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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第83話 諦め


「はぁ?」と未熟な青年へ向けるような怪訝な顔で呆れているポンさん。


 わかってる。

 あまりにも稚拙で、あまりにも非現実で、あまりにも難しいことくらい、僕にもわかってる。


 だけど、僕はやると決めている。

 それくらいでないと、もう僕には生きている価値がない!



「だから、僕は強くなります。まだてんで弱いし、情けないし、本当に無様で馬鹿な子供だけど、どうかお願いします。僕に力を貸してください!」



 理不尽なこともわかってる。

 道理が通らないことなんか重々承知だ。


 それでも不器用な僕には突き進む以外の方法がわからない。

 それが唯一、僕にできる償いなのだから。



「なに言ってるのよアンタ。ふざけるのもいい加減にしてよ。あの女が真竜国の女王で、カーズルインを滅ぼしたのはアンタって? しかもレベル590で、そのうえ自分に手を貸せ? アンタ、正気なの!?」



 周囲の空気を振り切り、エアリスが僕の襟首を掴んでたくし上げた。

 いよいよ堪忍袋の緒が切れた充血した目を僕に向け、グチャグチャになってしまった思考をかなぐり捨て、自棄になっているようでもあった。



「姉様、私がコイツを討つことをお許しください。良いですね!?」



 腰に装備していたナイフに手をかけ、エアリスが僕の首元に斬り掛かった。しかし無言で制したカルラは、彼女の手からナイフを叩き落とし、僕に言った。



「ウタ、まだお前の話を全て信じたわけではない。しかしお前のことだ。……恐らく、嘘はないのであろう?」



「姉様!?」とエアリスが驚愕する。

「黙っていろ」と一喝し、カルラは全てを受け入れたうえで言った。



「一つ確認させてほしい。本当に……、お前の命を賭け、ドラゴンたちはもう村を襲わないのだな?」


「はい、絶対に」



「そうか」と答えたカルラは、天井を見上げ、ふぅと大きく息を吐いた。



「……わかった。しかしそれよりも、我々は今、大きな枷をはめられてしまった気がしている。これから我々はどうすべきなのか、まるで想像がつかないよ」



 恨めしそうに僕を見つめる。

 できることなら、僕もこんな状況にはしたくはなかった。



「……納得できません。姉様、私は納得できません! このような者のどこにそのような力があるというのですか!?」



 ナイフを拾い上げ、再び襲いかかってくるエアリス。

 僕は魔力防御低下(スピリット ドレイン)を唱え、ナイフを正面から手のひらで受け止めた。


 事もなくナイフは砕け散り、反動の衝撃波が天井に突き刺さった。

 しかし間髪入れず殴りかかった彼女の拳が、僕の頬に直接ヒットした。


『大落下』の効力によって、ダメージは完全に無効化されている。しかし僕が瞬きをしている暇もなく、弾き返したダメージが彼女の胸元を押し、そのまま側面の壁まで吹っ飛ばしてしまった。



「グハッ!」



 壁に背をつけ、そのまま倒れて転がったエアリスは、何が起ったのか理解できず目を丸くしている。反撃した素振りもない僕にしてやられ、なのに自分はダメージを受け、床に転がっている。そんな怒りにも近いもやもやが、表情の表情から見て取れた。



「無駄や、やめとき嬢ちゃん。そうなったウタは無敵や。どんな攻撃も通らへんねん」



 しかしエアリスは躊躇なく地面を強く蹴って、僕に殴りかかった。攻撃を受け流そうとしても、何発かは直接反転してしまい、そのたび彼女を弾き、壁に張り付けにした。



「ぐっ、グフッ……」



 成す術なくやられている自分に腹が立ち、「クソっ!」と地面を叩く。

 僕は彼女に手を差し伸べ、「もうやめましょう」と提案した。



「なんなのだキサマらは。女王だの、カーズルインを滅ぼした張本人だの、我々を(もてあそ)ぶように翻弄し、好き勝手しやがって。本当は我らのことを馬鹿にして笑っているのだろうが!?」



 手を伸ばした僕の顔に風魔法をぶつけられ、反動で倍の威力になった魔力の塊が洞窟の天井に風穴を開けた。パラパラと岩盤の欠片が落下し、何事だと部屋の外で待機していた村人が顔を覗かせた。


 確実に攻撃を当てていた。しかし傷一つない僕の様子に怯え、エアリスが思わず後退った。

「よもやこのようなことがあろうとは……」という言葉に留めた村長は、様子を見にやってきた村人をなだめながら、全てを諦めるように言った。



「皆のもの、なんでもない、大丈夫だ。エアリス、それにウタ殿も。……話はここまでにいたしましょう。あとのことは、私から彼らに話をしておきます。もう金輪際、村に危険はなくなったのだと……」



 こうして困惑する村人たちを任せたまま、僕らの話し合いは終結した。

 文字どおり、誰一人納得する者はなく、僕も、カルラも、ポンさんも、エアリスも村長も、それぞれ胸につかえたもやもやが消えることはないんだと思う。

 何よりも、僕は彼らに重い十字架を背負わせてしまった。僕やインフとの関係性が世に知れてしまえば、今後彼らにどんな不幸が降りかかるか想像することもできない。


 しかしだからこそ決心したこともある。

 彼らを守るため、僕はもっと強くならなきゃいけない。

 どんな敵が現れても、平気な顔をして立っていられるほど強く――



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