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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第3章 リンデン王国編

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第89話 オオカミなんか怖くない


「なーにこれ、映画の中で見た中世ヨーロッパの綺麗な町並みそのものだよ。凄いよポンさん、あれ見て。マルシェだよ、マルシェ!」



 遠心力で浮き上がるほど勢いよく引っ張られ「はしゃぎ過ぎや」と釘を刺したポンさんの言葉も耳に入らない僕は、町の美しさに目を奪われるまま、ミュージカルで踊りだしたヒロインのようにクルクル回ってみせる。「楽しそうですね」とつられて上機嫌なインフが子供をあやすように手を叩く中、カルラだけは目的を忘れず、(つぶさ)に町中の様子を観察していた。



「ポンさん、あれはなんだろう!?」


「自動昇降するタイプのランプやな。夜になると自動的に浮かび上がって町を明るくすんねん」


「なにそれ、魔法なの!?」


「ここはドワーフの町やで。魔道具開発において右に出る国はないと言われてる国や。それくらい当然やで。せやけどそのせいで、なんや不思議なことが起こった後、まず最初に疑われる可哀想な国でもあるけどな」



 僕はメルビンで巻き起こった騒動を思い出しながら、魔導石によるモンスター誘導を行った人物が、もしかするとこの国にいるかもしれないんだと息を飲んだ。



「ま、気にしてもしゃーないし、話半分で考えてたらええわ。そもそもここは自由貿易を推してる国やし、俺的にもリンデンが主犯である可能性は低いと踏んでるしな。十中八九、シーメルスの仕業や思っといたらええわ」


「え゛? なにそれ、そんな話初めて聞いたよ!?」


「話す必要ないやん。そもそもウタは常に緊張して警戒してるくらいでええねん。常に油断しっぱなしの甘ちゃんなんやから。ほれ見てみぃ、言うてるそばから側溝ハマってるやん」



 ドブに足を取られ、ブーと不貞腐れている僕を笑うポンさん。

 しかしそれとは対照的に、町の人たちが僕らに向ける視線が少しだけおかしな気がする。どうしたんだろう?



「ねぇポンさん、なんだか僕ら、見られてない?」


「そらそやろ。聞き馴染みない不思議言語使って、俺と普通に喋ってるヒュムがおるんやから。あっちからしてみたら、おのれは異常者やねん」



 僕は思わず「あっ」と驚き、自分の口を押さえた。言われてみれば、僕はスキル《神獣語》を取得しているため、ポンさんと普通に会話することができるんだった。


 ……あれ?

 そう言われてみると、何かおかしくない?



「ポン殿。その先を左へ曲がった先にギルド本部があるそうだ。そちらへ向かおう」



 カルラの指示に、「うんにゃ」とポンさんが返事する。



 ……あれ? 返事?



「そうだ、ちょっと待って。そういえば、どうしてカルラさんとポンさんは普通に会話できるの!? そういえば村長さんやエアリスさんもだ、なんで!!?」



 うっかりしてた。

 インフとポンさんが会話できることは前に聞いたけど、カルラさんたちエルフのみんなも普通に話していたから、何も疑問に思わなかった。


 そうだ、普通はポンさんと会話することできないのを忘れてた!



「そのことか。我々エルフは、元来彼ら種族と近い関係性にあったこともあり、もとより彼らの言葉を話すことができる者が多いんだ。言っていなかったか?」



 ポンと手をうち、なるほどと納得する。

「エルフと神獣は近い関係性」と、僕は心のノートに新たな事実を記録した。



「リンデンはテイムしたモンスターを連れてる冒険者も多いで、俺みたいな可愛らしい神獣様がおっても気にするのはおらんけど、喋れる奴は少ないのが現実や。せやから、俺らが会話してるんが珍しいんやろ」



 合わせてエルフ、ヒュム(二人)、神獣という風変わりな組み合わせも相まって、僕らは妙な注目を集めていたみたい。これ以上人目を集めないようにと、僕らはそそくさとギルド本部へ移動した。



「なにこれ、凄いよ、まるでお城みたいだ……!」



 パパス村で見たことのある、こぢんまりとしたギルド建屋とは一線を画し、城の外壁のように高く積み上げられたレンガ造りの外観は堅牢そのもので、弱者は去れと腕組みした戦士の姿が透けて見えるほどの英姿を誇っていた。しかしカルラは一時も躊躇することなく両開きの扉を押し、先に行ってしまう。ポンさんとインフも気に留める素振りなく入っていったけど、僕は大きく息を吸ってから「んっ」と呼吸を止め、身体を大きく見せながら三人の後に続いた。


 中では多くの人々が出入りしており、屈強な戦士風の男性から、大きな杖を抱えた華奢な女性まで、各種様々な冒険者が闊歩していた。中でも中型モンスターを従え壁際に陣取っていたテイマーのパーティーは、異彩さに加え、強烈な圧迫感を放っていた。



「な、なんだか凄いね。ギルドって、どこもこんな感じなんですか?」


「ウタはギルドが初めてなのか? 街の規模やギルドの大小で様々だが、どこも似たようなものだと思うぞ」


「すみません、小さな村のギルドしか出入りしたことがなくて。あっ、ポンさん!? あっちに大きなオオカミがいるけど恐くない?」



「わしゃ赤ん坊か」と呆れたツッコミが入ると同時に、奥から野太い男の声がギルド内全体に響き渡った。皆が何事だと見つめた先では、屈強な大男の冒険者が、ギルド窓口の女性に絡んでいるようだった。



「ざけんじゃねぇ、そんな値段で売れるはずがねぇだろ。こちとらガキの使いじゃねぇんだぞ!?」



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