第45話【残り365日:タイムリミットと決意】
第45話【残り365日:タイムリミットと決意】
私の体にはペンギンが乗り移った。
冷たい地下の床にペタンと座りながら。
私の身体で、私の口で。
弱々しげに語りだした
元に戻る方法はただ一つ。
――慈愛を持つこと。
ペンギンが言うにはタイムリミットがあった。
――1年間。
ペンギンが私の体で死ぬと、元の体に戻るが両方死亡。
「そんなの意味ないじゃない!!」
ペンギンの体になった私は喋っていた。
(おや、喋れるのは助かるわね)
ペンギンの話す唯一の方法は、私にとっては絶望的。
「慈愛・・・?」
意味不明の言葉。
利己的な私は理解不能。
とにかくやるしかない。
「こんなの理不尽だわ!」
私は起き上がる。
歩こうとして転びかける。
この際、人間に戻れたらいい。
私が生き残るには、人間の器が必要。
「黙って死んでたまるか!」
「試行と検証あるのみ!」
流石に執事も終始、驚愕の表情をしていた。
「私の体を手厚く扱いなさい。最高の医療を用意して!」
「はい、お嬢様」
住み込みのお手伝いさんも、何事かと集まってきた
突然、喋るペンギン。
お手伝いさん達は、あんぐり口を開いたまま固まった。
「聞きなさい!」
「今から忙しくなるわよ!」
「私には、あと1年しかないんだから!!」
考える。
悠長な時間なんてない。
人が多くて、私が動きやすい場所。
「学校に行くしかないわ」
「今すぐ校舎を改築して!」
同年代の生徒が沢山いるので実験向き。
構内図も何となく頭に入っている。
自室の姿見鏡をちらりと見る。
――なんて弱そうなペンギン。
「弱そう・・・」
これじゃダメだ。
「威圧感が足りない」
もっと強そうにする。
「マサオだ!」
「なぜですか?」
執事は尋ねた。
「強そうだから」
「マサイ族からですか?」
「知らない」
「よし・・・名前はマサオ!」
「言葉遣いもオラオラ系にするわ!」
フンッ! 上等じゃない。
転びそうになりながら、歩き出す。
私の“ペンギン1年生活”が始まった。
――残り365日




