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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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95/98

95 メグちゃんとジョーちゃんの8歳の誕生日

 ゴールデンウィークの日曜日、養護院に差し入れにきた清美ちゃんとばったり会ったよ。わたしは毎週日曜日にメグちゃんやジョーちゃんと養護院に遊びにきているんだけどね。


「美紀ちゃん、金髪王子って知ってるー?」

「日本レベルランキング1位の人だよね。たまに川スポにも載ってるよ」

「その金髪王子が世界レベルランキング24位でなー。アルジェリアの世界探索者サミットに行くそうやわー」

「閃光のライトネルさんのサミットに出るんだー」

「そのサミットにウチが金髪王子の護衛としてついていくことになってなー」

「なんで清美ちゃんが?」

「美紀ちゃんもそう思うよなー。よくわからんエルフ指示でなー。バカ王子をぶっ飛ばしてくるのじゃっていう指示もついてたわー」

「それ本当に臨時日本政府からの指示?」

「本物にまちがいないわー」

「指示の内容も変だけど護衛の話も変な気がするよ。金髪王子、レベル152だったよね。護衛いらないと思うけど」

「サミットに獣王国の王子も出てくるみたいでなー。異世界人を警戒しとる探索者協会が国に要請してきたんやわー。金髪王子は国の宝って言うてなー」

「国の宝って言うんだったら、探索者協会が自分のところで護衛を出せばいいのに」

「探索者協会と臨時政府は仲が悪くてなー。たぶん日本レベルランキング1位の金髪王子が探索者協会にはついてるという示威行為と、臨時政府ヘの嫌がらせかもなー」

「探索者協会と臨時政府、仲が悪いんだね」

「昔、美紀ちゃんが探索者協会の幹部たちが軍閥貴族で悪いことばかりやってるって教えてくれたよなー。そいつらが私有財産没収令で海外に逃げたんやけどなー。その後釜に軍閥貴族の取り巻きだったやつらが繰り上がってなー。今は海外に逃げた軍閥貴族らの指示で動いとるみたいやわー」

「探索者協会ダメダメだね。それに巻き込まれる清美ちゃんもいい迷惑だよ」

「本当になー。金髪王子と顔合わせしたけどなー。スケベなおっさんやったわー」

「金髪王子って何歳の人なの? 30代くらいに見えるけど」

「48歳やったなー。レベルが高い人は老化が遅くなるみたいやわー」

「もしかしてわたしもそれかも」

「美紀ちゃんは小学校から成長が止まっとるからなー。違うと思うわー」

「ふーふっふっふー。清美ちゃん、言ってはいけないことを言ってしまったね。おしおきだよ」


 清美ちゃんに、わたしのようになってもらうために、所要時間15分のお手軽パワーレベリングをしてみたよ。これでレベル1885だ。老化が遅くなるなら院長先生にもやっておいた方がいいかも。由美ちゃんや撫子ちゃん、海里ちゃんにもかな。


