神様と迷宮
とっっても遅れましたけど、失踪はしません……そしてここまで遅れてしまい申し訳ございません。また投稿頻度を元に戻せるように頑張りたいです
警戒は怠らず、不自然に見えないように心がけながら対話を試みる。
「それで……ナンバー2……くん?ちゃん?はなんでここに?」
「んー?ちゃんでいいよ。見ての通りミノタウロスの退治かなー。弱っちくてあんまり楽しくなかったけど、お仕事だし仕方ないよねー」
やれやれと肩を竦めながら愚痴を零すこの子は、とても見た目通りの年齢とは思えなかった。
「……失礼かもしれないけど…君って今何歳…?」
「えー?秘密だよっ」
さっきまでの雰囲気が突如霧散し、年相応に微笑みながらクルクル回り始めた。その行動は更に不安を煽り…
「ねぇ」
「ッ……な、何…?」
「もう…そんなに怖がらないでよ。僕だって傷付くよ??」
「ご、ごめん…」
しゅんとした顔を向けられ、少し申し訳ない気持ちが沸き上がる。
「えっと、何か聞きたいことがあるの?」
「うん。ちょっと気になる事があってさ」
少し機嫌を直したのか、少し笑みを浮かべながら問いかけてきた。
「現在逃亡中の外套のフードを深く被っている女って、君の事だよね?」
虚をつかれ、生じた一瞬の隙を突かれたが、咄嗟に片腕を顔の横に上げ、鋭い脚撃を防いだ。が、その防御を突き破る程の馬鹿力が込められ、真横に吹き飛んだ。
「……ふふっ…ふへへへっ……今の…間に合っちゃうの??ふふふっ……面白くなりそう…っ!」
変な笑みを浮かべたナンバー2に対して、彼女が取った行動は、
「…無理……降参…」
彼女は抵抗するでもなく、早々に諦め、力なく両手を上げた。
「……そこは戦ってよ…はぁ…」
大きく落胆した少年は、力んでいた拳を緩め、懐から錠を取り出す。
「この身体はボクの身体じゃないから安全第一なんだよ…」
両手を前に差し出し、ナンバー2が手錠を片手に掛ける。
「---なんてね」
「ッ!ぐぅっ…」
もう片方の手に錠が掛けられる前に、全力の蹴りを放ち、距離を離す。
「いったぁーい!お腹を蹴るなんて酷いよ!」
「それはおあいこ…腕、まだ痛いんだよ…」
ポケットからナイフを取り出し、少し怒りを滲ませながらナイフを握り締めた。だが、その怒りは殺意には至っていない。
「ちょっとは…反撃させてもらう」
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気付くと、私はそこに居た。
「ここ…どこ…?」
座っていた椅子から立たずに、辺りを見ると、過去に、暮らしていた母の家の、私の部屋と全く同じだったことに気付いた。
「どういう…こと?」
もしや、今までの出来事は全て夢なのかと疑ったが、数年に渡るほど長い夢を見ることなど流石に有り得ない。
「気が付いたね。おはよ」
咄嗟に声がした方に振り向けば、さっきは誰もいなかったはずのベットに、小学生低学年ほどの容姿をした少女が居た。
「子供……?」
「今はそう見えてるのね。まぁ…姿が無いよりはマシかな」
「どういう事…?」
目の前の存在に疑問が尽きない。ここはどこなのか、君は誰なのかとか、私はどうなっているのだとか。
「私はまぁ…信仰の力を糧に存在してる訳でね、この世界にはその信仰の力を持っているのが貴方しか居ないからこんな姿になってるの」
「信仰の力……で…」
「えぇ。貴方達の方の世界では、私は『神』と呼ばれる者よ」
「神…さま…えっ?う、嘘…夢…?」
「夢なんかじゃないよ。私は正真正銘この世界の創造主よ」
目の前にいる者が、神様だとわかった時、私はひどく心を揺さぶられた。まるで頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた。
「私を……私を…救って、くれるのですか…?」
「うーん…貴方を救う…まぁこれからすることが貴方の救いになるかは分からないけど………たった一人の信仰者、贔屓目で見てもバチなんか当たらないかな」
その言葉だけで、何だか少し救われた気がした。
「ぁ……ぅあっ…」
どうしてだろうか、涙が溢れてしまう。
「あぁ……泣いても構わないよ…君は今まで頑張って来たんだからね…よしよし…」
神様に抱き締められ、頭を優しく撫でられ、何だか…軽くなったみたいだった。
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「落ち着きました……その…えっと…」
