第1話 転生、そして双子誕生
「逃げろ!!!お前はまだ死んでいい人間じゃねぇ!お前の魔術の知識だけなら誰にも負けないんだから……!」
この学校で唯一の友達が俺に向かって叫んでいる。
「逃げるったって、もうどうしようもないじゃん」
目の前には、俺の数倍もでかい魔物がいた。
「あーあ、最悪だ。なんで、学校にこんな化け物が出てくるんだよ。お前みたいな魔物が出ていい場所じゃねぇだろ」
そいつは俺のことをじっと睨んだ。
「お前はなぁ……炎じゃ倒せないんだよなぁ。核は屈強な肉体の内側にあってさ、その核に水属性の攻撃を一撃叩き込んでやれば倒せるのになぁ……まぁ核に攻撃するまでが大変なんだけどさ……」
そいつは腕を大きく上にあげた。
「俺に魔力と魔術の才能があればなぁ。来世は魔力と魔術の才能があって……魔術が使えますように……」
そして、そいつは腕を振りかざした。
◆◆◆◆◆ 同時刻、どこかの家にて
「ゴホッ、ゴホッ……」
体が燃えるように熱くて痛い。いつもの痛みよりもずっと痛い。
なんとなく俺は死ぬんだと思ってしまった。
「はぁ、結局俺は武術をちゃんと極められなかったなぁ。」
頭の中では何千回、何万回、いやそれ以上の回数いろいろな武術を試してきた。
相手がこう動けば、こう返す。
この流派にはこの流派をぶつける。
剣ならこれ、槍ならこう、拳なら……
全部分かる。
だけど……
「この体じゃ、何も試せなかったなぁ。」
俺は震える手で拳を握ろうとする。だが、もう力は入らない。
「もし、神様がいるなら……来世は武術を極められる体が欲しいなぁ……」
俺の意識は静かに途切れた。
――――――――――――――
「――、――――」
誰かの声だ。うるさい……耳に響く。俺はあの時、化け物に殺されて……あれ?俺、生きてる……?
俺は目を開けようとする。しかしうまく開かなかった。
体も動かないし……ってこれもしかして、赤ん坊になってる!?
そして、次の瞬間。
「オギャァァァァァ!!!」
隣から泣き声が聞こえる。
もしかして、双子なのか?というか待て、嘘だろ、魔力が見える!感じる!ある!あるぞ!俺にも魔力がある!!!
これなら今まで使いたかったけど使えなかった魔術が使える!!!あんな魔術やこんな魔術!山ほど試したい魔術があるんだ!どれから試そうかな!あぁ、ワクワクが止まらない!
ありがとう神様!俺はこの新たな人生で魔術を楽しんで楽しんで楽しみ抜いて、魔術を極める!!!
◆◆◆◆◆
「――、――――」
なんか聞こえる。誰の声だ?俺?俺の声なのか?
ぼんやりとしていた意識が少しずつはっきりしてきた。
目は開かない。体も動かない。
だけど周りの気配は感じる。
すぐ隣にいるのは誰だ?こいつからだけ異様なほど強い気配を感じる……
そういえば、俺あの後死んだんじゃなかったか?
まだ生きているのか……でも体がやけに軽い……
もしかして、転生したのか?
というか、この体……すげぇ力を秘めてる!もしかして、この体なら今まで頭の中でやってた武術を試せるんじゃないか!?
神様ありがとう!今度こそ、この体で思う存分武術を極めてみせる!
この時、世界はまだ知る由もない。
この二人が、やがて世界を揺るがす存在になることを――。




