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同居
「ラニアはこれからどうするの?」
パンをスープにつけていると、リドに言われた。
僕は今のところ、消える気配はない。食事も睡眠もいらないとはいえ、食事の楽しさを知った今、それができるだけの稼ぎは欲しかった。自分で作るとしても、道具がない。
「何処かで働こうと思う。そこそこ腕は立つから、冒険者もいいかもしれない」
リドにもお金を返さなくてはいけないし。
そもそもなぜここまでしてくれるのか。いつまでも頼り切りではだめだろう。
「じ、じゃあさ」
「ん?」
「ラニアもここに住まないか?」
なぜ?
「その……寂しくて。ラニアからは嫌な感じしないから、ここにいて欲しいっていうか」
「嫌な感じ?」
「自分に害のある人がなんとなくわかるんだよ。皆程度は違うけど、大抵の人から感じる」
感じなかったのは両親と、近所にいたおばあさんくらいらしい。
「しかし……ただというわけには」
「も、もちろん、できることはやってほしいけど。でも宿代はかからないし」
どうかな、と不安そうに見つめてくる。
「……わかった。これから宜しく」
リドは、嬉しそうに笑った。