「気にしなくてもいいよ。泣きたい時は誰にでもあるけど、泣ける時は少ないからね。それと、誰にも言ったりしないわよ」
「うぅ…ありがとうございます…」
とても優しくて、また泣きそうになったのは秘密。
「さてと…じゃあ、この世界について話をしましょうか…」
「……!」
「この世界は今、私でもどうにも出来ない何かが潜んでいるの。それも沢山ね…どこにどう潜んでいるかは地上の子達に探ってもらうことになるかな…」
「それで…私は回復師として喚ばれたと……?」
神様にそう聞くと、神様は首を横に振った。
「それもあるけど、本来の目的は別よ」
「…?」
「本来の目的は……貴方の中に居るはずの天使よ」
「天使……?」
自分の中にそんな存在が居たのかと疑問に思っていると、神様はそうね…と顎に指をあて考える仕草をして、
「今、貴方の身体はその天使が動かしているはずよ」
「えっと……実感が湧かなくて…その…わかりません…」
「あー……まぁ…仕方ないわね。とりあえず多重人格のようなものと考えればいいわ」
多重人格という単語が、少し耳に残り頭の中で反響させると、鈍い頭痛が襲った。
「ッ……」
「心当たりがある……いや、あったと言った方が適切なのかな…」
「記憶が…ここに来る前の記憶が無いんです…」
だが、以前私と関わりが深い事を聞けば、思い出すのではないかと思った。
「…ちょっと待って…この世界に来る前の記憶は消えてるのに、どうしてさっき泣いたのよ」
「それは……神様のことは…覚えていたからです…私を…導いてくれるって……」
「……まぁいいわ。とりあえずもう起きなさい。そろそろ目覚めないと大変よ?」
扉を指さされ、あそこを開けば意識が回復するのだと察した。聞きたいことは色々あるが、神様の言う事を守る事にした。
「…また、会いたいです…」
「眠っている時や意識がない時にまた来れるかもね。その時まで、バイバイ」
「はい…行ってきます…!」
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斬る。斬る。斬る。思考はそれだけなのに、身体はまるで戦闘を覚えているかのように動く。
「ちょこまかうっざい!」
「痛いのは君も嫌でしょっ!」
「同感っ!」
真上から迫る踵落としにナイフを添え、軌道を変え、空いたナンバー2の脇腹に拳を打ち込む。
「読めてるよ!」
拳の先には魔力で作られた小さなバリアが貼られており、完璧に動きは把握されていた。けれど、そんなことはわかっている。
「突き…破る!」
薄いバリアくらい力で押し通す。微妙に脳筋思考だが、これが最適解だから仕方ない。
「ぐぅっ…!いいよ…!もっと…楽しませてよ!」
「はぁ……はぁ……」
意識が、持たない。リリィが目覚めたのだ。なら、この状況を何とかしなければならない。
「…こう……さん…今度は…何も……無…い…」
そう言いながら倒れ、意識を手放した。
「…ふふ…次はもっと遊びたいな…」
最後にそんな不吉な声が聞こえたが、次が無いことを切に願った。
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「んんぅ……ぁ…?」
「おはよ、僕のことは分かるかな?話したことは無いけど、見たこととかさ」
突然私を運んでいる少年?からそう問われ、今までの短い記憶を漁り、思い出すことを試みる。
「えっ…あ…えっと……宮廷…魔法使い…の1人ですか?」
「当たり。立てる?結構強めにやっちゃったけど」
「あ、はい……って痛い!?」
全身に打撲を受けたような鈍い痛みが駆け巡る。
「あー…抱えた方が良さそうだね」
「すみません…」
回復魔法の魔法陣を刻んだ触媒も無い。しばらくはこの痛みと付き合わなければならなそうだ…
「よいしょっと…迷宮の外には馬車があるから、それで帰ることになってるけど、大丈夫だよね?」
「あ、はい」
「いやー、それより君のもう1つの人格の君…って呼べばいいのかな?面白いね!」
「そ、そうなんですね……」
別人格の記憶は完璧に私と乖離しているから、そんなことを言われてもどう返答していいのか……
「あ、そうだ、言い忘れてた。ここの迷宮、実はね……」
「実は…?」
何やら物凄く嫌な予感がする。そしてこの予感が的中する未来が見えた気がした。
「ここの迷宮…ミノタウロスがいっぱい居るらしいんだよね」
私の直感は今日も正常でした。