 ◇


 ゴールデンウィーク最終日、今年も島屋ダンジョンの31階層にきているよ。

 まずは入口ホールの壁に、メグちゃんとジョーちゃんとイーちゃんといっしょに飾りつけだ。風船をたくさん使っていい感じにしあがったよ。

 レジャーシートの上に大きなテーブルを出して、わたし作の大量の巻き寿司と唐揚げ、3個のバースデーケーキを並べた。あとはケーキのロウソクに火をつければ準備完了。


「ハッピーバースディー♪メグちゃんー♪ハッピーバースデイー♪ジョーちゃん♪ハッピーバースデイー♪イーちゃん♪ハッピーバースデイー……」


 わたしの誕生日の歌で誕生日パーティー開始だよ。


『メグちゃん、ジョーちゃん、イーちゃん、みんなお誕生日おめでとう。メグちゃんとジョーちゃんは8歳に、イーちゃんは12歳になったね』

「みぃー」『ありがとうにゃの。わたしも8歳になったの。前世と同じ歳ににゃったの。感慨深いの』


 メグちゃんは前世で8歳の時に亡くなったんだよね。今世では長生きしておくれ。


「今年もこの時がやってきたの。肺活量は鍛えてきたの。去年の雪辱を果たすの」

『ジョーちゃん、今年はロウソク8本だよ。無理せず少しずつ消したらいいよ』

「ひと息で消してやるの。試練に勝つの」


 ジョーちゃんから、今年はケーキのロウソクを真ん中に集めてほしいというリクエストがあったよ。ロウソクを集めて一気に吹き消す作戦だそうな。


「美紀ちゃん、わたしのケーキに触手じいさんがいるのです。わたしの尻尾が触手じいさんなのです」

『フッフッフ。それに気づくとはやるね、イーちゃん。イーちゃんが副触手を食べて、副触手に勝てるようにという願いをこめたケーキだよ』

「ケーキを食べて、今度こそ触手じいさんに勝ってやるのです」


 みんなのバースデーケーキには、それぞれみんなの姿を描いてデコレーションしてるけど、イーちゃんの尻尾をこっそり副触手にしてイタズラしておいたんだよね。



『次はジョーちゃんの番だね』

「わたしの番なの。やってやるの」

「みぃー」『ジョーちゃん、がんばるの』

「一気にいくのです」


 真剣な表情のジョーちゃんが、8本のロウソクにギリギリまで近づいたよ。


『ジョーちゃん、ヤケドしちゃうよ』

「大丈夫なの。この位置がベストなの」


 ジョーちゃんが息を吸い込んだ。長い。3秒も息を吸い込んでるよ。そして8本のロウソクに一気に息を吹きかけた。


「ふーーーーなのー」


 ロウソクの火はあっという間に鎮火だ。


『消えたよ、ジョーちゃん』パチパチパチ

「やったのです」パチパチパチ

「みぃー」『成功にゃの』パチパチパチ


 わたしたちは拍手で祝福をおくったよ。ジョーちゃんが誇らしげに鎮火したロウソクを見ているね。その時消えたと思ったロウソクの火が再び燃えあがってしまったんだ。目をぱちくりさせるジョーちゃん。


「さっきのは練習なの。次が本番なの」


「さっきのは練習の練習なの。次が本当の本番なの」


「さっきのは本番前の練習なの。次が真の本番なの」


「消してもすぐに燃えるのー。変なロウソクなのー」


『ジョーちゃん、原因がわかったよ。8本のロウソクをくっつけすぎて1本の大きなロウソクみたいになっちゃったんだよ。それで火が消えにくくなってたんだ。ちょっと待ってね。少し離すから』

「お願いするの。原因がわかったら赤子の手をひねるようなものなの。次が真の真の本番なの」


 今年の誕生パーティーも楽しいパーティーになったよ。

 メグちゃん、ジョーちゃん、イーちゃんが新しい歳を楽しくすごせますように。


 ◇


 ゴールデンウィーク明け、わたしはできるOLらしく、スマホでニュースを流しながら通勤だよ。いつもよりほんの少し遅い時間だけどね。

 昨日の誕生日パーティーのボードゲームが白熱しすぎて、夜遅くなってしまったんだ。少し起きるのが遅くなったけど反省はしてないよ。1勝できたからね。わたしの粘り勝ちだよ。


「鈴木銀行、鈴木証券による不正送金事件の強制捜査の結果、鈴木財閥総帥の指示によるものであることが明らかになりました。これを受け臨時日本政府は、鈴木財閥に対し財閥解体令を出しました。これを受け鈴木財閥グループ企業は、企業管理再生機構に全ての管理が移行されます」


 鈴木財閥の解体が決まったんだー。3兆円の不正送金以外もひどい話がどんどん出てきたからね。



「おはようー、撫子ちゃん」

「美紀ちゃん、ギリギリセーフですわ」

「ちょっと寝すごしちゃってね。まだきてない人もいるね」

「何人か退職したみたいですわ」

「マジで?」

「マジですわ」

「そっかー。なんで辞めちゃったんだろうね」

「わからないですわ。ゴールデンウィークに実家に帰ったら、会社にくるのがいやになったのかもしれないですわ」

「岩本社長に頼まれた任務が失敗しそうな気がしてきたよ」


 新入社員は10人も辞めてしまったそうな。

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