しは元気になったかな?」
「ありがとうございます」
「気にする事はないよ」
「あの、ここは?」
「キミが通って来て道に繋がっている所だよ」
そこには、ミリオネアで見たより大きな木があった。
「ちょっとこっちに来てごらん、面白いものが聞こえるから」
「面白いもの?」
そう言われて、木の幹に触れると声が聞こえて来る。
「カリーナ、聞こえているかな?」
アレス様の声が聞こえて、びっくりして手を放す。
「大丈夫だよ、アレスが向こうの木の前で話している声が聞こえているだけだ。こちらの声は聞こえ無いし、姿も見えない」
そう言われて、又そっと手を触れる。
「その、、、済まなかった。乱暴な事をしたよな、、、兄の様な相手にいきなり嫌な事をされて驚いたと思う」
「色々あって大変な時に怖い思いをしたよな、ちょっと飲み過ぎていたからな、これからは気を付けるよ、カリーナといる時は、飲まない様にするし、ちゃんと良い兄でいられるようになる」
「その、、、悪かった、、、嫌な気分になったよな、、、その、兄にこんな気持ちを持たれて逃げたくなるのも分かる、、、ちゃんと分かっているんだ、俺ではカリーナに相応しく無いし、、、」
途切れ途切れにアレス様の声が聞こえてくる。
「彼のあんな様子は初めて見るな」
「ふふっ、本当ね」
「リディアお姉様!?」
ガルスにいるはずの人が、夫と共に精霊の国に来ている。
「ちょっと謝罪の論点がずれている所が面白いわ」
「冷静な男だと思っていたんだがな」
楽しそうに夫と話していた人が、微笑んでカリーナに話しかける。
「カリーナ、元気そうで安心したわ」
「お姉様」
「ふふっ、貴方のおかげでちょっと面白いものが見られたわ」
「面白いもの?」
「アレス様よ、貴方がいなくなってから、ずっとあんな調子なの」
「ずっと?」
「ここは少し時間の流れが遅いから、そろそろ四日目になるかしら?」
「四日!?」
「そう、あまり寝てもいないようなのでちょっと可哀想になって来た所ね」
「あの、、、私、どうしたら?」
「なぜ?」
「ずっと妹だって」
「カリーナ、貴方がどう思うかでいいのよ。彼が自分の方を向いていなくても、その気持ちが報われなくても、少しくらい我儘を言ってもいいのよ? 貴方は少しいい子過ぎる所があるから、もっと欲しがってみたらいいわ」
「それでも手に入らなかったら?」
「その時はいっぱい泣いて、思いつく限りの悪態をついて、違う道を探せばいいわ」
「それ、大変そう」
「そうかもね、でもスッキリするわ。それにやるだけやったら先にも進める様にもなる」
「お姉様にもそんな時があったの?」
「ふふっ、私はカリーナほどいい子では無かったもの」
「望んでもいいのかしら?」
「もちろんよ」
「でも充分恵まれているの、それ以上なんて」
「その分、周りを大切にすればいいわ。
少し欲張ったと思うなら、それを誰かに返していけばいいのよ、、、そうね、とりあえず妹に嫌われたと思っている人を助けてあげるとかね?」
「私が嫌われたと思っていたの」
「彼もそう思っているみたいね」
「帰りたいって言ってもいいのかしら? 私がここに来たいって言ったのに、、、」
「また遊びに来ればいいよ。それにそろそろアレスも限界みたいだしね」
ヒューイ様に緑色の小瓶を渡され、それを飲むといつもの世界に戻って来る。




