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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第86話 違う



「いや、ちょっと待ってよ。キミは自分が何を言ってるのか、本当にわかってるの!?」



 しかし僕の問いかけなど意に介さず、「当然や」と弾き落とされる。カルラや村長も既にそこは主題でないと頷き、僕の問いかけを簡単に受け流した。



「俺や村長らぁは、合理的に考えてこの方法が一番可能性が高いともう決めてんねん。ウタ、おんどれ、昨日自分の口で言うたよな」


「言ったって、何を……」


「強くなる言うたやろ! ……せやったらさっさとなれ。竜族にもヒュムにも文句言わせへんほど、圧倒的にや」



 ポンさんに加え、カルラや村長の厳しい視線が僕の全身に突き刺さる。僕にはそれが、恐れや遠慮というものとはまるで遠い、命を賭けた種族を背負った者たちの覚悟のようにも思えて仕方なかった。



「おのれが壁になって全部守るんや。圧倒的に高い壁の前で、力なき者は無力や。そしてそれはどこの世でも一切変わらん普遍的なもんや。よって結論は一つ。さっさと一番になって、正面から全部飛ばしたれ」



 ポンさんに同調し、カルラが言葉を付け足した。



「しかしそれだけでは足りない。二人に頼り切りでは、我らエルフの沽券にも関わる。よって我々は、引き続きこの剣の修復を急ぐことに決めた。だが……」



 カルラの言葉をきっかけに、村長がコクリを頷いた。するとまたどこからか、僕の知らない人物が姿を現した。



「ええと、その方は……?」


「彼はこの地で武器職人をしているシェフィールだ。本来ならば、この剣を修復する役目を担っていた職人と説明すればわかるか」



 僕の質問に端的に答えたカルラは、剣と修復材料として用意したマンティスの腹針を手渡し、説明を頼むと依頼した。



「紹介を受けたシェフィールだ。この村で道具屋、兼武器職人をしている。しかし残念ながら、今の状態では剣の修復を行うことができない。あんたらも知ってのとおり、ドラゴンに襲われて村はメチャクチャだ。頼みの工房も燃えちまったし、肝心の窯炉が完全に破壊されちまった。あの状態じゃあ、剣どころか武器の一つも修復することはできねぇよ」



 勝手に進んでいく話に置いていかれ、僕はオロオロするばかりでどうにもできない。しかし彼らは僕に一切口を挟ませず、ポンポンと言葉を当てはめるよう次々に説明を加えた。



「修復だが、別の工房を借りて行うことはできないのか?」



 カルラの質問にシェフィールが首を横に振る。



「この剣は特別製でな。エルフの加護を受けた窯炉でなければ本来の能力を戻すことができんのだ。よって方法はエルフの国にある窯炉を使うか、新たに誂えた窯を使うか、二つに一つだ」



 村長とカルラはすぐ一つの方法に絞り、「ならば用意するしかあるまい」と決め、「方法は?」と問う。



「少なくとも窯がないことには始まらん。主原料となるベルファイト鉱石に、耐火リゾナ硝石。それに大量の魔晶石と、エルフの加護を受けた水がいる。魔晶石と水は俺らエルフがいればどうにかなるが、ベルファイト鉱石とリゾナ硝石はどこかで入手する必要がある」


「二つはペンラムで手に入らないのか?」


「残念だが砂漠地帯であるペンラム国で入手するのは難しいだろう。買うにしても輸送費が高くつく。現実的じゃないな」


「ならどこにあんねんな?」


「この周辺ならば、南のリンデン国なら手に入るだろう。あそこはもとよりドワーフが暮らす山岳地帯だ。何よりベルファイト鉱石の主要産出国として名高い地域だからな」



 しかしポンさんの表情は暗い。

 何よりリンデンは、以前メガリースト王国領のメルビンで、モンスターを利用した襲撃を実行した疑いのある国で、あえて行くことを避けた国の一つだ。しかしシェフィールは、周辺国で二つの石が手に入るのはここだけだろうと断言した。



「だが残念ながら、我々には外交手段を用いる手立てもなければ、リンデン国にツテもない。しかもそれなりに大量の石が必要となれば、費用や関わる人手も必要になってくる。どうにかならないのか?」



 しかしカルラの問いかけに、シェフィールは申し訳無さそうに返答した。



「本来なら俺たち職人が行商人と連動して道具を調達したいところだが、いかんせん村があの調子だ。あんたらがどれだけ切羽詰まった状況でも、俺たちにだって生活がある。悪いがそこまで手が回る状況じゃないんだ、わかってくれ」



 ドラゴンに襲われる心配がなくなったにしろ、自分だけでなく彼らの家族や村人たちの生活を再建することの方が先という言葉は重く、村長やカルラがそれを咎められるはずもない。そこでカルラは、至極当然の結論を出す。



「ならば動ける者が準備するほかあるまい。ポン殿、手を貸していただけるか?」



 しゃーないなとポンさんが頷いた。

 直近のすべきことは決まったなと、シェフィールは僕らに会釈し、再建を急ぐため移動を開始した村の人々とともに、破壊された村の跡地へと帰っていった。



「では我々もすぐに動くとしよう。村長様、まず我々はリンデンへと赴き、ベルファイト鉱石とリゾナ硝石を集めてまいります。その間、村の護りをお願いいたします」



「無論だ」と頷く村長。

「よし」と頷いたカルラとポンさんは、早速次の目的地を決めるため、周辺国の地図を広げ、行動計画を立てていた。




 ……いや、でも少し待ってほしい。


 あれ? なんだろう?

 まだよくわからない。


 僕はこれからみんなとどうしていくべきかを、ずっと考えていた。そして迷いの中、みんなと別々に生きながら、陰ながら彼らを守る方法がないか模索していた。


 なのに、なんでだろう?

 みんな、僕の考えなんてなかったみたいに、勝手なことを言ってる。


 ……やっぱりおかしいよ。

 こんなの間違ってる。




「……違う」




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