五十三話「攻進」
見事に囲まれた。ハイエナ型のディースト6体だ。集中的に俺だけを狙っている。消耗しきった痕だってことを分かって狙ったのか?
ディオは考えながらレイピアで応戦した。ディーストはここ以外にも複数の群れで行動している。対してこちらは自身を含めても能力者は三人という状況だ。街の中の広間というのも考慮しても不利である。人々は逃げ出したおかげで今のところは人命の被害はない。
ディーストお得意の一匹が突撃してそのまま離脱したら別の個体が同様の事をする戦法に出た。今回は六匹ということもあり、二体や三体によっての同時攻撃が強力だ。
レイピアで上手く防ぎつつ躱すも、全てを回避するのは無理がありいくつかの掠り傷に左前腕部に抉られたような大きい傷が出来た。
「グッ……疲労が溜まってる時にこれか!!」
再び攻撃が来るもマスケット銃を取り出し、華麗に真上へ彼はジャンプした。
ディースト達は一瞬の驚きを見せるがそれで狼狽えをすることはなかった。
跳んだその不規則な体勢から弾丸を発射する。
直撃的なダメージこそは与えられなかったが、それでも一匹に後ろの左足に掠った。
「ハァ……だっるいな。 本当に」
「ふうん、なら手を貸した方が良いかな?」
その声と共に男は現れた。片手で持ちやすいサイズのハンマーで周辺のディーストを倒していく。その技はまさにプロと呼ぶに相応しい動きであった。
「……お前か」
「君もお疲れさんの様で? 手負いみたいだけどどこまで行ける?」
「最後までだ……!!!」
「……了解っ」
二人は交差するように走り込んで、すれ違う間際にお互いの武器で相手を守りつつも撃破した。
「「………」」
体勢を整え、マスケット銃でかく乱している間にハンマーでぶっ叩く。
掻き乱した事によりスムーズに倒すことができ2体になっていた。
レイピアに持ち替えて自身が前へ飛び出しそのまま突いた。
ディーストは別れる形で回避するも片方にハンマーが襲い掛かり、またもや避けるも狙い通りとなってしまった。
もう片方のディーストにヴィオが向き合う。これで1体1の勝負に持ち込める事に成功した。
もう一刺しでレイピアを使いディーストは回避しようとするもフェイントを掛けられ、刺すような動作ながらもその勢いで身体を回した回転キックが脳天に直撃。その隙でディーストの背後を取り、首を絞めてナイフで止め。
ハンマーに次元エネルギーを溜め、それを盛大に地面にぶちまけて衝撃波と化し前方へと突き進む。
対するディーストは後退、後ろの壁を蹴り跳躍。男へと攻撃を仕掛けた。
余裕綽綽で彼はバットのようにハンマーで向かい打った。
次の瞬間にはディーストの顔面には強烈の一撃を受けたという。遠くへ飛ばされながらも受け身で軽減しようにも目の前の男が明らかにこちらにハンマーを投げつけようとしていた。
「………」
無言でハンマーを回し続け、黒のエネルギーによって真っ黒な円を描いていた。そして、何の躊躇もなくディーストへ向けて投擲。ぶつかって着地しようとした時には、回避する間もなく奴を叩き潰した。
「……ふぅ。 ひとまずここは終わりましたね」
ハンマーを回収して男は呟いた。
「ああ、この調子で他の群れも――――――
女性の悲鳴が聞こえた。あの民家の中だ。もう最悪だ。ドアを蹴破り、突入。だが女性はディーストたちによって食い殺されていた。
「うわぁ……被害が出ちゃったか」
「……行くぞ」
そう、その一瞬で民家の窓から別のディーストが突っ込んできた……と言うより吹き飛ばされてきた。身体に矢で貫かれて。
「そこに居るのはヴィオと“パトリック”のお二人さんかい?」
クロスボウを持った男はそう言った。
「“ライ”か……とりあえず、三人で収拾を付けるぞ」
弦を引っ掛け矢をセット。 レイピアとマスケット銃を同時に持つ。ハンマーで構えながらも左手にメリケンサック……正式名称ナックルダスターのエネルギーを溜める。
何か言う訳でもなく三人は各々目を一目見て、分かり合っているかのように同時に行動を開始した。
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「ハァ……」
ありえないぐらいに憂鬱だ。何故なら……。
「わーい! 今回は海ん中だね~」
「いえーいっ!!! 遺跡とかあればいいなぁ……! 出来れば爆発したいんだけど」
「「いえーいっ!!!!!」」
騒がしいのが集まってしまった。本当に静かに出来ないものか。
「お、おい。 相原、アイツらはいつもあんななのか?」
ファガルが話しかけてきた。ファガルは初めてだったか。
「……ああ、残念なことにな。 本気を出せばもっと煩くなるぞあの二人は……」
「ねぇねぇ、何話してるの何話してるの?」
「もしかして、僕たちの話かな~? あー、今回の作戦の話だったかな? で、どんな爆発物を使うの?」
