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精神治癒<メンタルヒール>

初心者ですので「これは無い方がいい」、「こうした方がいい」という意見や感想などあればアドバイス下さると嬉しいです。

文がもう滅茶苦茶なのでわからないところは適当に流して下さい……。

真夏、八月一日。


普通の学校は夏休みであるこの炎天下の中、一つの校舎から銃声が聞こえる。

「はーい小池、56」

名前と数字を淡々と繰り返す大人たちの声。

それを聞いた少年の舌打ちや安堵のため息、聞こえないように心がけた小声の会話が入り乱れる。

ここは日本のとある場所の高校に出来た、『違法能力制圧部隊』の訓練所。

この『桜川高等学校』及び付属中学校では、科学の発達により全人類が実用化できるようになった<能力>の悪用を取り締まるための部隊の訓練を授業として受けられ、そこで成績が優秀だった高校生は晴れて入隊が可能とされる。

今ここでやっているのは、正式な隊員の『射撃』の特訓。しかしそこにいるのは殆どが高校生。大人は記録を取り続けるのみだ。

高校生、言ってしまえばまだ子供である彼等が、かなり距離のある的を狙ってしっかり集中して取り組まなければならないような訓練を簡単にこなせるはずもなく、打った銃弾はほぼ全てが的ではない何処かへ飛んでいく。


―――そんな中。


「いやっふうぅぅぅぅぅぅ!!」


特別低くも甲高くもない、透き通った声が響き渡る。

その発信源はふふーふ、等というよくわからない笑い声を出しながら楽しそうにくるくると回っていた。

「ねえ見た山田!?今の俺の!!」

「お、おう……。98点だって?すげえな、どんだけ真ん中狙ったんだ」

声の主に名前を大声で呼ばれ、両手をがっちりと捉えられた少年は、動揺と困惑で目を泳がせながら返事を返す。

「でっしょでしょ!?これは最高記録行けるよな!」

不意にその手はパッと外され、その瞬間少年はそそくさと持ち場に戻る。

「良かった!俺の射的センスを信じて良かった!まだここに居られる!

 必要な人材として居られるぅーっ!!」

先程返事をした少年がいないことも気付かず、一人で浮かれて踊っていた『98点』の者。

不意に踊りを止めた、その時。


背中に強烈な刺激が走る。


何者かに蹴り飛ばされた、と気付いた時にはもう既に、彼の体は宙に浮いていた。

硬い地面に頭がぶつかる。その次の瞬間には腰が上がり足が上がる。

着地、というより転がって来たボールのようにくるくる回る。


そしてその回転が止まった時。


スタスタと何者かの足がこちらに寄ってくる。

それはもう彼の目の前まで来て、


「痛い痛い痛い痛い!!!」

靴で彼の顔をギリギリと踏んで数十秒ほどたった時、気が済んだようにすっと足を離した。

コンタクトで良かった、と胸を撫で下ろした時。


「神名八尋、お前はまだ色々な課題が残っているはずだ。

 こんなところで調子に乗っている場合じゃない」


そう言ったのは、額の上の黒い髪を右側に寄せていて、少しだけ吊ったきりりとした目で、他の者達と同じ程度の年齢だと思われる少年だった。

しかし他よりトーンの低い、落ち着いた声。

但し内容は、『神名八尋』と呼ばれた彼には気に入らないものだった。

「じゃあなんで踏んだんだよ、ですよ!

 調子乗ったのは悪かったけど、ですけれど!!」

「うるせえお前は声を上げるな。

 敬語もろくに使えんようで大声張り上げるな」

強く反発すると、人差し指で両手に耳栓をされ、軽くあしらわれた。

「だってそれは!昔はあんなに一緒だったのに!夕暮れはもう違う色ですかい!!?」

八尋が喚き散らすと相手はきょろきょろと辺りを見回し、

「うるっせえ何年も昔の事を訓練に出すな!

