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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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89/90

89 テレビ中継

 清美ちゃん。バカだったよ、アイツら軍閥貴族。


「大宮ダンジョンに異世界人があらわれてから6ヶ月後の今日、大日本帝国とクローエアリエル聖樹国との間で友好条約が結ばれようとしています。異世界の国との友好条約が締結されれば、アルジェリアに続いて世界で2例目となります。条約調印式が行なわれる大宮ダンジョン前では、朝から中央直轄軍所属の魔道甲冑3000体のパレードが行なわれ、世紀の瞬間に華をそえています」


 今日は世紀の瞬間ということで、大学の研究室にテレビを持ち込んで、撫子ちゃんや海里ちゃんや研究室の人たちと見てるよ。


「美紀ちゃん、海里ちゃん、条約調印式の中継が始まりましたわ」

「向こうの騎士団、みんなミスリル装備。すごい」

「すごいよねー。1セットで30億円くらいはしそうだね」

「黒のマントをつけた騎士団が聖樹騎士団で、緑のマントをつけてる方が護国騎士団ですわ」

「黒マント15人。緑マント15人」

「今日は向こうのちびっこ王女さまが調印式にくるから、騎士団も多いね」

「やっぱりエルフはみんな美形ですわ。並んでいると壮観ですわ」

「あれで平均200歳」

「びっくりだよねー。見た目が20台で実は200歳って」

「あの将軍は500歳」

「あの将軍は30台に見えますわ」


 黒いドレスを着た2歳くらいの見た目のちびっこエルフ王女が、エルフ侍女に手を引かれてモノリスから出てきたよ。よちよちと歩いている。

 それを迎えるのは、大日本帝国の代表の赤髪の首相だ。赤髪の軍閥貴族と護衛といっしょに並んでいるね。


「あのちびっこ王女さまは8歳だってね。あんなに小さいのに大変だね」

「ちびっこ王女は女王の後継だそうですわ。クローエアリエル聖樹国が今回の友好条約をそれだけ重視しているという大日本帝国へのメッセージですわ」


 最近はテレビ、新聞、雑誌、空間ネットワークにエルフ情報があふれているから、みんなエルフ事情に詳しいんだよね。川スポが情報源のわたしでもちびっこ王女情報を知っているくらいだし。

 メディアの情報源は空間ネットワークの大規模匿名掲示板だそうな。クローエアリエル聖樹国が宣伝工作に使っているらしいよ。


「あっ」

「……ですわ」

「びっくり」


 撫子ちゃんも海里ちゃんもびっくりしてるけど、わたしもびっくりしすぎて言葉が出なかったよ。

 ちびっこ王女に調印用のペンを渡そうとした赤髪の官僚が、ちびっこ王女を抱えて逃げ出したからだ。ちびっこ王女はキョトンとした表情だったね。

 ちびっこ王女を助けようと動くクローエアリエル聖樹国の騎士団とエルフ侍女。それを邪魔しようと動く赤髪の軍閥貴族と護衛たち。会場に乱入してきた中央直轄軍の魔道甲冑たちも王女をさらう方に加わった。テレビ局がカメラを切り替えて中継してるよ……。


「魔道甲冑部隊、騎士団に吹き飛ばされた」

「騎士団の人たちの身体が緑色に光ってるね」

「あれは魔闘術ですわ」

「知っているの? 撫子ちゃん」

「魔力を身体に帯びて闘う攻防一体の技ですわ。エルフの騎士団ではあれが使えて一人前なのですわ。大規模匿名掲示板に書いてあったのですわ」


 撫子ちゃんも大規模匿名掲示板ユーザーだったみたいだ。


「ちびっこ王女、救出された」

「泣きだしちゃったね」


 魔闘術を使ったエルフ侍女が赤髪の官僚を倒して、ちびっこ王女を助け出したよ。エルフ侍女に抱きかかえられたちびっこ王女は安心したのかギャン泣きし始めた。

 騎士団はちびっこ王女とエルフ侍女を守るように布陣するとモノリスに帰っていったよ。

 残るのはあっという間に全滅した魔道甲冑部隊の残骸と護衛たち、それと座り込んで動かない赤髪の首相。


「日本、完全に悪者」

「赤髪たち、なに考えてこんなことをしたんだろうね」

「わからないですわ」


 テレビ局、結局最後まで中継してたけど、こんなのそのまま放送して良かったの?


 ◇


『とおー』

「とおーなのー」

「みぃー」『とおーにゃのー』


 わたしたちは華麗にダンジョンを囲む塀を飛び越えたよ。


「こんにちはー。遊びにきましたー」


「お前、卒業論文でいそがしかったんじゃないのか?」

「終わらせましたー」


「赤髪派閥がなぜあんなことをしたかか? 王女を人質にしてクローエアリエル聖樹国に何かを要求するつもりだったらしいぞ。ロクなことじゃなかったらしいが。アメリカにそそのかされたという話もあるな」

「金髪派閥にも事前に王女誘拐の情報が流れていたが様子見をしていたそうだ」

「テレビ中継? 今の公共放送は金髪派閥の勢力だぞ。権力争いが関係しているんじゃないか?」

「政府とクローエアリエル聖樹国との協議か? 金髪派閥が出てきて難航しているそうだぞ。金髪派閥は赤髪派閥がやったことだと言いはっていてな」


『とおー』

「とおーなのー」

「みぃー」『とおーにゃのー』


「やっぱり金髪派閥と赤髪派閥を滅ぼしておいた方が良かったの」

「みぃー」『本当にゃの。軍閥貴族がいると事態が悪化するだけにゃの』

『わたしもそんな気がしてきたよ』


 ◇


 研究室にいくと撫子ちゃんが出迎えてくれたよ。

 今日、海里ちゃんはお見合い。相手は撫子ちゃんの弟くんだって。びっくりだね。撫子ちゃんの両親は逆玉の輿ということで乗り気だって。撫子ちゃんもお見合いを見に行こうとしたけど、弟くんに絶対にくるなって言われたそうな。撫子ちゃん、しょんぼりしてたよ。


「撫子ちゃん、おはようー」

「おはようですわ。美紀ちゃん、大日本帝国がクローエアリエル聖樹国に宣戦布告をしたのですわ」

「……どういうこと? 宣戦布告されたんじゃなく、ウチからエルフに宣戦布告したの?」

「そうなのですわ。びっくりですわ」

「大宮でケチョンケチョンにやられてたよね。中央直轄軍」

「帝国には秘密兵器があるそうですわ」

「そんなのあったっけ? 聞いたことないよ」

「赤の魔道甲冑ですわ。実は赤髪派閥が開発したものだったそうですわ。赤髪の陸軍司令長官が明日の登場を予告していましたわ」

「そっかー。色つながりかー。赤の魔道甲冑が出てくるから、赤髪派閥は強気で宣戦布告なんてしちゃったんだ」

「会見で陸軍司令長官が自信満々でしたわ。明日の正午に中央直轄軍と赤の魔道甲冑が、エルフの国に総攻撃をかけるそうですわ」

「ごめん、撫子ちゃん、軍の先輩たちに連絡したりするから今日は休むよ。先生に言っておいてくれる?」

「美紀ちゃんもお見合いに行ったと言っておきますわ」

「お見合いじゃないからね」

「冗談ですわ」


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