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第12話 「ビンテージ・アモ」

〜ビンテージ・アモ〜

…物や出来事に希少価値を与える魔法、それが

ビンテージ・アモだ。余談だが考古学者はこの魔法を嫌う。何故ならいちいち魔法を解除しなければ真実を知ることができなくなるからだ。


…使う際に感しては対象物に調味料を加える

感じで魔力を放てば良いだけの話。

しかし重要なのはどれくらいの時間を経験させるかだ


…例えばカードゲームのレアカードなぞに

この魔法を単純にかけるとボロボロの紙切れに

なってしまう。少なくとも悪用厳禁だ。

「ふう〜…」

「お疲れ様です♪警察の方々も軽傷者のみで

大事なかったみたいですよ」


それは何よりと手を借りる野上。

しかし安堵する暇がないのは自分が一番わかっている。何より連れ去られた生徒達が心配だった。


暗殺者(アサシン)の姿が消えても外は焼けるように燃え上がっている。体育館は時期に燃えるような暑さが広がっていった。


「先生方、これ以上の探索は危険です

ここは一度引き上げましょう」

「ですが生徒達は…」

「問題ありません

只今本部に連絡し、応援を呼んでおります」


疑わしくも今はそうするしかないと考えると、

そのまま体育館を出て外に出た。

(アイ・デザーム)を解くとそこは小さな小屋が

立っていた。


「これは…焼却炉なのか

こうして見るのは久しいが」

「こんな古い時代からあるものでしたっけ?」

野上も遥秋も不思議そうに見つめる。

なお現代ではすでに無くなった施設だ。


外側のコンクリートに落書きが書いてある。

空襲対策の文言らしい


「ボウクウゴウヘヒナン

タイイクカンガハカイサレタラ

ココヘシュウゴウ」


公の避難場ではなさそうだが、

誰かがここを逃げ場にしているようだ。


一方の一貴たちは


「…はっ!?ここは…」

「あ、気がついた。どこか痛むか?」

「多分なんともねえが…連れ去られたみたいだな」

「そうなんだけど、ここがどこなのやら…」


見覚えのない景色と木々が焦げる匂い、

そして灼熱と陽炎がゆらめく外の景色は

事態の混乱には十分すぎる素材だった。


近くには先輩がぐったりしていた。

呼び起こすと力無く応答する。


「…あー…オメーらも捕まったのか

ホントなんなんだよって感じだよな」

「先輩怪我は?」

「暫く酷い出血があったけど

今はなんともない。動いて逃げた思われたら

面倒だからトイレと水飲み以外出てないわ」


事情を聞くと、先輩は元々図書館に向かう途中だったがその時に黒男から腹部を刺されたらしい。

理由や言動は不明らしく、携帯電話で無理に連絡を取るのが精一杯だったとの事。


「そういえば2年から

学校支給のスマホありましたね」

「ホント助かったわ…無かったらって考えると

マジでゾッとするよ」


しかしほぼ数日は何も食わずの状態だったので

空腹でやつれている。一貴達の持ち物から

携帯食料のカンパンやゼリー飲料を分けることにした。


空腹を満たした後はそのまま探索を開始した。

とにかくここがどこなのかわからないので、

道なりに進んでいく。


辿り着いたのは音楽室…と思わしき武器庫だ。

竹槍や銃がキッチリと並べられているが、

よく見ると鍵盤ハーモニカが奥の方に押し込まれていたりカスタネットが散乱している。


「ん…あ、これベートーベンの画像じゃない?」

画像が裏にして貼ってあったようだ。

どうやら海外の人物を敵とみなしてから

画像を裏に向けているらしい。

モーツァルトもバッハも同じくだ。


カーテンを捲ると防空頭巾を被った集団が

移動していくのが見えて来た。

後を追えば、何処かにたどり着くと信じて

こっそり追いかけることにした。


その途中、小さな女の子が転んでしまい

集団から引き剥がされてしまった。


「おかあさん!まって!おいてかないで!」

そそくさと去っていく集団。

母親はどうやら気づいていないようだ

一貴達が追いついて話を聞くことにした。


「なあ、ちょっと良い?」

「ぐずっ…ふえ…?おにいちゃん、だあれ?」

「俺達は未来から…じゃなくて

疎開して引っ越して来たんだけど

状況がわからなくてここに辿り着いたんだ」

「がいこくのひこうきがまちをやいたの…

おかあさんといっしょににげてきたけど…」

「皆はどこに向かっているの?」

「たいいくかん…」


一貴達は再び歩き始めた。

女の子を背負って体育館に向かい始める。


「そういや、黒板にはなんで書いたんすか?」

「ん?ああ、1階以外から食堂に入るなと書いたよ。そこだけ魔力が弱まっているのかせいか

塞がっていなかったからね。」

「ところでおにいちゃんたち、なまえは?」

「一貴、カズとでもよんでくれ」

「俺里流、サトでもいーよ」

「柳田です、平成の三冠王な」

「「「う そ つ け !」」」

「みんなからギータと呼ばれてます」

「「「も う え え わ !」」」


くだらないジョークを交えながら体育館に

向かう一方、熱気と爆裂音は一方的に酷くなる。

行き止まりを避けながら進むとついに

爆撃が近くで始まってしまった。


ズバアアア!!!

バリリリイイインンン………!!!

大きな音を立てて瓦礫と爆風が一貴達を襲うが


「(ビンテージ・アモ)!