 いいか、お前は自分の成績を上げることにだけ集中しろ!!」

遂に落ち着いた声色を張り上げて怒り、最後まで噛まずに言ったらすたすた戻って行った。


蹴られた八尋がようやく立とうと足に力を込めると、ぐっと肩を掴まれた。

「おいおいお前、『唐井さん』にそんな口のきき方して大丈夫か?」

こいつは確か隣のクラスだ、俺と『桂』の関係など知らないだろうと八尋は頭を回す。

「あいつは幼馴染なのー。もう昔は俺と龍一に引っ張られてたのにさーっ」

「龍一?いや、それよりも」

次の言葉が引っ掛かる。八尋はその意味に気付けず、周りを見回す。

そこでようやく気付いた。


視線が一直線にこっちに集まっている。


考えれば当たり前だ。射撃以外は劣等性の八尋が、ベテランである『唐井桂』に口答えをしていたのだ、しかも大声で。

それは恥ずかしいことこの上ない。桂が途中で去ったのもこれに気付いたからかもしれない。

集められる視線にどうしたらいいかわからない八尋は、適当な愛想笑いをして、こっそりと部屋から出た。



「いや、その……。本当、すいませんでした」


隊員の寮のロビーで、自販機のボタンを押しながら八尋は言った。


「あの……コーヒーも奢りますし、そろそろ機嫌直して下さいな……」

「怒ってねえから気にすんな」

気にするな、という優しい言葉と裏腹に、ふて腐れた声色。

今目の前にあるのは自販機であり、後ろのソファーに腰かけている唐井の声は聞こえない。しかし、八尋はいくら怒っていない彼の表情を想像しようとしても無理だった。絶対にもう駄目だ。

この状態では謝ることと何かお詫びをすること、それ以外では収拾がつかない。

「本当、申し訳ないと思ってますから……ほら、これ」

唐井に向き直って冷たい缶を渡す。案の定、腕も脚も組んで前かがみになっており、靴をカツカツと鳴らし貧乏ゆすりを繰り返していた。これは苛立っている時の彼の癖であった。


もうふざけるしかない。何故か八尋は確信した。


「おっやあ?やっぱり怒っていらっしゃるのではないですかあ?

 いやいやぁ、こうも調子が狂うとアレですか、大好物のアイスコーヒーも静かに飲めないと?

 これはもしや?俺が部隊で第5位の人の調子を狂わせた?やっばいですねぇ、武勇伝が増えちゃいますねえックトゥグアァーッッ!!」

「少しは黙らんかぁ!」

一体どこから出したのか、大量のフォークが唐井の手から繰り出される。それは一つ残らず全て八尋の体に刺さる。恐るべき投擲。

「と……特に理由の無い暴力が……」

「いや割と理由だらけの暴力だろ。いい加減にしろ芋男」

「ひっでぇ……」

別に入隊式で芋食った訳でもないのに、と内心落ち込む。

というより、と不意に声を出した唐井。

「俺が一番望んでいるのはそれじゃない、ブラックだ。

 お前は脳内までそんなに甘ったるいのか?クワガタ男」

指摘され、缶のラベルを見直す。

――『アイスココア』。

しまった。これはまずい。いや、何故間違えたのか。

しかしそんなことを考えている場合ではなかった。

「もういい……帰れ、死に急ぎラブコメ野郎」

「ふ、不名誉!死に急ぎって何で!?やはり俺の青春ラブコメは間違っていたぁーっ!!!」

静かなロビーで叫びをあげる八尋を無視して、唐井は静かにその場を去った。





―――『間違ったことはしていない、正しい判断だ』。


父親からの励ましの言葉を、今も鮮明に覚えている。しかしそれは唐井にとっては重荷でしかなかった。

この部隊を作りだして支えたのは紛れもない父親。それを誇りに思っていたはずだった。


「お前には幻滅だわ……よくやりたくもねえことやってられるよな。

 俺はもうお前に関わらねえから」


爽やかな高い声で話していた、昔の親友。

しかし、小学6年生の卒業式後、いつもと全く違う声で、静かに告げられた絶交の言葉。

もう一人は、眼鏡の下の丸い目をうろうろとあちらに動かしたり、こちらに向けたり。


―――もう、仕方の無い事だ。


苦しくてどうしようもないはずなのに、何故か落ち着いたままでいられるのは、きっとこの<能力>のせいだった。

静かに、彼等との思い出を回想する。

いつも能力が使えず泣いてばかりいた自分を、引っ張ってくれた二人。

能力に目覚めた時、彼を襲う負の感情は何もかも自ら打ち消してしまった。

絶交した当時の『親友』。彼は能力に長けていて、ヒーロー物の人形を能力で操って、いつも自分達を笑わせてくれた。


「……あいつ、今元気なんだろうか」


彼はエリート校である『桃木中等教育学校』に入学したと聞いた。

犯罪取締委員になった、という噂も聞いた。

もう顔も、写真が無ければ思い出せない。

なのに、何かが引っかかるのだった。

とりあえず、読みづらかったと思います。しかし読んで下さりありがとうございます。

パロディネタが苦手な方はすいませんでした。

意見、感想、その他アドバイス等ありましたら是非お待ちしております。

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