4.お気に入りのRMT業者
私は話が逸れないうちに、RMTについてさらに詳しく話を聞かせてもらうことにした。
「わかりました。RMTの話というと、業者とかの紹介でいいでしょうか。
いろんな業者とやり取りをしましたけど、よく取り引きしていたのは3つくらいですかね。」
小山さんが初期に使っていたのはゼルダというRMT業者だった。
「ゼルダはRMTを始めてから結構使っていた業者です。
それまで使っていた業者は、入金ごとに時間と場所を決めて取り引きをしていたので結構面倒だったんですよ。
ゼルダは早い段階でフレンド郵送という取り引き方法を始めていたので、使うことが多くなりました。まず業者の運び屋とフレンドになって、リアルマネーを支払うと即郵便でゴールドが届きますから便利でした。
しかしゼルダと取引していたのは自分のメインキャラだったため、リスク回避のために使う頻度が減っていきましたね。
この業者は完全に中華で、春節の時期にはレートが跳ね上がりましたし、この時期送金が1日ストップしたこともありました。」
RMT生活を始めるようになって、小山さんが最も閲覧するようになったサイトにドラクエ10RMTの価格ランキングというものがあった。
数十ある業者の現在のゴールド販売レートを随時更新しているために1日に何度もアクセスするようになったそうだ。
数多ある業者の中から、小山さんが最終的に選んだのはドレアムとクルブシという2つのRMT業者だった。
「ドレアムのいいところは安いことですね。
RMTランキングを見るとだいたい最安値だったりします。
しかしゴールドの受け渡しが結構雑で、相手が遅刻することも結構ありました。
遅刻した時はお詫びのつもりなのか、少しゴールドをおまけしてくれたりしましたね。
イレギュラーなことが起きた時や在庫が無くなった時のメールの日本語が変だったりするので、ここも完全に中華業者とみて間違いないですね。」
この原稿を書いている2016年の8月3日の時点で、ドレアムの販売レートは10万ゴールド=37円。驚くほど安いレートだ。
この安さが魅力だと小山さんは何度も力説していた。
「もうひとつのクルブシですが、販売レートは正直高いです。
でもRMT界の老舗だけあって、対応は丁寧ですね。
私もドラクエ10を始まる前からここの名前だけは知っていたので、RMTの世界ではかなり有名なんじゃないでしょうか。
日本人のスタッフもいるようで、向こうにわずかな不手際があった時に長文かつ丁寧なメールが飛んできましたよ。安心して取引できましたね。」
クルブシの販売レートは10万ゴールド=48円。たしかにドレアムよりも2~3割高い。
この高いレートは国産で安全な証であると小山さんは何度も力説していた。
思った以上にRMTの業者には差があるらしい。
私は驚きつつも、RMTの詳しい取引方法について質問をした。
小山さんは一度目の利用停止を食らった後にRMTの方法に変化を持たせるように自分なりの工夫をしたらしい。
メールで連絡を取り合っていた頃はその工夫した方法でRMTをしていたので、詳しい内容は教えてくれなかった。
だが永久BANされた現在ならば教えてくれるのではないだろうか。
「工夫した取り引き方法ですね。
もうBANされちゃいましたし何でも聞いて下さいよ。」
ハイボールを美味しそうに飲み干し、なんだか嬉しそうな顔をしながら小山さんは語り始めた。