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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第72話 スカイドラゴン



「エアリス、エアリスなのか!?」



 すぐに駆け寄り、確かめるように抱き合った二人は、互いに強い抱擁を交わし、「無事で良かった」と言い合った。どうやらカルラの探していた人物らしき女性の登場に、僕らはしばし様子を窺った。



「エアリス、村で何があった。これはどういうことなのだ!?」



 未だ周囲の様子を窺っているエアリスは、口の前に指を立て、「大きな声をお避けください」と注意し、近くに立っていた僕らを見やった。彼女は瞬時に僕らをカルラの仲間だと判断してくれたのか、自分についてくるようにと促した。

 すぐに村を離れた僕らは、エアリスの魔法で身を隠してから、近くの森に入った。鬱蒼とした木々の隙間を進むと、切り立った崖下につきあたった。そこには魔力で入口がカモフラージュされた簡易作りの洞穴があり、僕らは彼女に導かれるまま穴の奥へ奥へと招かれた。



「エアリス、無事だったか!」



 暗い穴の奥から声が聞こえ、年老いたエルフらしき男性が姿を現した。しかし僕らがいることに気付くなり、警戒したように足を止めた。



「大丈夫です村長。カルラ姉様と、そのお仲間の方々です。村の跡地で偶然出会いましたので、お連れしました」



 しかし老齢のエルフの表情は険しく、まだ警戒している様子で僕らを凝視していた。それでもカルラはその男性に覚えがあるらしく、すぐに彼の元で(ひざまず)き、「村長、ご無事でしたか」と声をかけた。



「……カルラ。ふむ、どうやら本当にカルラのようだ。して、そちらがお前の仲間というのは本当か?」


「はい、私の旅の手伝いをしてくれた恩人です。それよりも、まずは村のことです。何があったのですか!?」



 苦い表情を崩さない村長は、エアリスを促し、まずは奥へと僕らを招いてくれた。村の人々は急ぎ用意したこの洞窟内に避難していたようで、仲間の無事を知ったカルラは自分の早とちりを悔やんだ後、ようやく安堵したようだった。



「エアリス、とにかく良かった。村の者たちも皆無事でいるのだな?」


「ええ、姉様。しかしご覧のとおり、村は酷い有様です。それに奴らにここの存在が知れるのも、時間の問題でしょう」



 奴らという言葉に、ポンさんの顔が曇った。「恐らくアレやろな」と僕に耳打ちしてから、「え゛え゛っっほん!」とジジイのように咳払いして注目を引いた。



「奴らっちゅうのは、さっき見たワイバーンやな。しかし妙やで、あれくらいのモンスター、エルフの戦士なら勝てんことないやろ?」



 ふぅとため息をついた村長は、「確かに」と相槌を打ってから付け足した。



「敵がワイバーンだけなら、それも可能でしょう。しかし相手が()()()()()()()となれば、それも難しいというものです」



「スカイドラゴン?」と僕が素朴な疑問を口にするも、カルラやポンさんの顔色は優れない。僕は口を挟むのを控え、スッと明後日の方向へ向き直った。



「なぜスカイドラゴンがこんな辺境の地に。奴らの縄張りは、もっとずっと東の果てだったはず」



 聞くまでもないと短い腕で腕組みしたポンさんは、「カーズルインの影響やろな」と呟く。カルラは納得できず、「カーズルインは滅びたはずだ」と口を挟んだ。



「簡単な理屈や。カーズルインが滅びたってことは、ドラゴンたちの世界も大きく様変わりしてるってことや。ちゃうか?」



 ポンさんの問いに頷きで答えた村長は、村で起こった出来事を掻い摘んで僕らに説明してくれた。

 カーズルインが無くなり、ドラゴン族の狩り場に影響が出ているらしいこと。そして西へ流れてきたスカイドラゴンとワイバーンの群れが村を襲ったこと。そして……



「奴らは東の山場に住み着き、我らエルフの村や近隣の村々を襲い、傍若無人に振る舞うばかり。我らとて抵抗したものの、スカイドラゴンの力の前では歯が立たず、こうしてどうにか逃げ延びた始末。無念だ」



 村は完全に蹂躙され、全て破壊されてしまった。

 住人が無事だとしても、再建にはかなりの時間が必要に違いない。



「なにより、我々の元にはもはや水や食料すら残されてはいない。僅かに村に留まっていたエアリスら若い衆を頼り武器や食料をかき集めてもらっていたが、それでも限界は近い。情けない話よ」



 どうやらエアリスは、争っていた僕らを探していたわけではなく、食料や武器を調達するため村を訪れたときに偶然発見したらしく、運が良かったと再度カルラと抱擁を交わした。



「ですが村長。こうして姉様が戻ってこられたのです。姉様がいれば、スカイドラゴンごとき軽く斬り捨てていただけるはず。ですよね、姉様!?」



 しかし村長の顔色は優れない。

 当然、ポンさんもその理由に気付いている様子だ。

 僕は空気を読んで、そのまま動向を見守ることにした。



「カルラよ、お主ランクはいくつになった?」



 僕らには嘘を付いていたものの、村長に嘘は通じないと判断したのか、彼女は正直に「Cです」とランクを告げた。



「そうか、精進したのだな。確かにお主ならば、スカイドラゴンを討てるやもしれぬ。……お願いしてよいのか?」



 カルラは「無論です」と答え、片膝をつき頭を下げた。しかし――




「残念だが、それは許さぬ」




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