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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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93 新入社員研修

 衝撃的な事実発覚から1週間、なんとか立ち直ったわたしは今日もMMJで新入社員研修を受けてるよ。

 ジョーちゃんはグズっていたけど、おいしいもので釣ったらコロッと機嫌をなおしてくれた。わたしはこれを[こっちがおいしいジョー作戦]と名づけたよ。これから多用する所存だ。そう言えばジョーちゃんは赤ちゃんの頃、わたしの耳たぶをチューチューするのが好きだったね。懐かしいね。


 今日の新入社員研修は、1グループ10人ずつにわかれて自己紹介+お題目に合わせたディスカッションだ。お題目は[スマホの拡販方法]。このグループのグループリーダーは先輩社員に指名されて、わたし。苦手だけど今だけだからがんばるよ。


「わたしは田中美紀です。松高大学では魔力工学を専攻していました。この時間だけリーダーということでよろしくお願いします。みなさん順番に自己紹介をお願いします」

「俺は鈴木隆史だ。岩本社長の親族で鈴木財閥の者だ。俺がMMJを継ぐことになっている」


 しょっぱなから鈴木財閥くんが変なことを言ってるけどスルーだ。


「私は竜堂花子です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は虎内花子です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は木下花子です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は花沢花子です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は魚水太郎です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は酒水太郎です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は森本太郎です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」

「私は草本太郎です。国際大洋大学では創造魔道工学を専攻していました。よろしくお願いします」


「自己紹介ありがとうございました。みなさんは国際大洋大学で知り合いだったんですか? 専攻も同じですし」

「「「「「「「「……」」」」」」」」


 なぜ黙る? 聞いたらまずいことだった? 名前も花子、太郎でいっしょだし、ちょっと変だぞ。鈴木財閥の鈴木さんは言ってることがおかしいし。


「失礼しました。それではスマホ拡販で案がある方は手を……全員、案があるんですね。それではまた順番にお願いします」


 みんな勢いよく手をあげたよ。手をふっている人までいるね。さすが新入社員、やる気十分だ。


「鈴木財閥グループにスマホの製造をまかせればいい」

「鈴木さん、ありがとうございました。次の方お願いします」


 鈴木財閥くん、実現が難しそうなことを……。スルーだ。


「クローエドラスニア竜王国にスマホの技術供与をすればいいです」

「竜堂さん、クローエドラスニア竜王国は竜人王国のことですよね。クローエドラスニア竜王国とは国交が結ばれてなかったと思いますが」

「そこら辺は私に伝手があります」


 個人で伝手があるのかー。


「わかりました。他の方の案も聞いてみますね」


 他の人の案も、クローエアリエル聖樹国、クローエドワルド鉱王国、クローエレーダー獣王国、クロコクロミ魚帝国、クローエフロリア妖精国、クローエルミア森林国、クローエミリア草原国と国の名前こそ違うけど、異世界の国への技術供与一色だったよ。妖精国とか森林国とか草原国とか初めて聞く名前の国まで出てきてたね。


「みなさんの案は異世界の国への技術供与がほとんどですから、わたしたちのグループではその案を軸に、MMJとしてどうするかを考えていきたいと思います」

「おい、俺の鈴木財閥の案はどうした?」

「鈴木さんの案は実現性が少ないですからね。わたしでも知っていることですが、MMJと鈴木財閥は犬猿の仲ですよね。それに鈴木財閥グループのTNT社が中心になって、MMJの妨害をずっと続けていますよね。日本でスマホの販売許可がおりないようにしたり特許をとれないようにしたり。こういうことをされてMMJが鈴木財閥に協力すると思いますか? わたしだったらお断りしますよ」


 特許のことでもメグちゃんは残念そうだったからね。メグちゃんの邪魔を続けている鈴木財閥は、わたしも嫌いだよ。岩本社長の親族だってことで遠慮してたけど、ちゃんとやり返した方がよかったのかも。


「お前が決めることじゃないだろう」

「この時間のこのグループのリーダーはわたしですからね」

「チッ……」


 鈴木財閥くん、舌打ちしてふてくされちゃったよ。


「みなさん失礼しました。スマホの技術供与の話でしたね。MMJとして技術供与をどういう形で進めるかです。みなさんはどんな案ですか?」


 鈴木財閥くん以外、全員が手をあげたよ。積極的だね。


「竜堂さんからお願いします」

「スマホの製造用の魔法陣の技術供与です。クローエドラスニア竜王国からは龍玉の作成技術をもらえばMMJの発展にもつながると思います」


 他の7人の花子さん、太郎さんたちから、どよめきがあがったよ。なんだろうね?

