174 いざ、突入戦へ
作戦会議が終わり、食事を摂ってから2時間後。
トイレや武具の手入れなどの準備を済ませ、魔導馬車に乗り込んだ俺達は、クロウ中佐やイリアさんの先導の下で、ガルタイトの王都へ向かっている。
その道中の村だった場所や町だった場所などに人がいないのを改めて目にすることになる。
「本当に人っ子一人いないね」
「建物も朽ち果ててるしな……」
「国から逃げたという線も考えたけど、あのヘイトだからね。 ほとんど生贄として人命を奪ったんだろうね」
色んな人達から見聞きした情報で、人がいないのは頭の中では分かっていたが、いざそれを実感するとなると理解が追い付かなくなる。
国から脱出した可能性も考えたが、あのヘイトの事だ。
脱走を許しはしないだろうな……。
「戦車隊も私達の魔導馬車みたいにスピードが出てるね。 あれも魔改造したのかな?」
「多分、そうだろうな。 基本的に戦車ってスピードは遅い方だから」
「重力魔法の気配もあるし、魔改造された戦車みたいだね」
そして、前方に走っている戦車隊の戦車について、俺と由奈とひなたで話し合った。
あの戦車も俺達が乗る魔導馬車並みのスピードで走っている。
基本的に戦車は、スピードが遅く、方向転換に時間が掛かるイメージだ。
それを覆すことが可能なのが、ゼイドラムの技術なのだろうな。
「そろそろガルタイトの王都に差し掛かるね。 みんな、準備はいい?」
「ああ、こっちは大丈夫だ」
「私は後ろの魔導馬車に連絡しておくよ」
「頼む、由奈」
そんな話をしている所で、アイリスからもうすぐガルタイトの王都に到着するというのを聞いた。
由奈は後ろを走っている魔導馬車に乗ってる者に水晶玉で報告をし、俺達はいつでも戦えるように武器などを手に取る。
「私は当時、暁斗君を抱えて別の場所から脱出したからね。 王都の正面を見るのは初めてだよ」
「俺は当時、眠らされてたんだっけか。 まぁ、俺も正面の王都の姿を見るのは初めてだしな。 王都の奥に敵の気配は……」
ひなたと過去の懐かしくも思い出したくはなかった話に触れつつも、初めて見るガルタイトの王都の正面入り口の奥に敵の気配がないかを【気配察知】で調べてみた。
これを使うのって、久しぶりな気がするな。
「アキトくん、どう?」
「予想通りにいるな。 兵士型と魔物の気配が」
「やっぱりね。 素直に入れてもらえるとは思ってないし」
やはりというか、奥には兵士型と魔物が待ち構えている感じだった。
エミリーもひなたも予想していたようで、戦闘態勢を取る。
『正面の門より、兵士型ホムンクルスと魔物の合同部隊が接近! これより、戦闘に入る! 戦車砲を一発撃ったら戦闘開始だ!』
前方のクロウ中佐率いるゼイドラムの軍も敵を感知したようで、戦車砲を一発お見舞いするようだ。
そこから戦闘が開始される。
「みんな、戦車砲が撃ちだされたら俺達も出るぞ」
「うん!」
「魔導馬車はゼイドラムの皆さんに守ってもらいましょうか」
「一応、結界は張っておくよ」
みんなも既に戦闘態勢を敷いており、戦車砲が撃ちだされると同時に魔導馬車から出て王都を駆け抜けてガルタイトの王城へと突入するつもりだ。
後方には鴫野達や後輩達もいる。
彼らとクロウ中佐、イリアさんがいるなら王城への突入も容易いだろう。
『戦車砲、発射用意!!』
クロウ中佐の号令により、戦車砲が間もなく発射される。
なお、この戦車砲は魔力によって生み出される砲弾を発射する仕組みのようで、魔力がある者が乗ればかなり多くの戦車砲を撃ちだすことが可能のようだ。
『撃てーーーっ!!』
そして、戦車砲が撃ちだされる音が聞こえたと同時に、俺達も魔導馬車から出て、一気に王都へ向かって駆け抜ける。
「魔物が先に来るか! エミリー!!」
「うん!! 【フレイム】!!」
王都の正面入り口に入った直後に、戦車砲によっていくつか屍になった兵士型や魔物の影から、新たな魔物が出て来た。
そこにエミリーが予め詠唱を終わらせたフレイムの魔法を発動させる。
氷でできたゴーレムっぽい存在だったが、ここまでで成長したエミリーの魔法で溶けて行った。
「よし、みんな行くぞ!!」
「「「「おー!!」」」」
俺達の突入戦は、エミリーの魔法で火ぶたが切られたのだ。
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