それぞれの道
「アレン……悪かった」
シャルとの戦いが終わって数日後、アレンは街の出口に呼び出されていた。
風の囁きはシャルが死にアスティナが行方不明、ミアが抜けたことでギルドの最低人数を下回ってしまった。
それでも協会に申請すれば新たに冒険者を呼び寄せることも出来るらしいがリファドはそれをせずに静かにギルドを解散させたらしい。
「別に謝ることなんて……」
「俺はお前のことを考えていなかった。ずっとシャルの為にとお前の事を利用しようとした……謝って許されるわけではないが、それでも謝らせてくれ!」
そういって頭を下げ続けるリファドにアレンは仕方ないといった表情を浮かべる。
「もういいんだよ。たまに喧嘩したりして……それで謝って仲直り、そういうのが友達だろ? だから俺は許すよ」
「アレン……俺をまだ友達だって言ってくれるのか?」
「俺はリファドに追放された時もずっとお前のこと友達だって思ってたよ」
「……ごめん……アレン……俺っ! そんなお前を……」
リファドはその場で静かに涙を溢す。だけども慌ててそれを腕で拭った。
それで何ともないって顔をするが目は真っ赤に腫れている。
「それでこれからどうするんだ?」
「……もうギルドは解散したからな。今度は料理人になるつもりだ」
「料理人か……リファドの料理は美味しいからな。きっとなれるさ」
「ああ、美味しい料理を作れるようになってやるさ。だから……」
リファドは少しだけ言い淀むと覚悟を決めたようにこちらを見る。
「その時は俺の料理を食べて欲しい」
「楽しみにしておく」
アレンがそう笑うとリファドはその表情を見て同じように笑った。
「じゃあな……」
「うん、またな」
互いに言葉を交わしてリファドは背を向けて歩いた。
リファドは思う。アレンを追放した時にアレンは自分の事を憧れだと言ってくれた。
だけども逆だった。自分こそアレンという存在に憧れていたのだと。
最後にもう一度振り返りアレンの方を見る。既にアレンはこちらに背を向けて自分の家に帰ろうとしていた。
そんなアレンの後ろ姿を見ながら静かにリファドは呟いた。
「またな……アレン」
ーーー
「アレン様! お帰りなさい! 料理は出来てますよ!」
家に帰るとシアが出迎えてきてくれる。いや、シアだけではない。べルフェやティアナ、ユリノにミアも一緒だ。
「わ、私がお邪魔しちゃっていいのかな?」
「当たり前だろ? ミアだって仲間なんだからな」
「う、うん……えへへ」
ミアは照れ恥ずかしそうに笑う。彼女は自分達のギルドには今は入るつもりはないらしい。
しばらくはゆっくりと過ごしてから身の振り方を決めるのだという。
だけども例えギルドに所属してなくてもミアは仲間なのは変わりなかった。
「それじゃ食べよっか。私がアレンに食べさせてあげるよ」
「なっ! アレン様に食事を食べさせるのは私の役目ですよ!」
べルフェはシアをからかいながらこちらにぴたっと引っ付いた。
それに対してシアも対抗心を見せながらもう片方の腕をぎゅっと掴む。
「……普通に食べたいんだが」
「ダメです! 私がアレン様に食べさせるんです!」
「……分かったよ」
シアの勢いに飲まれるようにアレンは仕方なさそうにそれでいてどこか満更でもなさそうに呟いた。
正直、騒がしいと思う。いつの間にかこのギルドは人が増えて賑やかになってしまった。
だけどもそんな日々がいつの間にか自分は大好きになっていた。
「……これも幸せなのかもな」
「何か言いましたか?」
「なんでもないよ」
そう言ってアレンは静かにシアの頭を撫でる。シアは嬉しそうに笑いながらアレンに頭を撫でられ続けている。
正直まだ不幸になった分幸せになったとはいえない。
自分の目標は変わらず勇者ギルドになることにある。
だけどもそれと同時に今はこのみんなと一緒にいる日々を大切にしようと思った。
完
これにてこの作品は完結です!
ここまで読んで頂きありがとうございました!
新作も投稿しているのでもし良ければ読んでくれると嬉しいです。
私が好きなのは親友(女)の彼女でした
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