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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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56 スマホ完成

「みきちゃん、うそつきおじさんがテレビにでてるのー」

『変なヒゲの陸軍司令長官かー。うそつきおじさんだねー。また会見するんだ。なんの会見かな?』


「我が大日本帝国陸軍について、巷間に誤った噂が流れている。それを正すため本日の会見を開くものである。傾聴せよ。先日、赤い魔道甲冑が岡山ダンジョン氾濫討伐軍の大規模討伐作戦の邪魔をしたと伝えたが、あれは赤の魔道甲冑の技術を秘匿するための高度な欺瞞情報である」

「赤の魔道甲冑は陸軍技術研究所が秘密裏に作りあげた試作機である。しかし設計者、製作者がともに暗殺され製作技術が失われている。また本機はレベル200台の魔核を使った唯一無二の物であり量産は不可能である」

「この秘匿兵器の使用は、岡山のダンジョン氾濫を憂いた陸軍司令部が、特別に許可したものであった。しかしながら、その代償は大きく岡山の戦闘で無理を重ねたため、赤の魔道甲冑の魔法回路および魔法陣が焼き切れてしまい、二度と起動できない状態である。我が陸軍は貴様たちに秘匿兵器を陸軍技術研究所にて後日公開するものである。以上である」


「またうそをついてるのー」

『本当に大うそだねー。ヴァルキュリア紅が出たら、すぐうそがバレちゃうのに』

「みきちゃん、ヴァルキュリアくれない、はっしんなの」

『発進しないからね』

「はっしんするのーー」


 ◇


 養護院の夏祭りイベントも山盛りの夏休みの宿題も無事に終わったよ。

 夏祭りイベントでは今年もジョーちゃんが黒金魚を増やしたよ。養護院の大きな水槽がせまくなってきたから、新しい水槽を増やしたほうがいいかも。院長先生に相談だね。

 クロのレベルをみると41になっていたよ。クロコもクロミも37だったよ。3匹ともスキルを持っていたし。何をしたんだい、ジョーちゃん?


 夏休み明け初日のクラスでは「菜々子ちゃんが彼と別れた」がトップニュースになっていたよ。なんでも花火大会の夜に、菜々子ちゃんがファミレスで別れを切り出して振ったそうな。妙に詳しいね、君たち。なんで振った時の言葉まで知っているんだい。菜々子ちゃんが去ったあとの元彼くんが泣いていたことまで。


 菜々子ちゃんが登場したら、クラスのざわめきが一気に高まったよ。菜々子ちゃんは金髪やまんばを卒業して、黒髪キュート系メイクに戻っていた。まつ毛のバサバサはやまんばの名残かな。



「今年も学校対抗戦代表選抜大会は、総監督の大久保先生の要望で中止になりました。残念ですが2年生の代表はH組からは選ばれませんでした。先に言っておきますが全て総監督の大久保先生の決定です。聞きたいことがあれば大久保先生に直接聞いてください」


 川崎先生の言葉を聞いて、金髪くんや赤髪くんが逆上するかと思ったけど、今年は冷静だね。どうしたんだろうね?


「県の教育委員会で紫髪派閥の片岡教育長が失脚したのですわ。大久保先生の後ろ盾がいなくなったのですわ」

「詳しいね、撫子ちゃん」

「人事異動が新聞にも出ていたのですわ。9月の人事異動はめずらしいのですわ」

「新聞は川スポしか読んでないよ」

「川スポ、おもしろいから好き。よく見てる」


 良かったね、ジョーちゃん。海里ちゃんも川スポが好きだって。


「記事の見出しの言葉が派手でおもしろいよね。日付け以外はデマ記事って冗談半分に言われてるけど、結構正確な記事が多いし」

「空飛ぶ赤の魔道甲冑の映像も川スポが出した」

「白光大梟のあの映像をですの! わたくしもテレビで見てびっくりしましたわ。魔道甲冑が空を飛んでいるだけでも驚いたのに、レベル65の白光大梟を何万体も倒していたのですわ」

「わたしも驚いた。すごかった」

「あの赤の魔道甲冑が日本の物というのもすごいですわ。魔道甲冑技術はアメリカが世界一と言っていたのをくつがえしたのですわ」

「アメリカから調査団がきた。赤の魔道甲冑の調査」

「海里ちゃん、詳しいのですわ」

「里江おばさん、言ってた」

「あのおばさんならそういうことも知ってそうですわ」

「イギリス、ドイツ、ロシアも。調査にきた」

「そんなことになってるんだー。びっくりだよ」

「わたしもびっくり」


 ◇


「アメリカ企業を他国企業や他国の者が、買収したり直接投資する場合、アメリカには他国にない強い規制がある。1988年の包括通商法エクソンフロリオ条項だ。これでアメリカ政府は、ほぼすべてのアメリカ国内企業の他国からの買収を審査、規制することができる。この規制は2007年の外国投資及び国家安全保障法、2018年の外国投資リスク審査現代化法で拡大され、現在ではアメリカ政府が自由に規制を行使できるようになっている」



 座学の授業中にメグちゃんとジョーちゃんが、はしゃぎながらクルクル飛んできたよ。わたしの手のひらサイズの緑の板もいっしょにクルクル飛んできてる。なにかいいことでもあったのかな?


「みきちゃんー、みてなのー。スマホできたのー。やっとできたのー」

「みぃー」『完成にゃのー。夢の実現に近づいたのー。どんにゃところでも動画が見られる世界にゃのー』


 ジョーちゃんが満面の笑顔で、手足をパタパタ振っている。メグちゃんは緑の板を両手で掲げてクルクルまわっている。わたしはパチパチ拍手だ。


『メグちゃんもジョーちゃんもおめでとう。ずっとスマホを作ろうとがんばっていたもんね。努力がみのったね。良かったね。ヨシヨシ』

「えへへなのー」

「みぃー」『ふふふーにゃの』


 わたしは2人の頭を両手の指でそっと撫でてみたよ。


「こうやってつかうのー」


 空中に黒い半透明の四角が出てきたと思ったら、わたしの寮の部屋の写真がうつしだされた。


「みぃー」『こんな風に写真を撮って見ることもできるの。大きくしたり、小さくしたりできるの。この画面は自分にしか見えないようにも他の人にも見えるようにもできるの』

『こんな風に空中に浮かんでいる写真なんて初めて見たよ』

「みぃー」『きれいに撮れるカメラが大変だったのー』

『きれいに写ってるねー。拡大してもきれいなままだー』

「みぃー」『ふふふーにゃのー』

「ぜんぶ、しねんそうさなのー」

『思念操作すごいねー。アイテムボックスなんかといっしょなんだー』

「えへへなのー」


「田中かー、さっきから何をしている? お前の前に浮いているのはなんだ?」

「すいません、すいません、すぐに消します」


『メグちゃん、ジョーちゃん、ごめん。あとでね』

「みぃー」『ごめんにゃの。うれしくていつもの感じできちゃったのー。休み時間にくるのー』

「ごめんなのー」


 授業中だから認識阻害を発動してなかったよ。

 でもスマホ完成おめでとう。メグちゃん、ジョーちゃん。本当に良かったね。


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