この二人が俺とファガルより強いのに信じられないぐらい落ち着きがない。戦闘技術ではこちらも負けているつもりはないが。何せ、能力者と言う感情によって強化される為に若者がどうしても勝ってしまう。
「使わない……ハァ、改めて任務の説明をするぞ」
極めて簡単だ。ファガルが発見したコンパスの指す方角を追った座標がこの海のど真ん中だ。そして、その海の中に4人で飛び込む。以上だ。
「えー、個人によって適応する時間は違うとは思うがそこまで長くは掛からないだろう。 生身なのは適応できるのもあるが、それ以前にヴェルズが余計な装備を持ち込まないためだ」
「チェッ!! 機雷ぐらい設置しても良いでしょう!?」
―――――なるほど。危険人物として組織が頭を抱え込んでいる理由が分かった気がする。彼は開発部にでも転職すれば良いのでは。武器の進化に貢献してくれれば戦闘において楽になれるのに。
「武器の開発とかはしないのかい?」
「ハッ……! 爆発する物しか僕は興味ないね! どんな物も目の前で全部消えてくれるからね。 一々、敵の醜い姿なんか見たくないよ」
「うーん、そうかもだけど。 でも、僕は色んな近接武器で戦うのが好きだなー。 それにしてもスナイパーライフルだけ爆破しない物も使ってるけど何で? あと一個だけ剣も持ってなかったけ」
「ノン、ノン、ノン! そんな質問に私は答えません~。 さてと、行きましょうよ!!!」
ヘリから降りようとする。創無関係のこの場所というのもあり下手に船を出さない。あくまでもコンパスの示す物の発見が優先である。発見され次第に帰還。上層部の会議の上に準備の整えてからの対応となるだろう。
そうしてる間にも、4人は空へと落ちて行った。アルゴスとヴェルズだけスカイダイビング感覚で落ちていた。
着水。非常に身体中に震えが来た。しばらく、息を止める。アルゴスはカエルみたいな泳ぎをして、何故かヴェルズは胡坐をかいて腕を組んでいる。10秒ほどでその二人は適応した。15秒を過ぎた辺りで相原 柳。20秒でファガルが適応した。
コンパスをファガルは取り出す。さらに位置は間違っていない。今の時点で何もない事を考えるとやはり水深がもっと深い所に目的はあるはずだ。
柳とアルゴス、ファガルとヴェルズの二チームに分かれた。大きな溝が二つほどなのでそこからまずは探そうという事だ。
四人は別れて泳ぎ進んだ。
過去と今と未来は繋がっている。それはどんなことがあってもだ、誰と遭うか、分からない事でもあるが彼らの運命を変えるには必要だ。能力者だけではない。人間にも創無にも言えることだ。どちらにせよ、戦い合う事には変わりはない。彼らに生存と言う運命があって欲しい物だ。
同時進行はしんどいけどどうにか最小限にしている最中ですねぇ。
予定よりだいぶずれているのでどうなるか……そんな感じで設定解説でもしますかね。
宗教が風化したりして一部文化が変わってるけどこれって、現実世界って言えるのかなって最近思うけど。それは置いといて、同じように能力者も一般の人々から忘れられていきます。そこで組織はいっそのこと、秘匿してしまえば良いのではないかと決断します。
主な理由は混乱を抑えるためと不安の種を作らない為ですかね。メリットとデメリットは何をしようが存在しますけれど、この場合は創無と能力者を引き合いにした事件や争いを起こさない事もありますね。
異端な存在は人間にとって恐怖でしかない、ましてや現代と変わらぬ時代になっても全容が分からないとあらば尚更だ。
だからこその秘匿。公表しなきゃいけない事態の時は多少の演出を交えて印象を良くしようとするでしょう。
この世界の能力者と言う存在は非常に曖昧な立場だ。戦う者でありながら、敵と同じ虚無に近い……存在してない何かと言っても過言ではない。人間ではないながらも人類は能力者を人間の別の形として受け入れた。けれど、人間と同じような繁栄が難しい存在だ。基本的な生殖方法は変わらずもその血縁によって呪いの形で受け継がれる。
2回の大規模な攻撃により5万にも満たない戦力だ。守り切れない。
それでも彼等は戦う。目的は生きる事だ。人類を防衛することだ。戦う事が仕事だ。同時にそれは戦うことが人類が受け入れた条件でもあった。
基本的にディノープという組織の人間は優しいです。特に子どもが多いので年配の方からは可愛がられることが多い模様。厳しい時は厳しく、甘やかすときは最大級に。そんな感じです。
妙にヒロインたちが活躍しないのは気のせいだ。まぁ、設定の為に戦えないのもありますけどね。サポート面では活躍させるかと。でも、ヒロインあと二人ほど出し残ってるんですなぁ、これが。
正直、ハーレムは失敗した。展開考えるのに凄い邪魔になる。でも何とか出来ますかね。弘太の性格や過去を考えると行ける気がしてきた。
今回は長文ですねかなり……




