表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第1章 パパス村編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/216

第41話 全てを裏返す


 振り下ろされる巨大鈍器。

 突き立てられる鋭利な刃物。

 撃ち込まれる名も知らぬ魔法たち。


 そのどれもが僕の心臓を貫こうと、一撃必殺の意思を込めて放たれる。それを僕は、この細腕だけで受け止め、反撃する。


 相手の攻撃が強大であればあるほど、沢山のモンスターが千切れて宙を舞った。そして僕のステータス値が落ちれば落ちるほど、その勢いもまた増していく。




 HP : 64047 / 98123

 MP : 5047 / 109121




 音を奏でるように減っていく数値。

 このデジタルの値がなくなった時、果たして僕はどうなるのだろうか。


 今度こそ死ぬ?

 それとも、また別の世界へ移動する?



「もしかして……、元の世界に戻れたり……」



 脳裏を過る甘い誘惑。

 しかし僕の信念は知っている。

 本当に手に入れたいものがあるとして、手を伸ばすことを諦めた先に何が待っているのか。



「辛ければさっさと逃げろ、辛いならやめてしまえなんて、そんなこと簡単に言うなよ。それが簡単にできないから、みんな必死に頑張ってるんじゃないか。世の中なんて理不尽ばかりなのに、それに抗って、必死で生きて何が悪いんだよ!?」



 あの人はいつも言っていた。

 どんな人間も、失敗や間違いを繰り返す。……だけど



『 真剣に藻掻いたこともない人間が、ここぞという時に藻掻けるはずないだろ! 』



 藻掻け、足掻け、動き続けろ!

 無駄だとわかっていても、最後の最後までやり続けろ!

 考えるより先にやれ、その先にしか、お前の求めるものはないだろう!?



「うるさいな、わかってるよ。僕だって、そんなのわかってるんだよ!」



 ここで死んだら元の世界に戻れる?

 ここで死んだら楽になれる?

 どうせみんな、やられて死ぬ?

 全部殺してしまえばいい?

 心底僕はツイてない?

 だから今回もダメに決まってる?



「……違うだろ、ずっと否定してきただろ。どれだけ世界が僕に厳しくても、ずっと抗ってきただろ。ずっと信じてきただろ、僕は!」



 最初から決めていた。

 必ず裏返す。


 僕は僕自身の運命を、必ず逆転させるって。




「だってその方が絶対にーー」






 HP : 38129 / 98123

 MP : 647 / 109121






『 最高に決まってる! 』






 決めた。

 僕は全てを裏返す。


 世界の常識も。

 僕の思う常識も。

 何もかもを裏返して、全て変えてやる。


 何もかもをやり遂げて、僕はまたあの世界に挑戦する。


 帰れないなんて誰が決めたよ。

 僕の一生を、勝手に誰かが決めるなよ!




『 あああああああああああ!!!! 』




 巨人が全身を震わせるように、まとわりつく全てが弾けてちぎれ飛ぶ。むしろ集団の中で最も小柄なはずのこの僕が、全てを蹂躙し、最悪の猛威を振るっている。


 全部、全て、一切総べて変えてやる。

 見るもの全て、絶対に!


 ……なのに、




「動け、動けよ身体!」





 HP : 8044 / 98123

 MP :  7 / 109121





 MPが尽きた。

 しかし急激な体力低下で大落下は発動したまま。


 面白いくらいの勢いでモンスターが爆散していく。僕が視線を動かすだけで、触れた全てが暴力的にその姿を消していく。


 だけど、身体はもうまともに動かない。

 五体満足だとしても、息をするのも辛くなってきた。それでも――




『 やるんだよ、最後まで! 』




 ムチのように振るう右腕が、周囲10メートルのモンスターを一瞬にして命ごと刈り取った。血が吹き出す時間すら我慢できず、僕は最後のMPを使って飛び上がり、眼下に広がる集団へ向け、最後の一撃を撃ち込んだ。


 MPが足りず、落下した距離はほんの数メートルだったに違いない。

 それでも先程の倍近く、そこにいたであろう者たち全てを塵にした。





 HP : 62 / 98123

 MP : 1 / 109121





 全部使い果たした。

 もう残っているものは一つもない。


 横になったまま、もう一歩も動けない。

 足掻いて、藻掻いた先の景色を見上げながら、僕はそこにあるかもしれないものに手を伸ばした。



「あ、……う」



 見えていたはずの景色が陰る。誰かが僕の顔を覗いている?

 モンスターだろうか。

 そりゃそうか、今は戦っている真っ最中なんだから……


 だけど、僕には一つの後悔もない。

 必死でやった結果が失敗なら、それはそれで仕方ない。

 そうして全てを受け入れ、先へ進むしかないんだから。



 差し出した手を誰かが掴んだ。

 引き起こされて殴られるかな?

 あれだけのことをしたんだから仕方ないよ。バラバラにされたって、文句の一つも言えやしない。


 でもどうしてだろう……

 その手は酷く震えていて、ものすごく温かかった気がする。




「よくぞ生きていた。あとは俺たちに任せろ、ウタ!」




 誰だろう?

 一人、二人、いや三人か?


 喋ってる気がするけど、もうそれすらわからない。


 ダメだ、もう考えるのも、

 つか、れ、……たーー




――――――――

――――――

――――

――




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