第16話 レベルがアップしました
ですよね? と言われても。
僕には彼女が何を言っているのか全く理解できない。
そもそもステータスってなにさ?
レベルって奴の基準もよくわからないし、彼女たちが言う魔法やスキルの存在についても曖昧なままなんだから。
「そんなの僕に誤魔化せるはずないじゃないか。キミが言っていることすら理解できないのに!」
「ま~たまた御冗談を。ならば実際に見せてくださいませ。主様のステータス」
見せる? 僕のステータスを?
そんなものが見せられるなら、誰も苦労しないよ!
「ヒト族はステータスボックスなるものを使えると聞いたことがございます。我ら龍族は他種族に見せることはできませんが、主様たちヒト族ならば可能でしょう?」
ステータスボックス?
なんなのさ、それ。
「……ステータスボックス?」
思わず呟いた僕の声に反応し、突如目の前にゲーム画面で見るようなビジョンが出現した。
「な、なんだこれ」
「ほーら出るじゃありませんか。どれどれ~、見せてくださいませ~♪」
僕はなぜだか彼女に見られてはマズい気がして、「消えろ消えろ」と叫んだ。するとステータスボックスの表示は消え、どうして見せてくれないのですかとインフが膨れた。
「ダメダメ、絶対ダメ! それにインフはもう隣の部屋にすぐ戻って! これ以上わがまま言うなら、二人を呼びつけるんだから!」
ぷく~っと膨れたインフを無理矢理部屋から追い出した僕は、誰も入ってこられないように背中で扉を押さえながら、混乱している頭を振り、頬をパンと叩く。
魔法だのスキルだの、意味不明な言葉はこれまでにも沢山あった。
その上、ステータスだのレベルだのって、非現実なゲームみたいなものが本当にあってたまるか!
……だけど。
「ステータス、……ボックス」
かざす指先。
まるでロールプレイングゲームのような枠が表示され、中には見覚えのない文字が並んでいた。普通に文字は読めるし、なんなら書くことすらできるかもしれない。
「オオラク ウタ、18歳、冒険者、レベル1。本当だ、やっぱり表示されてる」
夢じゃない世界で、ゲームのような非現実。僕は恐る恐る指を伸ばし、ステータスの文字をタッチした。すると――
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
「え、ちょっとなに!?」
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
「レベルって僕のレベルは1だったはずじゃ」
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
困惑する僕の意思とは無関係に、次々に「レベルがアップしました」と新たなポップアップが表示され、周囲を埋め尽くしていく。慌てて小窓をタッチし消去を試みるが、勢いが凄まじく、異常な速度で新しい小窓が生み出されていく。
「な、な、なんなのさこれ。ちょっと待って、やめてよ、なんなんだよ!」
頭を抱える僕と、延々と繰り返されるレベルアップ報告。10分ほど鳴り続けた鐘の音は、僕の脳内にこびりつくほど、賑やかな装いを保ち続けた。
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
レベルが564になった
HPが98054増えた
MPが109088増えた
STRが2357増えた
DEFが2340増えた
DEXが2333増えた
AGIが1898増えた
INTが2212増えた
MNDが1450増えた
LUKが7増えた
CHAが895増えた
115632のSPを得た
そして静まり返る脳内。
覆っていた耳から手を外し、周囲を回し見る。
順々に消えていく小窓。
そしてレベル1だったときとは全く違う数値。
「れ、レベル、ご、564……? な、何がどうなって」
理解はできない。
できないけど、何かが起こったことだけは確かだ。だって……
「身体が、……軽い」
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