第1話 魔女の処刑
私の人生は一体なんだったの……。
「この魔女めっ!」
「ああ、恐ろしいわ。」
「あんな魔女がどうして生まれるのかしら……妹は優しい、いい子なのに」
私、メアリー・クロー15歳は今、言われなき罪で処刑される。私の人生はつんでいた。かわいい服もぬいぐるみも、美味しいお菓子も、両親の愛も、許嫁の王子でさえ、奪われた。そして、最後に残ったこの命さえも奪われてしまう。
処刑台を見る妹は涙ながらに私の無罪を主張する。最後の最後までいい子のフリをしていた。でも、私は知っている。その涙は喜びからの涙だって、本当は悲しがってなんかないし、私が処刑されるのを楽しみにしていたのだ。
知っている。だって、全部聞いたんだもの。私は他人の心が読める能力を生まれた時からもっていた。そのせいで私はバケモノと忌み嫌われてきた。両親からも使用人からも、妹からもいじめにあってきた。
そんな私でも、王子と結婚できる!きっと!結婚する王子は素敵な人なんだと夢みていたのだ。その夢さえも奪われた。王子が婚約破棄を私に言い渡し、その傍らにはニヤリと笑う妹。
そして、妹との婚約を発表したあの日、私は我慢できなかった!妹に掴みかかってしまったのだ。そして、それを王子に止められる。それからこの処刑台までくるのは早かった。妹だけでなく王子の命さえ奪おうとしたと、冤罪を擦り付けられたのだ。
そして、ギロチンの刃が私の首をはね、視界は暗転した。
「ん?」
目覚めるとそこはベッドの上だった。
ここは?私、確か、殺されたはず………。
「お嬢様、起きてください。今日は王子との大事な初めて会う日ですよ?」
「へ?」
鏡を見るとそこに写っていたのは7歳の私だった。
「ええええええっ?!」
「?お嬢様、どうされました?」
「あ、いや、その。なんでもありませんわ。おほほほほっ。」
え?これ、戻ってる?!今からなら何とかできるってか?無理よ!今の時点で既にもう妹贔屓の両親、そして最悪の王子!そんな小説みたいにループして幸せになりました♡なんてないのよ!!もう、こうなったら、ヤるしかないわ!!復讐するのよ!
そう、もう、優しいだけの女の子はやめる。
ねぇ、知ってる?
お姫様は必ず優しい、いい子ではないのよ?
灰被りをご存知かしら?
灰被りが王子様に見初められて幸せになる童話。でもね?本当のシンデレラはとてもいい子とは言えないの。意地悪な姉達は足を削ってまで靴を履こうとした。もう歩かなくていいと思ったからよ。
でもね。そんな事は王子に見破られてシンデレラが靴を履く。そして、意地悪な姉達は鳥に眼をつつかれてしまうの。その様子をシンデレラは笑って見ているのよ。いい子なんかじゃないわ。
だから、私もいい子はやめる。復讐するの。私をいじめて、貶めた人達に。もう、優しさは捨てる。
そう決めた。
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