俺の持ってるレアカード聖なる盾は

本物の装備魔法カードだ!」

一貴が衝撃を前にカードをかざすと

絵柄の盾が出て来て起こりうる被害を

全てガードしきった。


「すげえ…まるで真のデュエルだ…

ってホントにアレは史実であったんだな!?」

「おにいちゃん、すごい!」

「はぇ〜…一貴は優秀だなぁ

俺のクラスにも魔法が得意な奴はいたけど」


ただし魔法を使うことは体力を消耗する事でもある。女の子を背負うのは先輩が引き受けてくれた


「おかしい…集団は歩いて行ったはずなのに

全然追いつけねえ。」

「まあ僕達が本来の道しか通れないから

迂回してるっていうのはあるけどね」


女の子は一貴に魔法を教えてほしいとせがんでいる。とはいえ年齢を聞いたらまだ4歳。おそらく

プリファールすら使えないだろうけど


「とりあえずやってみよっか!

良いかい?この世界には魔素と呼ばれる

不思議な力が備わっている。

それを上手く使いこなせばさっきみたいに

盾を出すことができるようになれるよ」

「まそ…?よくわかんない…」

「見てて…これを…」

一貴がプリファールで物を浮かす。

女の子は目を輝かせて真似してみた

すると…


「あっ!やった!できたよ!」

「そう!その調子!」

「…カズってあんな心掴むの上手かったんだな」

先輩も側で感心していた。


「てか一貴、お前そんなに魔法をマスターしたなら

"魔法帳"はすごいことになってそうだな」

「ん…?なんすか?その魔法帳て」


魔法帳…いわゆるノートだが中間、期末テストで

教師の前で出せるだけの魔法を出し、合格をもらうとその手帳に合格印を押してもらえる。


その合格印こそ将来職業に就くときに、

資格として見てもらうことができる上に、

免許にもなる。魔導バイクや魔素自動車を

運転するならそれ専用の魔法をマスターして

合格印を押してもらうしかない。


しかし…その手帳がもらえるのは最初の中間テストの後なのでまだ貰えていない。


「あ〜そっか、なら復習あるのみだなあ」

「えー…まさか赤点とかあるんすか…」

「無いけど将来がキツくなるってさ。

俺の兄貴なんか大学一浪してまで

入りたい企業のためにマスターしたらしいし」


女の子は先輩の背中ですやすやと寝ていた。

魔法を使って疲れ切ったらしい。


一方、更に別の場所

「カラーレストビル」では…


チーン…

「課長、お疲れ様です

たった今報告が入りました。

黒男が敗れたそうです」

「そうか…まあ、向こうにも戦える人間が

居たということだろう。アイツもそこまで

残念な人間じゃあない」

「それで…今後の処分は如何しましょう」


"十字架"に強制送還された黒男が絶望している


「やあ…ご機嫌如何かな?」

「…!な、なんだよ!?俺は嫌だぞ!」

「ほう…そんな言葉吐けるなんて、

よっぽど敗北を確信したんだな。

君は負けたから絶望している。そして…」


指でっぽうから紫色の電流を流して痛みを加えた


「あ"あ"あ"あ"あ"あ!!!」

「敗戦の処分を待っている!

"ゲーム"の敗者はその身に苦痛を与えられ…」

「許してくれ!頼む!頼む…!

次は失敗(しくじ)らない!お願い…だ…!」


ふーんと軽く返事を返事をすると、

紫の魔弾を渡すように投げた。


「(スパイダ・ネット・トル・トゥーラ)」

魔弾が蜘蛛の巣状に広がると紫電を纏い

誇大化しながら黒男に迫る。

まるで悪意でも持っているかのようにゆっくりと


「ひいっ…!嫌だ!!!辞めろ!!!

オイ聞こえてんのか!!!ヤメロつってんだ!


ああああああああ!!!!!

嫌だああああああ!!!!!」


ピアノ線より強靭な電気の糸がゆっくりと

黒男をぶつ切り状に切り裂いていく。

ところてんでも作るかの様に。


「ふふふ…哀れな。

そんなにチャンスを求めるなら

さっきの魔法に対抗すれば考えたものを」

「課長、例の件は如何しましょうか

一応第三者が巻き込まれていますが」

「捨てておけ。

対抗心すら失った無能に何ができる

それと…回収は任せるね。じゃ、定時だから」

「わかりました

本日もお疲れ様です」


黒男の肉体は魔鉱石に変わっていた

「全く…"ゲームの敗者は魔力元に"…なんて

相変わらず上層部は人が悪い」


呟くと闇の魔鉱石を拾い集めた

土嚢(どのう)2、3袋分と言ったところだろう。


「また闇属性ですか…

まあ、石油と大して変わらないので

ありがたいことこの上ありませんけど」


魔鉱石には属性がある。

火の魔鉱石なら炭や燃料になるが

闇なら石油になる。用途に応じて、

属性を知らないと予想外の結果から事故にも

繋がってしまうのだ。


リストから一人、名前が抹消される

残り数名の名前の運命やいかに

閲覧いただきありがとうございます!

カラーレストビルにある十字架というのは

ゲームに負けた、または負け判定を喰らった

挑戦者が送られるいわば処刑台のようなものです。


これに張り付けられたまま死んだ者は

即座に魂と意識だけ浄化され、切り離された

肉体を魔力で硬直させてそのまま鉱石化させます。

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