7.
畏敬の念を抱くような表情になったハイネマンを見て、立場が逆転できそうに思ったマサトは、深呼吸をしてからもったいぶったように「そうです」と答え、さらに付け加えた。
「君を生み出したのは、僕です」
「おおおっ!」
ハイネマンの目が輝き、一歩下がった。ところが、程なくして、マサトの肩越しに奥を見て訝しい表情に切り替わった。
「おい。そこにいる女は誰だ?」
女という単語から何に疑いを持ったのか気づいたマサトはPCの画面へ振り返り、「ああ、これ?」と応じる。
「アニマトリンという、僕の助手さ」
実際は彼女も創造主と言ってもいいだろう。だが、ユーザとツールとの関係からそのように表現しておいた方が、相手も混乱しないと思われる。
「そこに閉じ込められているのか?」
「いや、閉じ込められているのではなく、ここが彼女の作業場所で、彼女の世界でもあるのさ」
ハイネマンがPCの横に立って、その薄さに感心しつつ首を傾げた。
「こんな狭いところに、どうやって入っているのだ? 魔法でも使ったのか?」
「それは追い追い説明するよ。それより――」
マサトは、アニマトリンに向き直り、腕を組んだ。
「アニマトリンには聞きたいことがいっぱいあるけど、その前に試したいことがある」
「何でしょう、ご主人様?」
「おっ! 薄っぺらい女がしゃべった!」
ハイネマンに向かって微笑んだマサトは、もう一度画面に向かう。
「僕のアガーテを出して。まさかと思うけど、試したい」
「はい。ご主人様」
アニマトリンは、スカートの両端をつまんでお辞儀をした。