 でも龍玉かー。メグちゃんが副触手からもらった演算コアの作り方の資料の中に、龍玉の作り方も入っていたんだよね。エンシェントドラゴンの魔核7個を合成するだけなんだけど。「みぃー」『龍玉を英語読みしたら大変にゃことが起こるの』ってメグちゃんがみぃみぃ騒ぐから『メグちゃんがまた変なこと言ってるよ』ってわたしが言ったら「みぃー」『変にゃことじゃにゃいの。大切にゃことにゃの』ってみぃみぃ言ってたね。あれは5年前だったっけ。懐かしいね。

 今は新入社員研修中だったね。懐かしんでる場合じゃなかったよ。龍玉のことはちゃんと言っておいた方がいいかな。ちゃんと言うっていっても龍玉の英語読みの話じゃないよ。


「技術交換という形ですね。ただMMJは龍玉の作成技術をもう持っていますから別の物にしないとダメですね」

「もう持っているのですか……」


 竜堂さんがびっくりしてるよ。他の花子さん、太郎さんたちも全員だ。


「クローエドワルド鉱王国は、龍玉を使った演算コアを作る技術を持っています。それを使えば今の演算コアより高性能な演算コアが、安く簡単にできます。その技術であればMMJの発展につながると思います」


 酒水さん、ドワーフ王国の技術にくわしいね。

 大学の授業で習ったけど、今の主流の演算コアの作り方は、ダンジョンで発見されたゴーレムコアの作り方を応用したもので、イービルアイの魔核を特殊な魔核分裂機にかけて10個の球体に分裂させて、球体の1個1個に、14種類の魔法陣で順番に焼きつけていくという手間も時間もお金もかかるやり方だそうな。

 メグちゃんが副触手からもらった演算コアの作り方は、円柱形の錬金炉の壁に、星形の魔法陣を刻んだ龍玉を7個埋め込んで、儀式魔法を発動させるというものだよ。錬金炉に宿敵透明スライムの魔核を100個入れて儀式魔法を発動すれば、1000個の演算コアができるという大量生産に向いた方法だそうな。儀式魔法で作られた演演算コアの性能は、今の主流の演算コアをはるかに凌駕する性能なんだとか。

 あの時もメグちゃんが「みぃー」『7個の龍玉にゃの。願いがかにゃうの。今こそアドベンチャーにゃの』って、みぃみぃ変なことを言ってたね。あれも5年前だったっけ。懐かしいね。


「7個の龍玉を使う方法ですよね。MMJがもう持っている技術です」

「5個ではなく7個ですか……どこでそんな技術を?」

「ある副触手からもらったみたいな話を聞いたことがあります」


 今度は花子さん、太郎さんたちが全員、人差し指で自分のほっぺたをツンツンつつき始めたよ。なにをやっているのか聞いたら、宗教のお祈りだそうな。みんな同じ宗教らしい。信教の自由だし宗教はこわいから、わたしはそれ以上聞かなかったよ。


「技術供与ではないのですが、クローエフロリア妖精国にスマホの製造工場を作るのは、どうですか?」

「花沢さんは新しい案ですね。クローエフロリア妖精国には、スマホの販売や輸出を規制する法律はありますか?」

「ないです」


 花沢さんがガバッと身を乗り出してきたよ。妖精国の事情にくわしいね、花沢さん。


「MMJは今まで現地の企業と合弁企業を作って、工場を作っていますから、クローエフロリア妖精国でも同じやり方になると思います。そういうことはできますか?」

「できます、できます。余裕です」

「それならいいかもしれないですね。MMJは異世界の国に2つほど工場を作りたいと考えているみたいですから」


 正確にはメグちゃんがそう考えているんだけどね。


「工場は2つだけですか?」

「木下さん、そうみたいです。スマホや空間通信カードは30年の設計寿命だから、工場をたくさん作りすぎると、あとで工場が潰れることになるそうです」


 そのあとは花子さん、太郎さんたちで白熱した話し合いが続いたよ。みんな熱心だね。そして、うちのグループのスマホ拡販策は[クローエフロリア妖精国とクローエアリエル聖樹国に工場を作る]に決まった。

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