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4-10 ……なんだとおおお??



「おつかれー」


 俺がVRゴーグルをはずすと、すでに大場が待ち受けていた。


「いやあ、なかなか良いエンディングだったよ」


 大場はいつものようにハイテンションだが、今はことさら機嫌が良いように見える。

 番組は成功したということだろう。

 

「最終的な投票結果はどうだったんだ?」


 俺の役割は技術アドバイザーであって誰がアイドルデビューを勝ち得たとしても関係のないことなのだが、どうしてもこれを確認するまでは帰宅する気にはなれなかった。


「ああ、あれな……無しになったわ」

 

「……はあぁあああっ????」

 

 『無し』とはどういう意味だ?

 俺は驚きのあまり大声を出してしまった。


「いやあね、お恥ずかしい話……最後の瞬間に投票が殺到したせいでサーバーがダウンしてね、計測できなかった」


「……なんだとおおお??」


 お粗末にも程があるだろ。

 彼女たちはアイドルデビューできることを信じてあれだけ頑張ってたのに!


「……っというのは表向きの理由でね。

 実際にはサーバーはダウンしていない」


「……なにぃいい?」


 こいつはいったい何を言っているんだ?

 

「ついさっきのことだけどね、彼女たちが所属しているタレント事務所とスポンサー、そして俺たち制作局とで話し合いを行ったんだ」


 俺から疑念の眼差しを注がれ、気まずそうにしながら大場は話を続けた。


「思いのほか、視聴者数が多かったんだよ。

 それでな、もったいないんじゃないかって話になった」


「もったいないって、何が?」


「結論を出してしまうことが――さ。

 それより結論を先送りにして、もっとひっぱったほうがいいだろうってことになった。そういうわけだ」


「そういうわけって、どういうわけだよ!

 彼女たちはアイドルデビューできるって信じて、本気で頑張ってたんだぞ!」

 

 大場は俺の剣幕にたじろいだようだ。


「……そのへんは事務所が個別にちゃんと説明するって言ってるから問題ないよ。大丈夫」


「続編ではもちろん君にも続投していただきたい。

 頼むよ」


「……え、続編?

 ――だって俺は猫神になっちまったし……」


「そうだな。

 じゃあ次は、ネズミとかハエとかにするか」


「ハエぇえ?」


「冗談、冗談。

 ちゃんと考えておくからさ、今日のところはお疲れ様!」


「……」


 まったく視聴者数のためなら出演者の人生なんてどうでもいいと思ってやがる。

 俺は心にわだかまりを抱えながらテレビ局を後にした。


 時刻は夜の9時を過ぎている。

 すっかり日の暮れた道を駅まで歩く間、俺の中で、なにか別の感情が湧き起こってくるのを感じた。

 

 ――あいつらにまた会えるかもしれない。

 

 そう考えると、ハエ役も悪くないと思えてくる。

 こうなったら、とことん付き合ってやるか――

 あいつら全員が、アイドルデビューできるまで!




                完

 


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