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仮面の下の素顔
『…ごめんね?その願いは…叶えてあげられ
ないんだ。その【少年】は……
すでに還る身体を失ってしまったから……』
仮面の奥で、悲しげに揺れる瞳が
詠真を捉えたまま歪むーー・・・
『でも、君はまだ間に合う。君にはまだ還る
身体があるから…僕はその為に、君を待って
いたんだ。だから…最後の【願い】を言って?』
そう言って、仮面を外した少年の顔は…
『ヒロトお兄ちゃんっ!?』
一年前、詠真を庇って死んだはずの大翔だった。
『神様にお願いしたんだ。僕の【魂】を捧げる
代わりに詠真ちゃんを生き還らせて下さいって…
今度こそ健康な身体になって、好きな事いっぱい
出来るように……』
『そんなのダメ!ヒロトお兄ちゃんが
エマの代わりに消えちゃうなんて…絶対ダメ!!』
泣きじゃくり、必死に首を横に振り続ける
詠真の頬に、優しいキスが下りる。
『…約束だよ?幸せになって…僕の分も…』